ファルコンズTEリー・スミスが11年のキャリアに幕、今後は苦しむ若者の指導者に
2022年01月26日(水) 17:2411年のNFLシーズンを通じて、リー・スミスはブロッキングタイトエンド(TE)としてチームメイトたちのために道を切り開いていた。
スミスは今後、故郷で若者たちを導くことに専念していく。
バッファロー・ビルズ、オークランド・レイダース、アトランタ・ファルコンズでプレーしてきたスミスがこのリーグから引退し、テネシー州ノックスビルに自ら開く“Triple F Elite Sports Training(トリプルFエリート・スポーツ・トレーニング)”で若手のメンターを務めることになった。
記者のスコット・ブレアがファルコンズのチームサイトに掲載した記事を通じ、スミスは「自分の仕事から退くことを、これ以上ないほど祝福されたものだと感じている」と自らの引退について語った。
「こういう形で実現することはあまりない。それでも、俺はかなり限られた役割のドラフト5巡目指名選手という厳しい状況から、残り続ける道を見つけた。これまでずっと、自分の在職期間を終えるのは素晴らしいだろうって話してきた。NFLからの移行でひどく苦しんだ父がいるからね。父はすぐに飲み過ぎで命を落とした」
34歳のスミスは人生の新たな旅に乗り出し、困難を抱える若者たちが正しい道を見つけられるように導いていく。それはスミス自身が、若い頃に見つけられないで苦しんでいたものだ。
NFLで6年プレーしたスミスの父デライルは引退後に辛い日々を送り、46歳の若さで亡くなった。
自身も若い頃に荒んだ生活を送ったスミス。それを食い止めたのが、妻と子どもたちの存在だった。そのスミスが今、誤った道を進む若者たちを助けたいと願っている。
「俺が生きているのはラッキーなことだ。15歳から19歳のころの自分の振る舞いを考えればね。俺がテネシー大学を(不祥事によって)追い出されたとき、俺にはリー・スミスがいなかった。俺にいたのはアルコールにおぼれ、嫌な日だったからといって俺を殴り、弟たちを殴る父だった。どこかで野垂れ死にしたり、命を落とさなかったのは幸運だった。俺には助言がなかった。誰かに助言できたらと思っている」
「自分の両親を黙らせている子どももいる。俺はNFLで11年プレーしたし、暴れているときに彼らが耳を傾ける相手になれるかもしれない。その年ごろの少年はばかなものさ。俺はそういう彼らを助けたい。そういう子どもたちが、俺の故郷の街や、その近くの俺が育った場所から、俺が運転したのと同じ道を通って車でこのジムに来る。それは、間違いなく俺にとって意味のあることだ。故郷の高校のコーチやチームと話をするたびに、俺も同じフィールドでプレーしたって皆に言うんだ。俺がそういう子どもたちに差し出しているものを俺自身が受け取っていたら、人生は違っていただろう」
スミスはキャリアを通じて先発79試合を含む149試合に出場し、キャッチ72回、523レシービングヤード、タッチダウン11回を記録。しかし、それらの数字はスミスがどういった存在だったかを表すものではない。
スミスは古き良きブロッキングTEだった。
「(最後に)フィールドを後にするとき、きっとほろ苦いんだろうなって思ってた。でも、ただ素晴らしかった」とスミスは語っている。
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