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勝利を必要とするライオンズQBゴフ、古巣との対戦は“他の試合と変わらない”

2021年10月21日(木) 15:02

デトロイト・ライオンズのジャレッド・ゴフ【AP Photo/Paul Sancya】

クオーターバック(QB)ジャレッド・ゴフは精彩を欠くプレーに焦りを感じ始めている。

ゴフが率いるデトロイト・ライオンズが、今のNFLで唯一の未勝利チームになっているのだ。

ロサンゼルスへの帰郷に、これ以上のタイミングはなかったかもしれない。

ゴフとライオンズはゴフの古巣であるロサンゼルス・ラムズと対戦する。ラムズの司令塔は昨シーズンまでライオンズのクオーターバックだったマシュー・スタッフォードだ。ゴフは現地20日(水)にいつもよりもモチベーションが高まっていると認める一方、何よりも0勝6敗のライオンズが勝利を必要としているのが現実だと話している。

チームの記録によれば、ゴフはラムズ戦を前にした心境を問われて「興奮している。ワクワクするね」と答えたという。

「これもまた1ゲームだ。繰り返すが、今週に戦うのが誰であろうと、俺の歴史やブロック(ディフェンシブエンド/DEマイケル・ブロッカーズ)の歴史がどうであろうと、このチームやラムズのすべての人々の歴史がどうであろうと、勝たなきゃいけないっていうのが簡単な答えであり、現実だと思う。俺たちが勝たなきゃいけないのがより現実的なことで、そこにフォーカスするわけにはいかない」

いつもは控えめながら、水曜日に注目の的となったゴフは、ラムズとの再会も“その他の試合”と同じだとしつつ、“挑戦的態度になっている”と認めた。

最も驚くべき点はおそらく、ゴフがSoFiスタジアムで初めてファンの前でプレーすること、そして、元チームメイトたちと対戦するのは楽しいだろうと考えていることだ。

「楽しいだろうな。ファンがいるところを見たことがないから、それを見るのや、ただそこにいるだけでクールだろう。要するに、何かの感情にあふれたり、そういうふうに考えたりするのは、自分の身勝手だと思うんだ。もちろん、試合前には友人や前のチームメイト、コーチ、スタッフメンバーとかに会うだろうし、彼らに会えるのはうれしいだろう。でも、ホイッスルが鳴れば、その他の試合と変わらない。そのときには感情はどこかへ行っている。そういうものは、本当に今はもう外のことだと思う。それをこの試合に持ち込むのは自分勝手さ」

ゴフとスタッフォードがそれぞれ元のチームと戦うという点で今回の試合は興味深いマッチアップであり、“リベンジゲーム”はいつでも魅力的だが、この試合にはそれにとどまらず、心を引きつける要素が多い。

ゴフとスタッフォードは共に元全体1位指名選手であり、お互いに自分をドラフトしたチームと対戦する。『NFL Research(NFLリサーチ)』によれば、現在のドラフト時代が始まって以来、2人はそれぞれ、自身を選択したチームで先発し、自分をドラフトしたチームとの試合でも先発する9人目と10人目のクオーターバックにあたる。

ラムズはスタッフォードと共に5勝1敗のスタートを切っている。これは、2011年以来でスタッフォードが決してライオンズでは達成できなかったことだ。

一方のゴフは、ヘッドコーチ(HC)ショーン・マクベイと離れてから白星を挙げていない。ルーキー時代にジェフ・フィッシャーの元で0勝7敗だったゴフは、ライオンズのダン・キャンベルHCの元で0勝6敗に沈んでいる。マクベイHCの指揮下でプレーしていた際には、42勝20敗をマークしていた。

「それは一つのスタッツだと思う。いや、俺はそれを重視しない」とゴフは言う。

「ショーンは本当にすごいコーチだと思う。前にも言ったように、俺は彼のことをものすごく尊敬している。彼がフィールドでやること、俺がそこにいたときから彼がいかにコーチしてきたかを尊敬しているし、彼らがやっていることはとても素晴らしいと思う」

マクベイのスタッツを重視していないというゴフだが、マクベイHCが自分について語った感情については感謝している。マクベイHCはこのオフシーズンに行われたゴフとスタッフォードのトレードをもっとうまく進め、ゴフとより多くのコミュニケーションを取ればよかったと話していた。

「ありがたいよ。そういうことを言えるのは立派な人だ。だから、感謝している。どういうふうにそれが起こったかは変わらないけれど、彼がそう言ったことに感謝しているし、そこにいる彼らをとても尊敬している」とゴフは語っている。

かつてはラムズの新たな希望であり、ロサンゼルスをスーパーボウル出場まで導いた急成長中のQBだったゴフは、今は――それが良いか悪いかはともあれ――未勝利のライオンズの顔であり、チャンスが失われた場所へ向かい、古巣と対戦しようとしている。

試合前にさまざまな話題になっていることも、いったんキックオフが過ぎればそこで起こることに影響を与えないと考えているゴフ。しかし、それまでは単にかつてホームと呼んだ街の話というだけではなく、おそらく不本意ながらも、モチベーションを高める要素でもあるようだ。

「要は、もう言ったようにみんなに会えるのは楽しみだし、そこに行くのも楽しいだろう。そして、もちろんモチベーションも高まっている」と話すゴフは、次のように続けた。

「当然、やってやるって気持ちになっているさ。そのことは話した。最後はちょっと敬意が感じられない部分があった。最後は嫌な感じがしたし、今でもそれを感じられる。まだ挑戦的な態度なのさ。だが同時に、ゲームが始まれば、俺がそういう感情を少しでもプレーに持ち込めば自分勝手だし、この試合も他のどの試合とも同じようにプレーするつもりだ。それに正直言って、試合が始まっちまえば、そういう気持ちを感じるような心配はしていない。本当にそうなんだ」

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