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勝利のカギとなったラムズQBスタッフォードからWRカップへのパス

2022年01月24日(月) 14:01


ロサンゼルス・ラムズのクーパー・カップ【AP Photo/Jason Behnken】

ロサンゼルス・ラムズのクオーターバック(QB)マシュー・スタッフォードが現地23日(日)午後にタンパで直面したような状況に陥ったことは今までに一度もなかった。

どういうわけか同点に追いつかれ、試合終了まで残り1分もない状況で、スタッフォードはとてつもない課題に直面している。それは、第4クオーター終了までにラムズをフィールドゴール圏内に導く方法を見つけることだった。キャリアのほとんどをデトロイト・ライオンズを復活させるために費やしてきたスタッフォードは、最終ドライブの最初のプレーでサックを受けるも、すぐに最も信頼できるターゲットであるワイドレシーバー(WR)クーパー・カップに向けて2回のパスを成功させ、チームを大勝利に導いている。

フィールド中央部にいたカップに向けて44ヤードのパスを投げた後、スタッフォードはスパイクして時計を止め、キッカー(K)マット・ゲイが決勝点となるフィールドゴールを蹴るのに十分な時間を残しさえすればよかった。キックは成功し、そこからスタッフォードは現実を受け止め始めた。彼はスリリングなプレーオフでのロードゲームで昨年のスーパーボウル覇者を退けてラムズに勝利をもたらしている。

スタッフォードは試合後に『NBC』のミシェル・タフォヤに対し「これこそ復活力のあるチームだ。アウトサイドに素晴らしいプレーメーカーがいる。ファーストダウンで2人体制で走ろうとしたのは、まずかった。あれは、ただただクーパーが素晴らしかった。オフェンシブラインが良かったのは、最後の1回に全員を投入しようとしたことだ。いいレシピとは言えないけど、成功してよかった」と語っている。

スタッフォードがカップを見つけ、ラムズを勝利に導いたのが唯一、妥当な方法だったと言えよう。これ以外であれば、このような重大な瞬間に期待外れな結果だと感じられただろう。

初めて共に過ごすシーズンの最大の場面で、スタッフォードはカップのことを信頼できると確信していたようで、次のようにコメントしている。

「たくさんの時間を過ごしたから、チームのみんなと同じように、彼がどんな人か分かっている。彼はこのオフェンスの中心であり、魂だ。パスゲームでもランゲームでも、彼がやってのけることは内でも外でも同じだ。とてつもないコンペティターさ。それは試合を愛する気持ちだ。彼はあのボールを・・・100回中1回も取れないのにみんなを連れてきて、プレーすることができた」

バッカニアーズの守備コーディネーター(DC)トッド・ボウルズは非常に重要な局面で積極的になることで知られており、試合時間残り28秒、第1ダウン残り10ヤードのプレーを見送らなかった。ブリッツを仕掛けたボウルズDCは、6人のラッシャーをスタッフォードに送り、7人目――ラインバッカー(LB)ラボンテ・デービッド――をスクリメージラインの近くにとどまらせている。ラッシャーが襲いかかってくる中、スタッフォードはセーフティ(S)アントワーヌ・ウィンフィールドJr.の頭上を越えて弧を描くパスをカップに向かって投じ、それを敵陣20ヤード以内でキャッチしたカップは12ヤード地点まで運んだ後に倒された。

スタッフォードはフィールドを疾走し、スパイクするタイミングに合わせてオフェンスに整列するよう指示している。一方、バッカニアーズのブルース・エリアンスHC(ヘッドコーチ)は、レイモンド・ジェームス・スタジアムで何が起こっているのかを不思議そうに見守るしかなかった。

エリアンスHCは「ブリッツしなかった選手がいる。コールがなかったのかどうか知らないが、あれは絶対にブリッツだった。大量のプレッシャーがかかるはずだった」と述べている。

『Next Gen Stats(ネクスト・ジェン・スタッツ)』によると、バッカニアーズは大量のプレッシャーを受けた一方で何も得られなかったという。バッカニアーズの守備陣がスタッフォードの後について必死に疾走すると、スタッフォードはすぐに一か八かのパスを放ち、ラムズに勝利をもたらした。

そのパス成功率はわずか25.9%しかなかったが、スタフォードとカップには関係なかったようで、カップはパスをキャッチしてその成功率を克服し、勝率を28.4%も上乗せして白星を引き寄せている。

カップは「それがずっと引っかかっているような感じだった。マシューは時間を稼ぐだけで、素晴らしい仕事をした。ボールを上げて、俺にその下を走らせたんだ。どうやってあんなに早く俺のたどり着く先を正確に予測できたのか分からないけど、冷静にパスを投げたのは素晴らしい仕事だった」とコメント。

ボールはバッカニアーズ側12ヤード地点まで進み、スタッフォードによるスパイクとゲイによるキックの間に、バッカニアーズが再起する可能性は刻一刻と遠のいていった。ゲイが成功させた30ヤードのキックはその前に彼が失敗した47ヤードのキックを帳消しにしただけでなく、バッカニアーズのシーズンを終了させた。また、デービッドは試合の経過を説明するのに苦労している。

『ABC』で放送される『Action News(アクション・ニュース)』のカイル・バーガーによれば、デービッドは「あれは不幸なシチュエーションで、ある人は(ディフェンシブプレーの)コールを受けたけど、ある人は受けなかった。あのような形で負けたのは、ただただ最悪だ」と明かしたという。

バッカニアーズの猛攻撃がなければ、試合時間残り42秒で27点の同点に追いつくというありえない形――とその前の瞬間――になることはなかっただろう。ラムズには負ける理由がいくらでもあったのに、そのクオーターバック――まさにこのような場面のためにラムズがオフシーズンに巨額を投じて獲得した――は最後の一撃を放つのに十分な時間をチームに与えたのだ。

ラムズのショーン・マクベイHCは「彼は今日、確かに大きな成果を上げた」と強調し、次のように続けている。

「このために彼を獲得したのか。マシューにはいつも自信があった。それは決して揺らがなかった。彼が自分自身やチームメイト、コーチ陣に対して持っている自信も決して揺らがなかった。彼の目には、そう映っていた」

「時計を見たとき、なんと素晴らしいことだろうと思った。しかも彼はマットが入ってきてこれを終わらせるんだと、おおむね分かっていた。マシューは素晴らしい仕事をしたし、われわれのリーダーだし、大好きだ。なんと偉大なコンペティターであり、なんと素晴らしい仕事を、今日の大舞台で前回の世界チャンピオンを相手にやってのけたことか」

【RA】