パッカーズQBロジャース、新型コロナ陽性反応後の初コメントでワクチン未接種の理由を説明
2021年11月06日(土) 13:08現地5日(金)、グリーンベイ・パッカーズのクオーターバック(QB)アーロン・ロジャースは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の陽性反応が出たことにより、日曜日に控えるカンザスシティ・チーフス戦を欠場することになって以来、初めて公の場で発言した。
『The Pat McAfee Show(パット・マカフィー・ショー)』に参加したロジャースはウイルスに感染した後も「体調はいい」と語っている。また、ワクチンを接種していないロジャースは8月に“免疫を獲得した”という発言をしたとき、だまそうとしたわけではないとして、冒頭で長々と次のように語った。
「俺は今、差別的な人たちの標的になっているのを自覚している。だから、キャンセルカルチャーの棺に最後の釘が打たれる前に、出回っている自分に関するたくさんのあからさまなウソについて、はっきりさせておきたい。まず、最初の記者会見でウソはついていない。あの時はリーグ全体で魔女狩りが行われていた。メディアの誰もが、誰がワクチンを接種したのか、それが何を意味するのか、誰が自分のことしか考えていないのか、誰がそれについて話すのか、個人的な判断だし、自分の医療情報を開示するべきではないと言えばそれが何を意味するのか、といったことをとても気にしていた。あの時は、免疫を獲得したと言うことが自分の考えだったんだ。それは何かの策略とかウソじゃなくて、本当のことだった」
当時、自分の状態を“免疫を獲得した”という言葉で表現したことに対し、追加の質問がなされていた場合、ロジャースは次のように答えていただろうと明かしている。
「いいか、俺は反ワクチン派じゃないし、地球平面説を信じているわけでもない。俺は批判的思考を持つ人間なんだ。分かるだろう。自分のドラムの音に合わせて行動している。身体の自律性と、身体のために選択する能力を強く信じているし、何かしなければならない、とか、ある種の差別的な文化や熱狂的な集団に嫌々従う必要はない。健康は誰にでも当てはまるものじゃない。俺の場合はシーズンオフにたくさん勉強したし、あれは『Jeopardy!(ジェパディ!)』の司会をするために勉強したようなものさ。もしくは、試合に出るために毎週、勉強した」
ロジャースはmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンに含まれる成分にアレルギーがあるため、モデルナ社製とファイザー社製のワクチンは受けられないと明かした。また、ジョンソン・エンド・ジョンソン社製のワクチンは血栓症発症の恐れがあるとして4月に一時使用を中止されたことを理由に、その治療法を否定した。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、血小板が少なくなる血栓症はワクチン接種済みの18歳から49歳までの女性で100万人あたり約7人の割合で発症するとのこと。50歳以上の女性や、男性についてはすべての年齢で、さらにまれなケースとなる。
また、ロジャースは父親になることを目標としており、「俺の知る限り、ワクチンにまつわる不妊症や生殖能力の問題に関する長期的な研究は行われていないから、それが不安だったのは確かだ」とも語った。CDCはCOVID-19ワクチンが不妊症を引き起こすという証拠は男女問わずないと発表している。
ロジャースはオフシーズンに時間をかけてワクチンやウイルスについて調べ、医療関係者と相談した上で、ワクチンを接種しないと決めたと言い、“免疫がある”と発言することになった経緯を次のように説明した。
「当時は、情報を共有するための時間と場所があるんだって心底思った。魔女狩りみたいなもんだった。彼らは“ファイザーを打った、モデルナを打った”とかをすぐに言わない人たちを一人残らずさらして、恥をかかせて誹謗中傷したかったのさ。それを取っ払いたかった。チームの誰もが俺がワクチンを接種していないと知っていたし、組織の誰もが俺がワクチンを接種していないことを知っていた。誰にも隠していなかった。延々と続くこの会話を最小限に抑えて緩和しようとしていた」
