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攻撃陣の苦戦について「今は何も素晴らしいとは言えないが、その状況と戦っていく」とチーフスHCリード

2021年11月04日(木) 00:13


カンザスシティ・チーフスのパトリック・マホームズ【AP Photo/Charlie Riedel】

勝利を渇望していたクオーターバック(QB)パトリック・マホームズと彼が率いるカンザスシティ・チーフスは現地1日(月)夜に行われた試合で勝利を収めて勝率を5割に戻した。

しかしながら、得点よりもターンオーバーが多い傾向にある不調のオフェンスを立て直すための模索は今も続いている。

20対17で勝利したニューヨーク・ジャイアンツ戦で新たに2回のターンオーバーを喫したことでチーフスは今季、リーグワーストとなる19回のターンオーバーを記録し、マホームズはキャリアワーストとなる7試合連続インターセプトを食らっている。

昨年の高次元にいたチーフスは姿を消し、今季はたとえ勝利を収めたとしても、チーフスにとっていい時代とは言えない状況だ。

試合後、ヘッドコーチ(HC)アンディ・リードは次のように述べた。「もちろん、今は何も素晴らしいとは言えないが、われわれはその状況と戦っていく。試合においてもそうだ。みんなで戦い、お互いにあきらめず、“どうしよう、思い通りにならない”というお手上げ状態でもやり続けてきた。みんながあきらめなかった。これからもそれを積み重ねていく。進み続ける。つまり、彼らが投げ出すことはないし、人々が理解するためには重要なことだと思っている」

下馬評の予想通りに白星を挙げたとはいえ、失点数で23位に位置するジャイアンツのディフェンスを相手にチーフスは20得点、368ヤードの攻撃しかできなかった。

マホームズは試合開始からパスを8回中8回成功させたものの、その後は40回中21回成功と苦戦している。最終的にマホームズはパス48回中29回成功でタッチダウン1回、インターセプト1回、275ヤード、パサーレーティング74.6を記録した。AP通信年間最優秀選手賞を獲得した経歴を持ち、優秀であることが当たり前とされてきた選手にとっては見劣りする結果となったが、シーズン第7週に行われたタイタンズ戦でのパス35回中20回成功、206ヤード、タッチダウン0回、インターセプト1回、パサーレーティング62.3という結果よりは改善されたと言える。前週から改善が見られたという事実はマホームズとオフェンス全体の現状を物語っている。

「俺たちは今の状況から抜け出し、実行に移す方法を見つけようとしているところだし、実際にそうなったら、俺たちは止めるのが難しいオフェンスになるだろう」とマホームズは言う。

月曜日、チーフスは10回の攻撃(ニーダウンを除く)でタッチダウンを2回決めたが、後半は1度も決められなかった。前述したリーグ最多19回のターンオーバーはチーフスが昨季全体を通して喫したターンオーバー数よりも3回多い。

リードHCは「私たちは目的を達するために努力し続けなければならない。評価と仕事を確実に行う。それが私たちの仕事だ」と話している。

パニックが起きたり、非難の声が上がったりしないのはリードHCと2年連続でスーパーボウルに出場したチームの経験の賜物だと言えよう。

それにもかかわらず、チーフスは状況を変えようとしているのではなく、これまでやってきたことが過去3シーズンのように最終的にうまくいくと確信しているだけのようにも見える。シンプルなプレーで十分と思われる場面で、奇策やトリックプレーなどがまだ重視されているのだ。

マホームズはディフェンスがそれらに対応してきているからだと考えている。しかし、逆に言えば、チーフスが調整を必要としていることを意味している。

「俺たちはいつもと同じだと思う」と話すマホームズは「俺たちを上回るディフェンスと対峙すればターンオーバーする。今でもよくボールを動かしていいプレーも発揮しているけど、ターンオーバーしたり、ペナルティを受けて追い込まれたりすると、ドライブが台無しになってしまうんだ。素晴らしいことをたくさんしてきたと思っているけど、このリーグでは実行力にかかっている」と続けた。

最悪の状況で立ち直る必要があったチーフスの初ドライブは、何ができるのか、何をすべきなのか、そして、必然的に何が起こっているのかを示す縮図だった。

マホームズは序盤8回のパスを成功させて順調にドライブを導いていた。チーフスは11回のプレーで70ヤード前進。その後、マホームズがワイドに動き、タイトエンド(TE)トラビス・ケルシーが直接スナップを受けた後にマホームズにボールを投げるという、ややわざとらしくもあるプレーコールを採用した際に初めてインコンプリートを喫した。このパスインコンプリートに続き、スクランブルしたマホームズがジャンプしてパスを放ったものの、ピンボールのようにボールが弾かれてインターセプトされた。そうして、せっかくの努力が水の泡となっている。

わずか1ドライブ目でマホームズは7試合連続となるインターセプトを喫しており、『NFL Research(NFLリサーチ)』によれば、これはマホームズにとって高校、大学、NFLのいずれのキャリアでも初めての出来事だったという。

しかし、チーフスには幸運が舞い込んでいる。ジャイアンツのQBダニエル・ジョーンズが軽率に投げたパスに対し、チーフスのラインバッカー(LB)ウィリー・ゲイJr.がインターセプトを決めて敵陣13ヤード地点まで攻め込めたのだ。

その4プレー後、第3ダウン残り6ヤードでマホームズがワイドレシーバー(WR)タイリーク・ヒルにパスを通したことで先制点を挙げて、チーフスは安堵のため息をついたに違いない。しかし、これは試合の展開を暗示するものとはならず、この後にチーフスがエンドゾーンに到達したのはわずか1回だけで攻撃面での問題は根強く残っている。

前述の通り、マホームズは「俺たちは今の状況から抜け出し、実行に移す方法を見つけようとしているところだし、実際にそうなったら、俺たちは止めるのが難しいオフェンスになるだろう」と強調した。

この先、チーフスはグリーンベイ・パッカーズやラスベガス・レイダース、ダラス・カウボーイズと対戦予定で、これらの試合では多くの人々が激しい撃ち合いになることを期待しているだろう。しかし、現在、チーフスが最も重視しているのは自らの足を撃つのを止めることだ。

【RA】