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歴史に残る特別な週となった2021年ディビジョナルラウンド

2022年01月25日(火) 11:08

カンザスシティ・チーフスのパトリック・マホームズ【AP Photo/Colin E. Braley】

ディビジョナルラウンドを見届けたファンたちは、NFLのプレーオフ史上、最も偉大な週末の証人となった。

1週間前には、一方的な展開になりがちなスーパーワイルドカード週末を嘆いたファンもいただろう。しかし、その週末があったからこそ、フットボール史上、最も熱くスリリングな4試合が見られたのだ。

ディビジョナルラウンドの4試合すべてで、通常の試合時間が切れた際、もしくはオーバータイムで決着がついた。『NFL Research(NFLリサーチ)』によれば、NFLのポストシーズンの歴史を振り返ったときに、これは最多の記録だという。

4つのディビジョナルラウンドゲームの勝敗を決めた点差はトータルで15ポイントであり、1試合平均でいうと3.8ポイント。4試合以上が行われたプレーオフ週末において、最も低い平均得点差だった。

この週末の初戦では、シンシナティ・ベンガルズがゲーム終盤のインターセプトによってテネシー・タイタンズの猛攻を止め、クオーターバック(QB)ジョー・バロウからワイドレシーバー(WR)ジャマール・チェイスへの19ヤードのパスとキッカー(K)エバン・マクファーソンの52ヤードのフィールドゴールによって白星をもぎ取っている。

低スコアバトルとなったグリーンベイの一戦では、サンフランシスコ・49ersがパントブロックからこぼれ球を拾ってのタッチダウンでタイに持ち込む。MVP候補と見られるQBアーロン・ロジャースを苦しめた49ersは、最後にKロビー・ゴールドの45ヤードのキックによって、ランボー・フィールドで逆転勝利を決めた。

ロサンゼルス・ラムズはあと少しでQBトム・ブレイディが征服した最も新しい相手となるところだった。一時はラムズがホームのタンパベイ・バッカニアーズに対して27対3と点差を開いていたものの、残り時間42秒のところでTB12によってタイにまで巻き返されたのだ。しかし、ラムズのQBマシュー・スタッフォードがバッカニアーズのブリッツに打ち勝ち、深いところでオープンになっていたワイドレシーバー(WR)クーパー・カップにパスをつなぐ。これがKマット・ゲイによる30ヤードのウイニングキックにつながった。この結末によって、ディビジョナルラウンドは3試合連続で第4クオーター残り時間0秒の状態でフィールドゴールが勝敗を決めた形となっている。こういった形で決着がついた試合の数としては、ポストシーズン全体で――単一の週末は言うまでもなく――最多となる。

驚くべきことに、この週末のラストゲームは、ここまでのエキサイティングな3試合をさらに上回る展開となった。

カンザスシティ・チーフスとバッファロー・ビルズの試合では、終盤にスコアボードが目まぐるしく動き続けた。QBパトリック・マホームズとQBジョシュ・アレンは見る者がスーパースターである2人に期待するものを完全に出し尽くしている。2人は第4クオーターのラスト2分で合わせて25ポイントを獲得。アレンがこの夜4回目のタッチダウンパスを決めたとき、マホームズが試合をオーバータイムに持ち込むために使えるのはわずか13秒だった。しかし、それで十分だった。その後はコイントスに勝ったチーフスがフィールドを駆け抜け、オーバータイムの最初のポゼッションでタイトエンド(TE)トラビス・ケルシーがタッチダウンを決めている。

ビルズ対チーフスは、NFLのプレーオフゲームで初めて、通常の試合時間のラスト2分で勝ち越しのタッチダウンが3回行われた試合となった。

ディビジョナルラウンドの4試合のうち、3試合でアウェイ側が勝利を飾った。これは2009年と1971年に並び、ディビジョナルラウンドでの訪問側のチームの勝利として最多タイにあたる。

いずれのチームも、厳しい勝算の中で勝利にたどり着いている。

ベンガルズはバロウが9回サックされたにもかかわらず、白星を手に入れた。これはプレーオフにおけるQBの記録として、1966年AFL(アメリカン・フットボール・リーグ)チャンピオンシップでカンザスシティ・チーフスのQBレン・ドーソンが果たして以来の偉業だ。

49ersはオフェンシブタッチダウンなしで勝利(フィールドゴール2回、パントブロックタッチダウン1回)している。過去20年のポストシーズンにおいて、オフェンシブTDなしでプレーオフゲームに勝ったのは49ersで3チーム目だ。

ラムズはファンブルロストを4回喫した。NFLの歴史において、それを犯しながらプレーオフで勝利したのはラムズで4チーム目となる。

そして、チーフスはポストシーズンにおいて通常の試合時間のラスト15秒で勝ち越しのタッチダウンを許しながらも勝利にこぎつけた最初のチームとなった。

最高のチャンピオンシップサンデーに向けたお膳立ては整った。ここまでのし上がってきたベンガルズは、シーズン第17週に34対31で競り勝った相手であるチーフスと対峙すべく、アローヘッド・スタジアムへ飛ぶ。49ersも相手の拠点に移動し、7戦連続でラムズを倒すことを狙っている。

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