『NFL Media(NFLメディア)』は今週、ロジャースが抗体値を上げるためのホメオパシー療法を主治医から受けたと報じ、NFL選手会(NFLPA)にその状況を確認するよう求めていた。NFLPAとNFLは感染症専門コンサルタントを共同で指名し、リーグはロジャースの受けた治療法では新型コロナウイルスからの防御効果は証明されないということを容認した。そのため、ロジャースは免除を受けることができず、日々の検査、マスクの着用、検査で陰性となっても陽性者との濃厚接触があれば5日間の隔離を余儀なくされるというプロトコルなど、さまざまな制限を受けることになった。
金曜日、ロジャースは自分の治療に関するNFLの決定を批判した。また、ワクチンを接種していない選手に対するリーグのプロトコルについても、科学的な裏付けがないと考えていると何度も主張して抗議している。ロジャースが特に問題提起しているのは、未接種の選手がメディアに向かって発言する際や、インアクティブの状態でサイドラインにいる際のルールについてだ。ロジャースは今年、インタビューを受ける際にマスクを着用してこなかったが、これについてはNFLが検討しているところだ。
元チームメイトのA.J.ホークから、メディアの前に姿を現す際にマスクを着用していないことについて、リーグやパッカーズと何か会話があったかと聞かれたロジャースは「話はしてきた」と答えている。「余談だけど付け加えておく。偉大なる人(マーティン・ルーサー・キング・ジュニア)は不当なルールや意味のないルールに異議を唱える道徳的義務があると言っている。個人的な意見としては、俺にとってあれは無意味だ。毎日、検査を受けている。毎日、毎日だ」
「もし午前中に検査して、施設全体でマスクをして、ただワクチンを接種していないことを恥ずかしいと思わせたり、ワクチン未接種だという話を広め続けたりするためにマスクをつけるよう求めて、部屋に入れるのは、未接種の俺が持っているわけじゃないウイルスに対するワクチン接種を完全に済ませた人だけだとすれば・・・6フィート以上――多いときには20フィートも離れたところに座っているのは言うまでもないし・・・。そこに科学的根拠があるの? “ああ、それは完璧に理にかなっている”って説明できる科学的根拠はどこにあるんだ? だから、それには科学的根拠がないというのが俺の意見だった。他のプロトコルはすべて忠実に守っていた」
NFLプロトコルはロジャースが2020年11月まで選手代表を務めていたNFLPAと協議して合意されたものだ。
今回の陽性反応を受けて、ロジャースは今後90日間――スーパーボウル開催の前週まで――毎日のCOVID-19の検査を免除される。ただし、毎日の症状確認と週ごとの検査は対象のままだ。
37歳のロジャースはウイルスに感染したことを知った後、ポッドキャストのホストであるジョー・ローガンに治療法を相談したとして次のように話した。
「モノクローナル抗体、イベルメクチン、亜鉛、ビタミンCとD、HCQ(ヒドロキシクロロキン)を摂取しているけど・・・かなり信じられない気分だ」
FDA(アメリカ食品医薬品局)はヒトまたは動物におけるCOVID-19の予防または治療のためにイベルメクチンを使用することを認可または承認していない。
ロジャースは45分以上に及ぶインタビューの中で、全国のワクチン未接種者に対して不当なレッテルを張っていると考えられるメディアを非難した。
「今、俺が置かれている状況は論争ではなく会話であるべきだ。俺は自分の体にとって何がベストかを考えて決断した。健康状態とその決断の理由をみんなに伝えただけ。これは論争じゃない。会話であるべきだ。なぜなら、このウイルスと陽性反応のせいで、俺は10日間を休まないといけない――もう一度言うけど、この任意の数字の科学的根拠はどうでもいい。体調はとても良いし、もしこれがインフルエンザだったとしても、日曜日にプレーしない理由にはならない。特に今の体調ではね」
ワクチン未接種の選手がCOVID-19に陽性反応を示した場合、最低でも10日間、隔離措置の対象となる。ロジャースの復帰は最短でシーズン第10週に行われるシアトル・シーホークス戦の前日となる。
2020年ドラフトでパッカーズが1巡目で指名したバックアップQBのジョーダン・ラブが今週の日曜日にパッカーズで初先発を務める予定だ。
「ジョーダンにはとても期待している。俺は彼と会話してきた。その場にいない状態で試合を見るのはよっぽど変な感じがするだろうな。所属チームの試合をテレビで見るのはこれで3回目だ。これまでの2回は2006年と2017年に手術を受けた後だった。だから、今回は難しいだろう。でも、一歩下がってみて、ウソをつくのをやめて、魔女狩りもやめてキャンセルして、これは会話するべきことなんだと気づいて、論争するんじゃなく、愛と結びつきを持って前進していこうよ」
【RA】