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COVIDプロトコル違反が発覚した場合、罰金はあり得るも出場停止処分は科されないパッカーズQBロジャース

2021年11月08日(月) 14:52

グリーンベイ・パッカーズのアーロン・ロジャース【AP Photo/Morry Gash】

MVPに輝いたこともあるクオーターバック(QB)アーロン・ロジャースの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン未接種が明らかになったことを受けて、NFLはグリーンベイ・パッカーズの関係者への聞き取り調査を開始しており、COVIDプロトコルの遵守状況を確認するためにビデオなどの証拠を入手する手はずとなっている。違反が見つかった場合、ロジャースとパッカーズには罰金――ただし、出場停止処分ではない――が科せられる可能性がある。

現地3日(水)に受けたCOVID-19の検査で陽性になったことで日曜日に行われたカンザスシティ・チーフス戦を欠場したロジャースを含め、リーグとチームはすべての選手のワクチン接種状況を把握している。しかし、ロジャースに陽性反応が出たことでその状態が世間に知られ、NFLは木曜日に再調査を開始する運びとなった。

NFLとNFL選手会(NFLPA)が協議して合意されたCOVID-19プロトコル――ロジャースは金曜日に出演した『The Pat McAfee Show(パット・マカフィー・ショー)』で「いくつかのルールは科学的根拠に全く基づいていない」と強く批判していた――があるにも関わらず、記者会見にマスク未着用で登場したり、多くのチームメイトとハロウィンパーティーに参加したりしたため、ロジャースはクラブやリーグから罰金を科される可能性がある。そして情報筋の話によれば、NFLはその両方を検討中だという。

NFLは水曜日に以下のような声明を発表している。

「クラブ施設内でのCOVIDプロトコル実施の最も大きな責任は各クラブにある。プロトコルの適切な実施に不備があった場合、過去には個々のクラブに対する懲罰が科されてきた。リーグはグリーンベイの現状を把握しており、本件をパッカーズと共に調査する」

ワクチンを接種していないため、ロジャースは10日間の隔離を余儀なくされ、チームに復帰できるのは次戦のシアトル・シーホークス戦が開催される前日の13日(土)だ。

標準的なプロトコル通り、NFLはロジャースがどこでウイルスに感染したのかを特定するために研究室でゲノム検査を行っている。また、練習生のQBカート・ベンカートをはじめとする他の人員――スターワイドレシーバー(WR)デイバント・アダムスや守備コーディネーター(DC)を務めるジョー・バリーを含む――もこれまでに検査で陽性となっていたが、最近になって復帰を果たした。

NFLとNFLPAによるプロトコルのもと、今回の陽性反応を受けてロジャースは今後90日間――スーパーボウル開催の前週まで――毎日のCOVID-19の検査を免除される。ただし、毎日の症状確認と週ごとの検査は対象のままだ。

ロジャースは『パット・マカフィー・ショー』に出演した際、記者会見でのマスク着用義務以外はすべてのプロトコルに「忠実に」従ってきたと語った。記者会見でのマスク着用義務については(ワクチンを受けていないすべての選手と同様に)毎日、COVIDの検査を受けている上に完全にマスクを着用した報道陣とは自然に距離を置いているため、意味がないと主張している。もちろん、NFLはトレーニングキャンプのときから記者会見を見ており、ロジャースがマスクを着用していないことを知っている。

それより問題になる可能性があるのはハロウィンパーティーだ。映画のキャラクター“ジョン・ウィック”に扮したロジャースはマスクを着用せずにタイトエンド(TE)マーセデス・ルイスやWRランドール・コブなどのチームメイトと撮った動画や写真をソーシャルメディアに投稿。NFLとNFLPAのプロトコルでは、ワクチン未接種の選手は3人以上のグループでクラブ施設外に集まったり、屋内のナイトクラブやバーに行ったりするなどのさまざまな活動が禁止されている。初めて違反した場合の標準的な罰金は1万4,650ドル(約166万円)であり、違反を繰り返した場合は最高で給与1週間分の罰金および/または4週間、無給の出場停止など、罰則が強化される。

その他にリーグが問う内容はこうだ。ロジャースはコマーシャルやプロモーションの撮影に参加したか? もしそうなら、ワクチン未接種の選手には別のルールがあるが彼はそれに従ったのか?

『NFL Media(NFLメディア)』は水曜日、ロジャースは開幕前に自らの抗体値に基づいてNFLとNFLPAによるCOVID-19プロトコルの免除を申請したものの却下されており、ステータスはワクチン未接種のままだと報じている。

ロジャースは抗体値を上げるためのホメオパシー療法を主治医から受け、NFLPAにその状況を確認するよう求めていた。NFLとNFLPAは感染症専門コンサルタントを共同で指定し、リーグはロジャースの受けた治療法では新型コロナウイルスからの防御効果は証明されないということに賛同している。

そのため、ロジャースは免除を受けることができず、日々の検査、マスクの着用、検査で陰性となっても陽性者との濃厚接触があれば5日間の隔離を余儀なくされるというプロトコルなど、さまざまな制限を受けることになった。

パット・マカフィー・ショーのインタビューでロジャースはmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンに含まれる成分にアレルギーがあるため、モデルナ社製とファイザー社製のワクチンは受けられないと明かした。また、ジョンソン・エンド・ジョンソン社製のワクチンは血栓症発症の恐れがあるとして4月に一時使用を中止されたことを理由に、その治療法を否定している。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、血小板が少なくなる血栓症はワクチン接種済みの18歳から49歳までの女性で100万人あたり約7人の割合で発症するとのこと。50歳以上の女性や、男性についてはすべての年齢で、さらにまれなケースとなる。

ロジャースのステータスをめぐる騒動は8月にロジャースがワクチン接種を受けたかどうかと質問されて“免疫は獲得した”と答えたことが大きな要因となった。

ロジャースは次のように語っている。「当時は、情報を共有するための時間と場所があるんだって心底思った。魔女狩りみたいなもんだった。彼らは“ファイザーを打った、モデルナを打った”とかをすぐに言わない人たちを一人残らずさらして、恥をかかせて誹謗中傷したかったのさ。それを取っ払いたかった。チームの誰もが俺がワクチンを接種していないと知っていたし、組織の誰もが俺がワクチンを接種していないことを知っていた。誰にも隠していなかった。延々と続くこの会話を最小限に抑えて緩和しようとしていた」

【RA】