サポートし続けてくれた母親に感謝を伝えたシンシナティ大学CBガードナー
2022年03月06日(日) 19:32皮肉なことに、ソース・ガードナーに“ソース”は必要ない。
“ソース”とはビールやワイン、蒸留酒などを意味する。デトロイトで育ったガードナーは両親から“繁栄への道を歩むためには、酒やタバコなどの悪癖を避けなさい”と言われ、決して教えから外れることはなかった。
シンシナティ大学のコーナーバック(CB)ガードナーは現地5日(土)にNFLスカウティングコンバインでこう語っている。「1度もそういうのを経験したことがない――1度もだ。AACチャンピオンシップで優勝したとき、葉巻を持ってきている人もいたけど、俺は少しも吸ったことがない。自分はただ――内発的なモチベーションというか――自然と盛り上がるタイプなんだ。勝った後は自然と興奮する。何かで気持ちを盛り上げる必要はない」
母親は今でも息子のことをアーマッドという実名で呼んでいる。ガードナーはどちらの名前で呼ばれてもいいと思っているようで、装着したグリル(歯の装飾)を笑うたびに光らせながら「穏やかな気分のときの俺はアーマッドだ。でも、ソースは自分の中にいるし、いつも“saucy(元気が良い)”だ」と話している。
ガードナーはユースフットボール時代に初めて愛称を得て以来、その“sauciness(陽気さ)”と共に歩んできた。そして、ちょうどその頃にこのスポーツに未来があるかもしれないと気づいたようだ。ガードナーは土曜日にここまでこられたのは母親のおかげだと語っており、次のように明かしている。
「デトロイトで育ち、俺たちには何もなかった。でも、俺にはいつも不可能を可能に変えてくれる母親がいた。例えばクリスマスとか、何かほしい物を言ったら、彼女は厳しい態度で接してきた。“そのゲームは300ドル(約3万5,000円)もするじゃない!”と言ってね。でも、クリスマスになったら、ゲームはそこに置いてあるんだ。彼女は俺のヒーローさ」
もちろん、それはガードナーにとってプレゼント以上の意味があった。NFL入りという夢が現実になろうとしている今、ようやく母親に退職していいと伝えることで恩返しすることができるようになった。
ガードナーは「最高の気分だった。彼女はいつも“仕事に行かなくちゃ”と言っている。でも、“もうやらなくていい”と言えるのは本当にうれしかった。“もう働く必要はないよ”と言いながら育ってきたから、ただただ幸いなことだった。俺がキャンプに参加するためのお金を払ってもらおうとすると“このキャンプに参加しなくちゃならないの?”って言われていた・・・でも結局、彼女はお金を出してくれた。だから俺は自分の才能を発揮できたんだ。だからこそ、ここまでこられた」と話している。
2022年組のディフェンシブバックがルーカス・オイル・スタジアムに集う日曜日、ガードナーはスポーツ界最大の審査でその才能を披露する絶好の機会を得る。2021年のオールアメリカのファーストチームに選出されたガードナーは、40ヤード走――最も練習を積んできた――をやり遂げることに不安を感じつつも4.4秒という目標を口に出すほどには自信があるようだ。
ガードナーは「それができたら、話はそれからだ」とコメントしている。
3年間のカレッジキャリアでタッチダウンレシーブを一度も許したことのないコーナーバックが、期待されているような活躍を見せれば、それ以上話すことはないだろう。アーマッドが望めば、彼は主役になることができる。なぜなら、ガードナーは母親のおかげでそれを成し遂げられるからだ。
人生で最も重要な審査の前日、ガードナーは楽しげな様子を見せている。ソースとアーマッドのどちらのバージョンで記者と話すのかと尋ねられたとき、ガードナーはニヤリと笑ってグリルを光らせ、はっきりと「両方を少しずつ」と答えた。
【RA】