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パッカーズGMギュートカンスト、ロジャースの発言に「後悔していない」と反論

2021年07月30日(金) 16:58

グリーンベイ・パッカーズのアーロン・ロジャース【AP Photo/Matt Ludtke】

グリーンベイ・パッカーズのクオーターバック(QB)アーロン・ロジャースの話した30分間がフットボールファンとメディアをひきつけた翌日、ジェネラルマネジャー(GM)のブライアン・ギュートカンストがロジャースの発言に応答する機会を得た。

ロジャースは水曜日のセッションの大部分を使って、ギュートカンストGMの下で行われたパッカーズの決定を批判し、人事プロセスにもっと多くの意見を取り入れてほしいとつけ加えた。その直後、ランドール・コブがトレードで再びパッカーズに加わることになったが、これはロジャースが強く提案していた意見だ。

ギュートカンストGMは現地29日(木)に次のように説明した。

「これはアーロンにとって重要な部分だと、早い段階で気づいた。われわれはフットボールチームの観点からだけでなく、サラリーキャップ、トレード、報酬などのすべての観点から見て、どうしたらうまく事を運べるだろうかということを考え始めた」

「結局のところ、何事にもプラス面とマイナス面がある。ランドール・コブがわれわれのチームにいることは間違いなくポジティブなことだ。選手としてだけでなく、一人のチームメンバーとしても、彼はポジティブな存在だ。特にわがチームのクオーターバックにとってコブは、2021年における目標達成のための非常に重要な要素である」

ロジャースはオフシーズン中ずっとパッカーズと対立し、水曜日にはその理由を信じられないほど明確に示していたが、コブの獲得を受けて明らかに冷静になったようだ。ロジャースとパッカーズとの溝は完全に埋まったわけではないが、コブを加えることで少なくとも両者の橋渡しができたと言える。

とは言え、ギュートカンストGMがされるがままになっているわけではない。NFLを少しでも理解している人であれば、パッカーズにとってロジャースの関与がいかに重要かは把握しているだろう。また、グリーンベイのかつてのファンの人気者を加えることは、大した譲歩ではない。それでロジャースを復帰させることができるならなおさらだ。ロジャースはなにも、すでに引退したドナルド・ドライバーを連れ戻せと要求しているわけではないのだから。

一方でロジャースはギュートカンストGMやその前任者たちが下した他の決断についても積極的に発言しており、チームを去る際にパッカーズがもっと良い扱いをすることができたはずだと考える十数人の元チームメイトについても言及した。これは、ロジャースがしてきた他の批判と同じくらい直接的なギュートカンストGMへの批判であり、ギュートカンストGMは木曜日にこれに適切な対処をしなければならなかった。

「後悔しているとは言わない。もちろん、これは大変な仕事だ。それは間違いない」と話したギュートカンストGMはこのように続けている。

「どのような選手であっても、終わりを迎えるときにはうまくいかないものだと思うし、彼らもいい気分ではないだろう。私たちは選手がこの組織に与えてくれたものに常に敏感だ。そして、常に気品と尊厳を持って対応するようにしている。しかし、繰り返しになるが、これは難しい仕事なんだ」

「時にはわれわれパッカーズが、NFLのビジネスであることの矢面に立つこともあるだろう。あらゆる決断は難しいものだが、チームの成長のためには必要なことだ。必要以上に選手を引き留めておくと、後に唐突に現れた契約すべき選手と契約できなくなってしまう。それはドミノ式に起こることであり、プレーヤーにとっては辛いことだ。しかし、選手はそういう心づもりをするべきだ。アーロンのように長くプレーしていると、そのようなことをたくさん目にしてきたことだろう」

ギュートカンストGMの言うことはもっともだ。NFLの冷酷なビジネスでは、人事部長は個人的な関係やこれまでの貢献度よりも、年俸や年齢に基づいた難しい決断を迫られることが多い。 選手が1つのチームでキャリアを全うすることは難しい上、避けられない退団をチームが潔く対処することはもっと難しい。

水曜日のロジャースの発言は、ギュートカンストGMを頭脳や計算よりも、心に従って決断するGMだと仮定して描いている。それがミスにつながり、ギュートカンストGMが言うようにドミノ効果でかつての偉大なクラブを徐々に崩壊させてしまうことがよくある。

しかし、パッカーズが2021年以降もロジャースを維持したいのであれば、少なくとも関心のある態度でロジャースの意見を聞こうとしなければならない。 興味深いことに、ギュートカンストGMはパッカーズが人事に関するロジャースの意見を常に歓迎し、受け止め、評価してきたと述べており、このスタンスは水曜日にロジャースが語ったことと少なくとも部分的には衝突している。

「これまでと変わらないと思う。彼からの意見はユニークで、すべてのプレーヤーが彼のような意見を言えるわけではない」とギュートカンストGMは言う。

「それがアーロンなんだ。彼は常に意見を持っている。それをどうやって取り入れるかだと思う。結局のところ、われわれの今後の計画について意見を持っている組織内の他の人々と何ら変わりはない。 それを受け止め、決断して前に進むに尽きる」

ギュートカンストGMがその言葉を締めくくった時の様子が一つの姿勢を物語っている。

「たとえチームの未来の殿堂入りクオーターバックであり、MVPに輝いた選手が、かつてのチームメイトとの再会を利用し、その過程でフランチャイズを見事に演出することができなかったとしても、私はここで主導権を握っている」

2021年以降も契約が成り立つかどうかを見極める必要もある。ロジャースは修正された契約書の中で2022年にどこでプレーするかを選ぶ権利を獲得していないと話しており、残り3年の契約の中ではまだチームの支配下にあることを意味している。しかし、ロジャースが今シーズン以降もグリーンベイに在籍しているようにするためにパッカーズが十分な保証金を彼に支払う義務はない。

それが今回の騒動の発端となった重要な要素だ。今のところこの問題に対する答えは出ていないが、ファンはパッカーズが10年以上前のブレット・ファーブの離脱時にどのような扱いをしたのかを思い出さずにはいられない。

ギュートカンストGMは「決断やコントロールを放棄することはない。文字通り、アーロンの考えを取り入れ、なぜわれわれがこのようなことをしているのかを説明する方法を見つけることだ。彼が不満に思っていることの大部分はそこなんだ。彼は、私たちがなぜそうしたのかを正しく理解していないのだと思う。そしてまた、私たちはそれを彼に十分に伝えられなかったのだろう」と述べている。

あらゆる人間関係に言えるように、効果的なコミュニケーションは必要不可欠だ。パッカーズはロジャースとの関係においてそのことを学んでいるようだ。手遅れになる前に効果的なコミュニケーション方法を学び取ることを、グリーンベイ・ファンは願っているだろう。

【RA】