ニュース

苦戦中でもプレースタイルを変える気はないとチーフスQBマホームズ

2021年11月12日(金) 14:31


カンザスシティ・チーフスのパトリック・マホームズ【AP Photo/Peter Aiken】

2021年のカンザスシティ・チーフスは周囲が思っていたようなチームではないようだ。少なくとも今のところは。

今シーズンすでに9週間を消化してきたチーフスだが、クオーターバック(QB)パトリック・マホームズとヘッドコーチ(HC)アンディ・リードの時代にチームの地位を決定的なものにした爆発的なオフェンス力を、一貫して取り戻すことができていない。チーフスはリーグ内でオフェンスでは7位に、パスでは6位につけている一方で、1プレー当たりのヤード数では14位となっている。今シーズンのビッグプレーでは同率17位とさらに冴えない。

一瞬で試合の主導権を握ることができるチームとして知られたチーフスは、今では中堅クラスのチームとなってしまった。最も嘆かわしいのは、マホームズのターンオーバーに歯止めがかからないことだ。今シーズンに出場した2試合を除くすべての試合でインターセプトを少なくとも1回は記録している。チームとしてはターンオーバーの回数でリーグ内31位に位置する。

それらのターンオーバーには似たようなパターンが見られる。まずはその日の主力ランニングバック(RB)や、何種類かのジェットスイープを走るワイドレシーバー(WR)にときどきハンドオフし、中間距離のパスを試みる。そしてロールアウトして時間を稼ぎながらディープパスを狙う。そのディープパスはファーストダウンかセカンドダウンで見られる。だが、その多くは失敗に終わっているのに加え、例えばセカンド・アンド・ショートだったなど、状況に応じた意思決定だったとは考えにくいほど頻繁に起きている。『NFL Network(NFLネットワーク)』のグレッグ・ローゼンサルが『Twitter(ツイッター)』でこの状況を言い得ている。

「マホームズは20回のパスで54ヤードしか稼げていない。それも毎週のように」

ランゲームもままならないチーフスは頑固なまでに自分たちのやり方に固執しており、シーズン序盤でディフェンスは試合に勝つことをほとんどオフェンスに任せていた。チーフスにはこの状況を脱する方法がないように思われる。マホームズは少なくとも保守的な方法で打開するつもりはないようだ。

「俺は狙い続ける」とマホームズは『Kansas City Star(カンザスシティ・スター)』に述べた。「過去数年間はそういうパスがうまくいった。今シーズンはそれがうまくいかないこともあるけど、それでも俺たちは得点する方法を見つけることができている」

「プレーを決めるチャンスがある仲間がダウンフィールドにいれば、俺はそいつに必ずチャンスを与える」

去年はうまくいったのに、なぜ今はダメなんだ?というのがチーフスのテーマになっているようだ。

マホームズが口にした積極的な姿勢は、リードHCがクオーターバックに望む姿と言える。ただ、今のチーフスはフィールド上のあらゆる場所でより良いプレーをしなければならない。

リードHCは「マッチアップにもよるが、競り合っている状況でチャンスがあれば、そこはパスを出すべきだ」と話している。「思い切ってパスを出さなければ、良いプレーは生まれない。それがわれわれのやり方だ。失敗したら次のダウンで成功させればいい。われわれはリーグの中でもセカンドダウンをモノにできる方だ。だったら、そうするまで。それがこのチームのスタイルだ」

チーフスの問題はマホームズに限ったことではない。レシーバー陣も2021年はボールを落とすことが多く、短い距離のパスでさえ、キャッチのあとのボールセキュリティが課題となっている。シーズン第5週ではWRタイリーク・ヒルがボールを落とし、それを拾ったバッファロー・ビルズのセーフティ(S)マイカー・ハイドはそのままタッチダウンを決め、その月を代表するようなビッグプレーとなった。第8週にはタイトエンド(TE)トラビス・ケルシーがキャッチのあとにファンブルしている。例を挙げればきりがない。

もちろん責任はマホームズにもあり、2020年のシーズン第14週以降に記録した14回のインターセプトはクオーターバックの中で最も多い。そして、75.2というパサーレーティングでは、今季のシーズン第5週以降に3回以上先発しているクオーターバックの中で最も低い5人のうちの一人となる。

それでもチーフスには望みがある。マホームズは今季92.5のパサーレーティングとタッチダウン対インターセプト比で20対10をマークしている。チーフスは過去4試合中3試合で勝利を挙げており、激戦のAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)西地区のちょうど真ん中につけている。さらに、シーズン第9週ではQBアーロン・ロジャースのいないグリーンベイ・パッカーズになんとしてでも勝つため、マホームズはサードダウンでヒルへのパスを成功させた。

もしかするとシーズン第9週は苦戦にあえぐチーフスにとって転換点となったのかもしれない。チームはそうであることを願っているだろう。なぜなら、ディビジョンチャンピオンであるチーフスは今週末にホームでラスベガス・レイダースとゴールデンタイムに対戦するからだ。

いずれにしてもマホームズは自分を変える気はないようだ。パスを出し続ける。

「たとえパスが成功しなくても、投げ続けることで相手のディフェンスは後ろを警戒せざるを得ない。そこからチャンスが生まれると思っている」とマホームズは話す。「試合中にそういうパスを出すことによって、たとえそれがつながらなくても、ディフェンスに少しでも恐怖心を植えつけ、前の方に迫ってきたり俺たちのルートをむやみに狙ったりすることはできなくなる」

「当然、そういうパスを成功させられたらと思っている。ここ数週間はそういうプレーがなかった。でも、どっちにしても適切なタイミングと場所でパスを狙ってチャンスを得ることで、オフェンスの可能性がどんどん広がっていく」

【R】