ニュース

第56回スーパーボウルでついに頂点にたどり着いたラムズQBスタッフォード

2022年02月14日(月) 16:43

ロサンゼルス・ラムズのマシュー・スタッフォード【AP Photo/Marcio Jose Sanchez】

2人の幼い娘を膝に乗せたロサンゼルス・ラムズのクオーターバック(QB)マシュー・スタッフォードは、勝利の栄光に浸りつつ、SoFiスタジアムの演壇にしつらえられた椅子に座っていた。

妻ケリーさんが演壇の後ろにしゃがみこんだとき、夫妻のもう1人の娘は高い演壇のへりにちょこんと一人で座っていた。

それに気づいたスタッフォードは「おっと、これは怖いぞ」と言うと、娘に動かないよう声をかけた。

その後すぐ、ケリーさんがタイトルを追うという重圧から解放された夫の元に戻ってきた。デトロイトで12年、ロサンゼルスで1年のNFLシーズンを送ってきたスタッフォードが、ついに頂点に立ったのだ。

もう、リングを手にしないまま引退することを恐れなくていい。しかし、そこに至ったのは、試合の終盤に本当に恐ろしい状況を経験した上でのことだった。残り2分もないところで23対20という優勢を作り出したスタッフォードは、試合最後の瞬間にシンシナティ・ベンガルズに対してラムズ守備陣がこのリードを維持できるか、待つことを強いられた。

「正直言って、あのラストドライブは見ていられなかった。あの第4ダウンの後、俺はちらっと見てみたんだ。本当のところ、それが第4ダウンなのかどうかは分かっていなかった。俺はクープ(クーパー・カップ)と話していて、あいつも“俺も分かんねえ”って感じだった。とにかく、俺たちは見ていられなかったんだ」とスタッフォードは語っている。

心配ない、マシュー。アーロン・ドナルドがいる。見事な形で一日を締めくくったドナルドがベンガルズQBジョー・バロウにプレッシャーをかけ、その手から放たれたボールはぽとりとSoFiスタジアムの芝に落ちた。

家族と共に、まったく新しい人生に身を投じた最初のシーズンをロンバルディトロフィーで終え、どういった気分かを問われたスタッフォードは、こう返答した。

「少し時間がかかるかな。このことについて、考えてみるつもり。今この瞬間は何を考えていいか分からない。ちょっと感情的になっているし、ワールドチャンピオンになったことはすごくうれしい。それに、このグループの一員であることがとてもうれしい。それが一番さ。俺がやったことじゃないし、このチームのどの個人がやったことでもない。俺たちはグループ。俺たちはチーム。一緒にやれたことが、ものすごく特別だ」

「アンドリュー・ウィットワースがいて、アーロン・ドナルド、ジャレン・ラムジー。すごくたくさんの最高のプレーヤーが俺たちのチームにはいる。ロバート・ウッズ、それにクーパー。どれだけ毎日の仕事に打ち込んだかという意味でこの勝利にふさわしい人の名前は、いくらでも挙げられる。チームメイトとして、人間として、彼らがどれだけお互いに気を配ったか。その皆のためにも、とてもうれしい」

スタッフォードはまた、人生で一番大切な人たちのためにこの偉業を達成している。すなわち、彼の家族だ。ケリーさんや娘たちと紙吹雪で遊び、試合後の記者会見に家族で登場したのは、勝利を祝う唯一の正しい方法と言えるかもしれない。

ラムズの勝利に対するケリーさんの反応を聞かれ、スタッフォードは「ただ俺を誇りに思ってくれた。俺のために喜んでくれた」と答えた。

「彼女は何年もずっと俺といて、たくさんのものと一緒に戦ってきた。それをやり遂げて、彼女と子どもたちがここに降りてきたこと、何もかもがすごくスペシャルだ」

これまでのキャリアでは機会に恵まれなかったスタッフォード。タイトルには挑戦できないと考えたことはなかったかとの質問に対し、こう話している。

「俺はこのゲームをプレーするのが好きだ。競うため、関係性のためにこのゲームをプレーするのが好きだし、つらい時もいい時も、全部が好きだ。このゲームは俺たちに人としてたくさんのことを教えてくれる。いろいろな立場の人と仕事をして、一緒になって一つの目標を目指すんだ。12年間、その目標は達成できなかった。心はズタズタだったけれど、自分がプレーし続け、道を見つけようと努力できるのは分かっていた」

「俺たちが今日、その目標に届いたことが、本当に特別なんだ」

【A】