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ラムズで果たしたスーパーボウル出場を「待ちに待っていた」とQBスタッフォード

2022年02月01日(火) 12:29

ロサンゼルス・ラムズのマシュー・スタッフォード【AP Photo/Marcio Jose Sanchez】

後世まで残るクオーターバック(QB)の評価がプレーオフでの成功によって決まるのであれば、マシュー・スタッフォードは2021年のポストシーズンでそれを覆した。

低迷し続けるデトロイト・ライオンズで12年を過ごしていた当時、スタッフォードはポストシーズンで0勝3敗を記録しており、優秀ながらも大舞台で勝てないクオーターバックという評価を受けてきた。

だが、ロサンゼルス・ラムズに移ってからたったの一年でその汚名を返上することができた。スタッフォード率いるラムズはサンフランシスコ・49ersを相手に20対17の逆転勝利を収め、チームはスーパーボウル出場を果たしている。

スタッフォードは「この瞬間を待ちに待っていた。このリーグで何年も過ごしてきて、そのすべての瞬間がかけがえのないものだ」と話す。「このリーグでこれだけ長くプレーできたことを幸せに感じているけど、自分だけでなく、ロッカールームにいるたくさんの選手にもこの機会を与えられたことをうれしく思っている。すべてはそういうことだ。あともう一勝するためのチャンスを手に入れたんだ」

まるで錆びついてボロボロになった70年代のセダンを運転しているかのような状況で、ライオンズを絶望の淵から救うことができなかったために恥をかいてきたスタッフォードは、ラムズですぐさま成功を収め、良いチームに支えられればポストシーズンでも輝くことができるタイプのクオーターバックであることを証明した。

ラムズはそれを見抜いていた。だからこそ、貴重なドラフト権を使い、オフェンスを活性化させることのできないQBジャレッド・ゴフと、現地30日(日)の試合で見せたように激戦でも作戦を展開してプレーを決められるスタッフォードをトレードしたのだ。

ヘッドコーチ(HC)のショーン・マクベイは勝利後に次のように語った。

「われわれが彼を獲得したのは、偉大な選手を獲得できるチャンスだと思ったからで、このような機会は滅多にめぐって来ない。彼は周りの人たちをも高めてくれた。彼のおかげで私はより良いコーチになれたし、チームメイトも良くなった。彼はできた人間だ」

「彼を応援しない人は何かがおかしい。彼は素晴らしい競技者で、それはシーズンを通して見てきたことだが、この2、3週間はそれが特に顕著に現れていたと思う。われわれは常に競争力の重要性について話しているが、ベストを求められたときにベストを尽くすこと、今日の彼はまさに競争力の重要性を体現してくれた。私はマシュー・スタッフォードが大好きだ」

スタッフォードはポストシーズンでは0勝3敗という成績を背負って今シーズンを迎えた。奇跡のような1シーズンで彼はそれを3勝3敗にしている。

マクベイHCは、スタッフォードがこのポストシーズンでどのように成長したかと聞かれた。

「彼は実力通りのプレーをしたと思っている」というのがマクベイHCの返答だ。

「成長? 彼はわれわれの期待通りにプレーしただけだ。彼はどんな状況にだって対応できる。それだけは確かだ。彼は周りのみんなを高めている。あと一試合、大きなチャレンジになることは分かっている」

日曜日にスタッフォードとラムズがスーパーボウルへの切符を手にするためには、10点差という壁を乗り越えなければならなかった。この日のスタッフォードは45本中31本のパスを成功させる中でビッグプレーも見せており、337ヤードとタッチダウン2回を記録。試合序盤にはレッドゾーンでインターセプトを1回喫している。第4クオーターでは49ersのセーフティ(S)ジャキスキー・タートがインターセプトかと思われたボールを落としてくれたことで、スタッフォードは少しばかり運にも恵まれた。

思いがけぬチャンスを手にしたスタッフォードはラムズをダウンフィールドにまで進め、チームは試合を決定づけるフィールドゴールを決めることができた。その後にディフェンスが持ちこたえ、さらに3点を追加したラムズはリードを広げた。これはスタッフォードにとってキャリア44回目(プレーオフを含む)となるゲームウイニングドライブであり、歴代単独8位につけている。それ以上を記録している7人のクオーターバック(67回のトム・ブレイディ、57回のベン・ロスリスバーガー、56回のドリュー・ブリーズ、56回のペイトン・マニング、51回のダン・マリーノ、46回のジョン・エルウェイ、45回のブレット・ファーブ)はすでに殿堂入りを果たしているか、その有力候補かのどちらかだ。

ラムズのワイドレシーバー(WR)オデル・ベッカムはスタッフォードについて「これ以上ないくらいすべての希望と願いを叶えてくれた」と述べている。「彼は試合中にずっと諦めない目をしていた。彼は俺たちをやる気にさせ、1つ1つのプレーで俺たちを前に進めてくれた。ポストシーズン中、というよりシーズン中ずっと、ここに来てから常に彼はそういう風にしてきた。彼をここまで連れてくることができてうれしい。デトロイトでは何年も厳しい状況が続いていたからな。素晴らしい機会を得て、彼はそれを最大限に活かすしかないだろう」

スタッフォードはレギュラーシーズンで通算4万9,995パスヤードと323パッシングタッチダウン(ともにNFL史上12番目)を誇り、スーパーボウルに初めて出場した時のクオーターバックとしてはNFL史上最多のパスヤードとパッシングタッチダウン数を記録している。

スーパーボウルに進出したことでスタッフォードはプレーオフでの0勝3敗という記録を揶揄されることもなくなる。2月13日、彼はもう一つの0勝記録を破ることができるかもしれない。ライオンズ在籍時のスタッフォードはシンシナティ・ベンガルズとの対戦成績が0勝3敗となっている。

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