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WRケス・ワトキンスについて「秘密兵器がバレた」とイーグルスQBハーツ

2021年08月14日(土) 21:45

フィラデルフィア・イーグルスのジェイレン・ハーツ【AP Photo/Chris Szagola】

プレシーズンフットボールはスキームについてあまり多くのことを教えてはくれないが、ベテラン選手たちの様子をうかがったり、来るシーズンの展開を想像したりすることはできる。しかし、その断面は時に、これまで予想されていたよりも突出した役割を与えられるかもしれない選手の姿をのぞかせてくれることがある。

ダイヤモンドの原石が見つかる場所、それがプレシーズンフットボールだ。

好例といえるのがフィラデルフィア・イーグルスのワイドレシーバー(WR)ケス・ワトキンスだ。

「秘密兵器がバレちまったな」と現地12日(木)に24対16の黒星を喫したイーグルスのクオーターバック(QB)ジェイレ・ハーツはチームの公式コメントで述べている。

第1クオーターでスクリーンパスを受けたワトキンスはスピードで敵を振り切り、ゴールまで疾走して79ヤードのタッチダウンを決めた。その前のドライブでは惜しくもつながらなかったが、ハーツがワトキンスに98ヤード級のパスを投げる場面もあった。ワトキンスはディフェンスをかわして数歩進んでいたが、エンドゾーンに立っていたハーツがオーバースローしてしまい、半歩ほど届かなかった。

「98ヤードのタッチダウンはやってみたいな」とハーツは言う。「それはもちろんだ。ここに来るまで1つ考えていたことがあるんだけど、(ワトキンスという)秘密兵器がバレちまったなと思ってさ。それは残念かな」

南ミシシッピ大学出身で2020年に6巡目指名を受けたワトキンスは、ルーキーとして13試合でプレーしたが、7回のキャッチで106ヤード、タッチダウン1回にとどまった。ドラフト上位指名権を使ってポジションを補強したにもかかわらず、ワトキンスが才能を開花させたことによって彼のプレー時間が増えるかもしれないことについて、イーグルスの内部からは不満の声も聞かれる。

「このオフシーズン中はずっと、全てを内に秘めてきた」とワトキンスは試合後に語った。「俺にはできやしないって人々に言われた。“あいつはただ速いだけ”ってな。俺は全てを飲み込んで仕事に集中した」

ワトキンスとしてはスピードだけではないことを知ってもらいたいのだろうが、2021年にインパクトを与えるチャンスをつかんだのは、その驚くべき俊足だった。彼を追いかけたスティーラーズのルーキー、トレー・ノーウッドはまるでおがくずの中を走っているように見えたほどだ。

「彼(ワトキンス)がああいったタイプのスクリーンを取るのを見たのは初めてじゃない」とハーツは言う。「ああいうスクリーンだとこれまで2打席2安打って感じだろう。彼は素晴らしい選手だと思うよ。彼は俺の考えを知っていて、チームにとってすごくいい選手になると思う。この試合は彼の努力や去年からの進歩を全て示したわけじゃない。俺たちは(そこから)2人でここまでやってきたんだ」

ワトキンスはデプスチャートのポジションを争う立場でトレーニングキャンプ入りした。2020年の1巡目指名、ジェイレン・リーゴーに2021年の1巡目指名デボンタ・スミスが加わり、グレッグ・ワードJr.、トラビス・フルガム、さらには元2巡目指名のJ.J.アルセガ・ホワイトサイドもその地位を狙っている。ワトキンスが9月にスナップを受けるためには、際立った夏にしなければならない。ここまでは、印象を残した。

「ケスのように走れる選手がいると、ディフェンスにとっては非常に大きな脅威だ。すると、守りが弱くなる」とヘッドコーチ(HC)ニック・シリアニは述べた。「見て、分かっただろう? 君たちは全ての練習に来ていたからね。彼がディフェンスの後ろに入り、ボールを持ってプレーするのを見たはずだ。そこがケスの素晴らしいところだよ。いい手を持っていて、それを伸ばし、プレーを作ることができる。あれだけのスピードがあり、足でプレーを作ることができる。それはわれわれがこれからも進化させたいと思っている武器だ」

プレシーズンは当てにならない。だが、大きな見せ場を作る可能性を持った意外な注目人物のヒントを与えてくれることがある。ワトキンスはこの日、自分から目を離さない方がいいということをフットボール界に知らしめた。

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