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ベンガルズに敗れたチーフスQBマホームズ、「21対3でリードしている試合で負けたらだめだ」

2022年01月31日(月) 16:43


カンザスシティ・チーフスのパトリック・マホームズ【AP Photo/Ed Zurga】

カンザスシティ・チーフスはAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)チャンピオンシップゲームのゲートから、草原を駆けるガゼルのように飛び出した。しかし、その後に足場を固めたシンシナティ・ベンガルズの守備陣が、クオーターバック(QB)パトリック・マホームズとその仲間を破滅に追いやっている。

チーフスは最初の3回のポゼッションでタッチダウンを決め、リードを21対3に広げていた。チーフスの序盤4回のドライブはこうだ。プレー11回で84ヤード獲得、ファーストダウン6回でタッチダウン。プレー7回で75ヤード獲得、ファーストダウン3回でタッチダウン。プレー8回で72ヤード獲得、ファーストダウン5回でタッチダウン。プレー7回で80ヤード、ファーストダウンを4回更新して終了。

しかし、そこでオフェンスは気力を失ってしまったようだ。チーフスは後半が始まってから5回のドライブで合計34ヤードしか稼げず、ファーストダウンを更新したのはわずか2回で、マホームズはインターセプトを喫している。このような状況により、調子を取り戻すチャンスを得たベンガルズが延長戦の結果、27対24で勝利を収めた。

マホームズは「21対3でリードしている試合で負けたらだめだし、それを自分に課していた」と語っている。

前半終了間際のプレーが、チーフスの崩壊の大きな要因になったと言えよう。

チーフスが21対10でリードしていた中、マホームズは前半終了まで残り1分1秒のところからベンガルズの守備陣をいとも簡単に引き裂き、敵陣1ヤードラインまでボールを運んだ。しかし、タイムアウトがなく、残り5秒になったところで、マホームズはスクリメージラインの後ろにいたワイドレシーバー(WR)タイリーク・ヒルにパスを投じる。ヒルはインバウンズでタックルされ、最後の数秒が過ぎ去った。あの段階でフィールドゴールでも決めていれば、チーフスがベンガルズを抑える上で大きな意味を持っていただろう。

ヘッドコーチ(HC)アンディ・リードは前半終了間際のプレーについて「エンドゾーンにボールを運べたらいいと思っていた。まず、私が間違ったプレーさせてしまったのかもしれない。そもそも、エンドゾーンでオープンになっているような、もっといいプレーをさせていれば、あんなことにはならなかったはずだ。その点については、私に責任がある」と述べた。

マホームズも賢明ではないパスを投げた責任を自分のものとして感じており、次のように話している。

「ボールを投げるはずだった。あそこで少し欲が出て、タイリークに渡してタッチダウンを決めようとしたら、相手は2人いたんだ。長い目で見れば悪い印象を受けるけど、もし、もう一度チャンスがあれば、もう一度別のプレーに挑戦したい」

このミスがチーフス攻撃陣の正気を失わせている。ワイドレシーバー陣はベンガルズのセカンダリーに抑え込まれ、チーフスは足掛かりを見出すことができなくなってしまった。チーフスは後半でマホームズが放った16パスヤードを含み、たった83ヤードしか稼げていない。

マホームズは後半の苦戦についてこうコメントしている。「ミスリードがちらほらあった。オープンになっている選手がいたのにタイミングよく投げられなかったり、もっと深いところに投げたいのに、短いパスを送ってしまったりした。いいチームと対戦しているときに、そこにあるものにあたらずに、必要以上のものを得ようとすると、しっぺ返しがくるというか、まぁそんなところだ。前半はすごくいいプレーをしていたのに、後半はほんの少しずれてしまい、試合に負けることにつながった」

ベンガルズはカバレッジに8人を動員し、マホームズがポケットでボールを持ち続けるよう仕向けた。レシーバーはオープンになれず、QBはボールを持ち続けてしまい、後半に4回のサックを喫している。

リードHCはベンガルズの守備陣が後半で何を成し遂げたのかを次のように語った。「第2ダウンでは少し人数を割いてプレーしていたが、それ以外は特になかった(異なる表情を見せることはなかった)。繰り返しになるが、私は選手をより良いポジションに配置してプレーさせることができるはずなのに、それができなかった」

『Next Gen Stats(ネクスト・ジェン・スタッツ)』によると、ベンガルズはカバレッジに8人以上のディフェンダーを使用する割合を後半とオーバータイムでほぼ倍増させ、その間にチーフスをわずか3点に抑えたという。この方法をとったのは、前半ではパスプレーの24%だったが、後半と延長戦ではパスプレーの45%に増えている。マホームズは8人以上のディフェンダーがいるカバレッジに苦戦し、パスを成功させたのは13回中7回で59ヤード、インターセプト1回、サック2回をマーク。パスでのEPA(追加予想得点)でマイナス14.4とキャリア最低値を出した。

マホームズは読みが外れてきてプレッシャーを感じ始めたのではないか、と聞かれたリードHCはこう答えている。

「パトリックは素晴らしい選手で、プレーしようとしていた。さっきも言ったように、私は彼がプレーできるようなものを、もっとうまく与えなければならない。そのあたりは、もっともっとうまくできるはずだ。もっと他の、いいものを与えることができたはず。しかし、もっといいプレーをさせられたはずだ」

チーフスの先発QBとして過ごしてきた4シーズンでマホームズは4年連続でAFCチャンピオンシップゲームに出場している。成績は2勝2敗で、敗れたのはどちらもオーバータイムだった。現地30日(日)に見せた試合後半のパフォーマンスは、2022年に5年連続のタイトルゲーム出場を目指す原動力となるに違いない。

【RA】