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かつてない速度で進化するヘルメット業界、リーグは最高評価の新基準を設定

2022年03月25日(金) 11:36


フィールドに置かれたフットボールとグローブ【Ryan Kang via AP】

NFLとNFL選手会(NFLPA)のヘルメット調査プログラム開始以来、技術革新の速度は9倍に上昇している。

NFLとNFL選手会は現地3月24日(木)、2022年のヘルメット調査の結果を発表した。共同で任命された生体力学のエンジニアが、6つの新モデルを含む47のヘルメットモデルをランク付けした。調査された6つの新モデルのうち5つが“トップパフォーマンス”グループにランクインし、2015年のヘルメット調査プログラム開始前の9倍という、前例のないヘルメット性能の向上率が継続された。

以前は非常に良い順位にあったヘルメットモデルが、より性能の良い新モデルに追い越されたため、NFLと選手会は“トップパフォーマンス”とされるモデルのハードルをさらに引き上げた。昨年“トップパフォーマンス”としてランク付けされたヘルメットのうち6つは、今回は“推奨しない”グループに分類されている。今回からの措置として、“推奨しない”ヘルメットについては、2021年シーズンにそのモデルを着用していなかった選手は使用できなくなる。

ヘルメットランキングのポスターでは、“トップパフォーマンス”グループのモデルは緑色で識別され、実験室調査の結果が悪かったヘルメットは黄色の“推奨しない”または赤色の“着用禁止”グループに分類されている。新しい選手や2022年シーズンにヘルメットを変更する選手は、“トップパフォーマンス”ヘルメットから選択しなければならない。2021年シーズンに“推奨しない”グループのヘルメットを着用しなかった選手および新人選手は、今シーズンに“推奨しない”グループのヘルメットを選択することはできない。

“推奨しない”グループのヘルメットへの移行を禁止する変更は、実験室での調査の結果が悪かったヘルメットの着用を禁止するという、2018年のNFLと選手会の決定を踏まえている。2018年に10個のヘルメットから始まった“着用禁止”リストは、その後も増え続け、今年1個が追加され合計で16個となった。これらの禁止されたモデルは、実験室調査での成績が悪かったか、すでにフットボールヘルメットの製造をやめたメーカーが製造したものだ。着用が許可されたものの、あまり使用されていないいくつかのモデルは、2022年のランキングポスターから削除され、ヘルメットの“レガシー”リストに掲載された。

NFLの選手健康・安全担当副社長であるジェフ・ミラーはこうコメントした。

「NFLの選手たちは、ここでの勝者だ。ヘルメットは改良され続けており、今後もさらに良くなっていくだろう。われわれの共同エンジニアはNFLのデータを使ってこの試験プログラムを改良し、研究室での性能と、フィールド上での安全性能とが直接関連することを確認した。この情報をヘルメットメーカーと共有することで、プレーヤーが毎年より多くの、より良い選択肢を持てるよう、継続的なイノベーションを促進できることをうれしく思っている」

NFLと選手会のヘルメット調査とランキングは、ヘルメット技術の革新を促進し、選手が十分な情報を得た上で防具を選択できるようにするための継続的な努力の一環だ。これらの実験結果はポスターに表示され、チームのメディカル、トレーニング、コーチ、用具スタッフと共有され、選手と最適なヘルメットの選択について話し合うことを可能にする。チームスタッフと選手との会話を通じて、快適さ、フィット感、プレースタイルなどを考慮し、選手の要求に合った最適なモデルの選択を促すことを目的としている。2020年から2021年のシーズンでは、ケガから復帰した選手の27%がより性能の良いヘルメットに切り替えることを選択し、過去3年間はほぼ100%の選手が最高性能のヘルメットを着用している。

より性能の良いヘルメットの採用は、過去4シーズン(2018から2021年)のそれぞれにおいて、2015年から2017年シーズンと比較して選手の脳しんとうが25%減少するという持続的な成果に寄与している。2021年のレギュラーシーズンに追加された1試合を含めても、2015年以降の他のレギュラーシーズンと比較して、脳しんとうが最も少なくなっている。

NFLと選手会が共同で、選手が着用するすべてのヘルメットの性能を評価するのは今年で8年目だ。2022年に調査されたすべてのヘルメットは、頭部の重度の外傷および脳損傷から選手を保護するための現行のNOCSAE(運動用器具基準に関する全米運営委員会)認定基準を満たした。ヘルメット調査の結果は、NFLの衝撃を再現することを意図した調査に基づいているため、ヘルメットの性能に関する結論を大学、高校、あるいはユースフットボールに適用することはできない。

調査は、独立したヘルメット調査実験室によって行われ、8年目の今回は、調査の立案、調査設計、データ解析を、NFLと選手会によって指名されたエンジニアリングコンサルタントが行った。また、独立した生物統計学者がデータ解析の補助を行った。

【AK】