ニュース

2人のQBによるローテーションで爆発的な可能性を見せた49ers

2021年08月30日(月) 18:45


サンフランシスコ・49ersのトレイ・ランス【AP Photo/Tony Avelar】

現地29日(日)に行われたプレシーズンラストの試合でサンフランシスコ・49ersはレギュラーシーズン開幕前にクオーターバック(QB)を調整する最終的な機会を得た。

カイル・シャナハンHC(ヘッドコーチ)はそれを最大限に活用している。通常の先発QBであるジミー・ガロポロが初めに出場したラスベガス・レイダース戦は34対10で勝利した。シャナハンHCは4月にジェネラルマネジャー(GM)のジョン・リンチとともにトレードアップして獲得したQBトレイ・ランスをすぐに投入し、その結果は彼らの期待を裏切らなかった。

ランスは49ersのスクリメージからの4プレー目で試合に出ている。ランスがリードオプションでランニングバック(RB)ラヒーム・モスタートにハンドオフし、ライトタックル(RT)のゾーンには広いレーンができた。モスタートはハンドオフで受けたボールを17ヤード先まで運んでファーストダウンを獲得し、リーバイス・スタジアムの観客から歓声が上がっている。

その6プレー後には、ランスではなくガロポロがラッシングタッチダウンを決めた。ボールを運んだ選手が誰であろうと、49ersのQBのローテーションはすでに成功したと言える。そして、それは彼らがレップスを分け合う間、効果を発揮し続けるだろう。

ガロポロはその後、報道陣に対し、センター(C)の後ろが頻繁に変わることによる予測不可能性がレイダースの足を引っ張ったと話している。

ガロポロは『The Athletic(ジ・アスレチック)』のマット・バローズを通じて、レイダースの守備陣がスナップ前の最後の数秒間、まだアサインを整理していた場面があったとメディア関係者に説明し、次のように話した。

「彼らには大変だったと思う。それこそ俺たちが実現しようとしていたことだからな」

彼らはシャナハン時代にはこれまで見られなかった新しい種類の燃料で49ersのオフェンスを活性化させた。効果的なブロッキングとランニングで構築されたチームが、ランスの関与によってその危険性を飛躍的に高めている。ランスは長距離を駆け抜ける能力を十分に持っているが、パスの能力にも敬意を払わなければならない。後半にパス能力の未熟さを露呈したものの、相手にとって脅威となる能力を持ち合わせるランスの存在は常に予測不可能な状態を作り出している。

この不確実性が49ersを攻撃マシンに変え、49ersに対する試合の計画を練ることは相手ディフェンスにとって悪夢になる可能性がある。

『The Athletic(ジ・アスレチック)』のデビッド・ロンバルディによると、ガロポロは次のように話しているという。

「それ自体がチームのためになる。この方法で2回のドライブを成功させ、どちらも得点した。これはディフェンスにとってはきつい」

「チームのためになることなら何でもする、俺はそのためにここにいる」

その言葉を実感したのは第2クオーターにランスがゾーンリードオプションでタッチダウンを決めた直後だった。

計画自体は派手ではないが独創的なものだった。多くのコーチが対戦相手から新しいスキームを隠すために通常のスタイルを貫いているが、シャナハンHCは慣習にとらわれず、スナップ前にレシーバーをジェットモーションで送り出し、ランスがスナップを受けた後にハンドオフのフェイクをさせた。ランスはゾーンリードオプションを実行し、リードマンの反応を見てボールをキープすると、エンドゾーンに向かって走っている。

大量のミスディレクション。あらゆる角度からディフェンスを攻撃できる可能性がある。これは10年前の49ersとは違う。

「発進。楽しい旅になりそうだ。クリエイティブなプレーデザイナーと多才なチェスの駒がいる。さあやろう!」

これが49ersのフットボールの未来なのか? それとも、ガロポロとランスが出場した数回のドライブによって著しく拡大された攻撃能力のほんの一例だったのだろうか?

ハーフタイムにインタビューに応じたシャナハンHCは、今回のプレーが必ずしも49ersが今後どのように活動するかを示す例ではないとして、大げさに騒がれることを制している。しかし、最終的な記録には残らないプレシーズンゲームは、シャナハンHCのアイデアを試すのに絶好の機会だった。

いつかガロポロの日に終わりが来た時、49ersのファンはポストガロポロ時代の未来がどうなるのか前もって見ることができた。とは言え、ランスがいくつかの中距離パスをオープンなレシーバーに通す一方、近くにいた守備選手のプレーに影響されたワイドレシーバー(WR)ジャレン・ハードがボールを落としてしまう場面も見られている。新人のランスがNFLレベルのパスを通せるようになるための道のりは長い。

QBネイト・サッドフェルドに仕事を引き継ぐまでに、ランスは空中戦では平凡なパス13回中6回成功、46ヤード、パサーレーティング55.3という結果を残した。ガロポロは少ない出場回数でも同様の成績を残し、パスを7回中4回成功させて64ヤード、パサーレーティングは87.8となっている。

しかし、今シーズンの49ersはランスだけに頼る必要がないという、ぜいたくな状況にある。ガロポロが先発になると考えられているため、シャナハンHCはランスを好きなように配置することができる。もし、日曜日の試合が的確なプレビューだったとしたら、その可能性は完全に破壊的とまでいかなくとも、十分に危険なものになり得る。

【RA】