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2021年シーズン後の引退について、「可能性は除外しない」とパッカーズQBロジャース

2021年12月30日(木) 18:51

グリーンベイ・パッカーズのアーロン・ロジャース【AP Photo/Jeffrey Phelps】

またこの季節がやってきた。

レギュラーシーズンの終わりが近づき、そろそろアーロン・ロジャースに今後の計画について尋ね始める時期だ。それはまた、ロジャースが意図して曖昧な態度を取る時期でもあり、必然的にこれに関する話題は尽きず、それを燃料にスポーツ討論番組では何時間も議論が続くことになる。

“ロジャースはどこに行く??”のテロップに慣れておこう。この話題は当分消えそうにない。

「その可能性は除外しない」と現地29日(水)、2021年が終わった後も引退しない決断をしたかと聞かれ、ロジャースは答えた。「俺はただ、今シーズンを今シーズンとして楽しんでいるだけだ。来年もプレーすることは間違いなく思考プロセスに含まれる。落ち目の役立たずにはなりたくない。まだプレーができることは俺にとって重要だ」

ロジャースは役立たずなどではないことをはっきりと証明している。昨シーズンに続き、今年も最優秀選手(MVP)賞候補に挙げられるほど素晴らしい活躍を見せている。パスヤードこそ3,689ヤードと決して並外れた数字ではなく、現在ランキングでは10位だが、33対4というタッチダウン対インターセプト比は本当に素晴らしい。

2週間を残して彼はMVPの最有力候補と目されており、2年連続での獲得を阻む要素は見当たらない。

「今年が何かを教えてくれたとするなら、俺にまだプレーができて、ゲームへの熱が残っていて、今もまだ俺が最高にコンペティティブで、1週間のプロセスを楽しめるってことだ」とロジャースは言う。「練習がしたくてたまらないし、こうして何週間もできないのはきついよ。でも俺は今でも競争が好きだし、フィールドにいるのが大好きなんだ」

ロジャースはリザーブ/COVID-19リストにいる間に爪先をケガして練習を休んだ。だが、彼は休息を取り、メンタルのレップスに取り組むことでプレーを続けている。キャリアのこの段階になれば、コンディションをシャープに保つために練習は必要ない。彼はゲームデーにプレーして、パッカーズに最大のチャンスを与えるだけでいい。

そのチャンスには、スーパーボウルへの挑戦も含まれている。グリーンベイは現在NFCのトップシードに向けて1ゲームのリードを持っており、そうなればディビジョナルラウンドの対戦相手がどこであろうと、1週間の休息と準備期間を得ることができる。

パッカーズがそれを決め、過去2シーズンで失意の帰還を強いられたNFCチャンピオンシップの壁を乗り越えてスーパーボウルで優勝を遂げたなら、かつて第50回スーパーボウルで栄冠を手にしたペイトン・マニングがしたように、ロジャースも有終の美をもって去っていくことを決めたとしてもおかしくない。だが、重要な違いは能力の有無だ。マニングはパフォーマンス的に明らかに終わりに近づいていた。一方のロジャースは今でもエリートレベルでプレーをしている。

競技者としては、まだベストを相手にプレーできると分かっているにもかかわらず、引退するのはつらいだろう。だが、パッカーズもまたフランチャイズとして継承のタイムラインを進んでいる。

ロジャースを取り巻く状況をいったん整理してみよう。グリーンベイは2020年の1巡目指名を使ってジョーダン・ラブを獲得し、ルーキーシーズン全体を通して彼を座らせ続け、それからロジャースのバックアップに据えた。その間に未来の殿堂入り候補はパッカーズ首脳陣と対立し、関係を修復して公式に2021年シーズンに戻ってきた。今シーズン、ラブはロジャースが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査で陽性となった際に1ゲームをプレーしたが、そのパフォーマンスは必ずしもパッカーズに継承プランを早めようと思わせるものではなかった。

グリーンベイが勝利する最大のチャンスは、やはりロジャースがスナップを取る時に生まれる。ならば、質問はシンプルだ。ロジャースは、フットボールの栄光を追求し続けたいのか? そして、彼はそれをこれまでずっとNFLでホームと呼び続けてきたグリーンベイでしたいのか?

「このオフシーズンに俺は多くのことを検討することになる」とロジャースは述べた。「俺の今までのコメントも含めて、これは別にどこか他の場所について考えているってことじゃない。それははっきりさせておきたい。今年俺がチーム、ブライアン(グーテクンスト/ジェネラルマネジャー)や関係性について言ったことは心からのものだし本心だ。オフシーズンの会話に直接関連したチームの対応には感謝しているし、それは俺にとって意味のあることだった」

「直接自分の仕事に影響する会話に加われたのは楽しかったよ。オフシーズンに話していたことだ。ブライアンがそれをリードしてくれた。こうして関係を成長させられたことに感謝している」

そのような会話を通じて、パッカーズは旧友のワイドレシーバー(WR)ランドール・コブをトレードで獲得することになった。コブはサポート役として今季28回のキャッチで375ヤード、タッチダウン5回を達成しており、彼ならパッカーズの試合での勝利に貢献してくれると信じたロジャースの正しさを証明した。

このトレードは一度は揺らいだロジャースとパッカーズフロントオフィスの関係改善にも役立っている。オフシーズンのゴタゴタで一時はロジャースが2021年シーズンを欠場する恐れもあったが、今や両サイドの関係は良好なものとなった。

これでロジャースが登るべき山はあと1つ。その頂上にはロンバルディ・トロフィーが彼を待っている。それは彼が2010年シーズンを最後に遠ざかっているものだ。残り時間は少なくなってきており、もしかしたらこれが再びタイトルを取る最大のチャンスとなるかもしれない。

それがゴールだ。残りは後で考えればいい。

「俺はこの1年を存分に味わっている」とロジャースは言う。「何カ月も何カ月も長引かせるつもりはない。シーズンが終わったら愛する人たち、ブライアン、マーク(マーフィー/会長兼CEO)ラス(ボール/副社長兼フットボール運営部門責任者)、コーチングスタッフと話をして、それからどこかの時点で決断する。チームには何も隠さない。そして一度コミットして、それがここで前進することだったとしたら、それは早い判断になるだろう」

ロジャースの決断については待つしかない――今のところは。だがこれだけは確かだ。2021年シーズンが決着したなら、いくらでもその話を聞かされることになる。

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