ニュース

第1週の先発QBをまだ正式に発表しない意向の49ersシャナハンHC

2021年08月24日(火) 12:46


サンフランシスコ・49ersのジミー・ガロポロ【AP Photo/Jae C. Hong】

サンフランシスコ・49ersのヘッドコーチ(HC)カイル・シャナハンはトレーニングキャンプの開始にあたってクオーターバック(QB)ジミー・ガロポロが先発としてシーズンを迎えることを期待していると述べ、4月のドラフトでQBトレイ・ランスを指名して以来チームが繰り返してきた方針を強調していた。

現地22日(日)に49ersがロサンゼルス・チャージャーズ戦を15対10で制したのを受けて、シャナハンHCはガロポロを正式に先発に指名する準備はできたかと聞かれた。

得意気な笑みを浮かべたシャナハンHCは「いや、その発表はしない。惜しいね」と返している。

シャナハンHCは先発QBの「指名」を急いでいないとしながらも、9月12日(日)に行われるデトロイト・ライオンズとの開幕戦までには指名することを約束した。

発表の時期については「私がしたい時」としたシャナハンHCは、「(いつになるか)具体的な日付を言うのは難しい。われわれが適切だと判断した時に発表するだろう。開幕戦の日曜日までであることは約束する」と『Bay Area News Group(ベイエリア・ニュース・グループ)』に話している。

日曜日の試合で先発したガロポロは15プレーにわたるドライブでワイドレシーバー(WR)ブランドン・アイユークに対する高いパスを放った。アイユークは高くジャンプしたにもかかわらずこれをキャッチできず、インターセプトを喫している。このドライブでガロポロはパス6回中3回を成功させて15ヤードを稼ぎ、9ヤードを稼いだパスも見られたが、最後は前述のインターセプトに終わった。

シャナハンHCは試合後、トレーニングキャンプの開始時から何か変わったことはないかと聞かれ、「今のところはないな。毎週大きな変化があればとは思っているが、現時点ではあまり変わらない」と答えている。

つまり49ersの状況はオフシーズン中と変わっておらず、ガロポロが先発と予想される中、ランスがいつその座を奪ってもおかしくない実力を見せている。

ベテランのガロポロ本人は、プレシーズンゲーム1試合を残してシャナハンHCが自分を先発に指名していないことを心配していないようだ。

「カイルはいつも俺たちに挑んでくる」とガロポロは述べている。「彼は俺たちのことをよく分かっているし、特定の方向への持っていき方も心得ている。だから俺は心配していない。今はレイダース戦に向けて実践を重ねるだけだ。チャージャーズ戦でチームは有意義な一週間を送ることができたし、得たものも大きい。他に心配しなきゃいけないことは山ほどある。(先発の指名については)なるようにしかならない」

試合の序盤、第2クオーターで出場したランスは不安定なスタートを切った。ルーキーのランスは最初の6回のパスの内1回(9ヤード)しか成功させることができず、その間にインターセプトとサックを1回ずつ喫している。リズムをつかんでオフェンスを進めることができたのは第4シリーズのことだった。全体3位で指名されているランスが苦しんだ要因の一つとして、ターゲットがキャッチしにくい速球が挙げられる。プレシーズンの2試合を通して、ランスのターゲットとなったレシーバーは合計で7回パスを落とした。

ランスは出だしでもたついたものの、49ersがトレードアップをしてまでドラフトしたルーキーにふさわしいダイナミックなプレーメーカーの素質を現すまでに時間はかからなかった。最後の8回のパスの内7回を成功させ、最終的には102パスヤードとタッチダウン2回、インターセプト1回をマークして試合を終えている。

ルーキーが不安定なスタートから立ち直ったことに満足した様子のシャナハンHCは次のように話した。

「これはわれわれが話し合って期待していた通りだ。試合前に必ず彼に言っていることがあるんだ。誰かを感動させようとか、何かを証明しようとか、そういうことは考えるな。試合ではただより良くなることに集中しろ。良いことでも悪いことでも、君にとっては約500日ぶりの2回目の試合なわけだから、すべてを吸収してそこから学ぶようにしなさい、と」

「彼は良くやった。トレイは何をしても注目される。それが今の状況だ。彼にそのプレッシャーがなければと思うが、それがこのビジネスの現実だ。先週は80ヤードのタッチダウンパスを決めた。そのプレーで人々を楽しませることができたから、少しはプレッシャーが軽くなったんじゃないか。ところがその後はあの時ほど思うようにプレーできなかった。今回の試合はより集中力があって落ち着いていた。早めにいいプレーが見られるかと思ったがそうはならなかった。彼は間違った方向に進んでいるようだった。だからこそ私はあの2分間のプレーに興奮したんだ」

遅かれ早かれシャナハンHCはガロポロが第1週に先発することを正式に発表すると思われる。だがシャナハンHCの反応を見ていると、週を追うごとにランスへの熱望と、この新人がオフェンスにもたらしてくれるものへの期待が高まっていることが分かる。それがバイウイークの後の第7週であろうとその前であろうと、あるいはガロポロがシーズン出だしから好調であればもっと後であろうと、いずれはランスが先発の座につくことになるだろう。

シャナハンHCがガロポロを先発に指名しないのは、このHCにとっては単なる形式的なものなのかもしれない。しかしそれは、シカゴ・ベアーズのマット・ナギーHCが見せている新人QBを取り巻く状況への対応とは正反対と言える。ナギーHCはQBアンディ・ダルトンが第1週の先発であることを繰り返し明言している。シャナハンHCは、QBジャスティン・フィールズに対するナギーHCの姿勢よりも、ランスに対する考えが変わる余地を少しでも残しておきたいと考えているように見える。

いずれにしても、サンフランシスコではランストレインが線路の上を疾走している。問題は、シャナハンHCがどれだけ早くこの列車を駅に停められるかということだろう。

【R】