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勝負どころでQBマホームズに「厳しい時は死神になれ」と伝えたチーフスHCリード

2022年01月24日(月) 17:28

カンザスシティ・チーフスのパトリック・マホームズ【AP Photo/Ed Zurga】

現地23日(日)夜にアローヘッド・スタジアムで起こったことを表現するには、爆発という言葉でも足りないくらいだ。

カンザスシティ・チーフスとバッファロー・ビルズは第4クオーターの終盤に、まるでプロボクシングのヘビー級の試合のような点の奪い合いとなり、本格的な決戦にもつれこんだ。ビルズは試合時間残り1分54秒、第4ダウン残り27ヤードのタッチダウンパスを成功させて29対26とリード。その後チーフスは52秒間で75ヤードをカバーし、ワイドレシーバー(WR)タイリーク・ヒルに64ヤードのタッチダウンパスを通して再びリードを取り戻した。

これに応戦したビルズは次の49秒間で75ヤード進み、WRガブリエル・デービスがこの試合で4度目となるタッチダウンを決めて36対33で逆転。これは、ビルズのクオーターバック(QB)ジョシュ・アレンが生み出した2回目の奇跡的なタッチダウンドライブであり、試合終了まで13秒に迫ったチーフスは自分たちの神の介入を必要としていた。

しかし、それどころかその介入はビルズの破滅を告げるものとなった。

チーフスのヘッドコーチ(HC)アンディ・リードは最終ドライブを迎える前にQBパトリック・マホームズに「厳しいときは、死神になって取りに行け」と声をかけたと述べ、「だから、彼はそれをやってのけたのだ。周りのみんなの調子を上げた。これは彼の得意技で、難なくやってしてしまう。厳しい状況になったとき、そこで戦ってくれるし、選手たちもそれを高く評価している」と続けている。

タイムアウトが3つあったため、チーフスにはまだ2回、もしかすると3回プレーする時間があった。タイムアウトをとった後にマホームズがヒルに19ヤードのパスを通してファーストダウンを更新。また、このドライブではマホームズがタイトエンド(TE)トラビス・ケルシーにパスを投げ、敵陣31ヤード地点まで25ヤードを稼ぎ、タイムアウトを消化するのに十分な時間を残してキッカー(K)ハリソン・バッカーは49ヤードの同点弾を成功させている。

延長戦のコイントスを制したチーフスは、比較的簡単に75ヤードをカバーし、42対36で勝利を収めた。チーフス、ビルズ、そしてフットボール界の誰もが知っていることを確認する前に、マホームズからケルシーへの決勝タッチダウンパスは、簡単に見返すだけでよかった。チーフスはおそらくこれまでに最もスリリングなプレーオフゲームに勝利。次は日曜日に控えるAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)チャンピオンシップゲームのシンシナティ・ベンガルズ戦に挑む予定だ。

マホームズは『CBS』のトレイシー・ウォルフソンに「とんでもない試合だった。17番、ジョシュはすげぇ必死にプレーしていた。言葉遣いが悪くて申し訳ない。素晴らしいフットボールチーム同士の試合で、最終的には、タイリークやトラビスのような選手のプレーのおかげで俺たちは試合に勝てた」と語っている。

完ぺきとも言える最後の数分間のフットボールの中で、ビルズが犯した唯一のミスは、アレンからデービスへの4回目のタッチダウンパスに続くキックオフの場面にあった。ビルズはKタイラー・バスを起用してエンドゾーン深くまでボールを送り込み、タッチバックにすることを選択。これにより、結果的にチーフスがフィールドゴール圏内に入るために重要となった数秒間が確保されてしまったのだ。

スクイブキックを蹴って相手にリターンを強いていたら、フィールドポジションが良くなる可能性はあったものの、時間をロスさせられただろう。そうなる代わりにマホームズは13秒を確保してチーフスをオーバータイムに持ち込むことができた。ディープキックの判断について聞かれたビルズのショーン・マクダーモットHCは「いろいろなことについて話している。私は実行させ、それは自分の指示だ」と答えた。

ビルズの心痛の思い出には“ワイドライト”、“ミュージック・シティ・ミラクル”などがある。日曜日、そこに“13秒”が加わった。

ビルズのセンター(C)ミッチ・モースは試合に敗れた後に次のようにコメントしている。

「チームがやらなきゃならないとき、2つの優秀なフットボールチームがやり合った。何か一つに当てはめるのであれば、最後にボールを持っていた方が勝つような試合だと感じていた。俺たちはただ、ポストシーズン史上最高かもしれない試合の、外れの方だっただけだ」

「ロッカールームではひどく落ち込んだ。仲間をとても誇りに思っている。でも、最後の2分間のフットボールは特別なものだった。映画でも描けない。卓越していた。その一部になれたことを光栄に思う」

この試合が忘れられることはないだろう。日曜日の試合はNFL史上初めて、第4クオーターの最後の2分間に3つのタッチダウンが決まったプレーオフの試合となった。1958年に行われたチャンピオンシップゲーム――フットボールをアメリカのスポーツ界に根付かせたと言われる“The Greatest Game Ever Played(史上最も素晴らしい試合)”と呼ばれたサドンデスの試合――ですらこの結末に匹敵するものではないと言えよう。

マホームズは2年連続でチーフスの手によりシーズン終了となったビルズについて、「こういう試合では、このチームと何度も対戦することになる」と語り、「あのクオーターバック、あのコーチングスタッフ、そしてあの選手たちがだからこそ、たくさんのバトルがあるだろう。勝ててうれしい。このまま調子を保って、来週はいいチームがやってくるけど、アローヘッドでAFCチャンピオンシップに参加できる」と続けた。

【RA】