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バッカニアーズに加入してQBブレイディと再合流するSライアン

2022年03月25日(金) 16:55


ローガン・ライアンとトム・ブレイディ 【AP Photo/James Kenney】

クオーターバック(QB)トム・ブレイディがニューイングランド・ペイトリオッツの一員として最後に投げたパスをセーフティ(S)ローガン・ライアンが奪ったことは、NFLの歴史に残り続けるだろう。

今でこそブレイディの新しいチームメイトの1人だが、当時はテネシー・タイタンズのコーナーバック(CB)としてプレーしていたライアンは、2019年のワイルドカードラウンドでタイタンズがペイトリオッツを相手に逆転を図ろうとしていたところ、9ヤードのインターセプトリターンタッチダウンを決め、20対13での勝利をチームにもたらしている。

チーム公式記録によると、ライアンは現地24日(木)に入団会見で「彼は記憶力がいい。だから覚えているはずだ。俺から思い出させようとしないし、もう終わったことだ。でも、彼はあのプレーを覚えているはずだ。きっとそのはず」と語ったという。

ライアンがインターセプトしたのは、ブレイディがタンパベイ・バッカニアーズに移籍する前にペイトリオッツで最後に投げたパスだった。ライアンはAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)チャンピオンシップゲーム進出までの道筋で勝利を確実にしたものの、この年は彼にとってもタイタンズのメンバーとして臨んだ最後のポストシーズンとなっている。ライアンはその後にニューヨーク・ジャイアンツに2シーズン在籍し、今回バッカニアーズと契約した。

ペイトリオッツで4シーズンを共に過ごし、再びチームメイトになったライアンとブレイディは、2022年シーズンに向けて同じ目標を共有している。

「ここに来た一番の目的は優勝を勝ち取ること。そのために、自分はここにいるし、貢献していく」とライアンは強調し、「トムとチームメイトになること、それは彼のことだ。最高のレベルでプレーし、最高のレベルで練習する。もちろん、毎年、毎日、期待され、基準となるのはチャンピオンシップだ。そういう機会をもらえて興奮している。キャリアの現段階でプレーするのはそのためだし、とても意味のあることなんだ。ここはすごくいい組織だ。でも、チャンピオンになる機会、それを求めて戦うこと、そして自分の周りに才能ある選手たちがいることで、俺はここへ来ていいチームメイトになり、コミュニティーで素晴らしいことをし、そしてチャンピオンになることができると思う」と続けた。

ブレイディがバッカニアーズにスーパーボウル優勝を含むポストシーズン5勝をもたらしてきた一方で、ライアンはタイタンズを離れてから一度もプレーオフに進出していない。ライアンは入団に興味を示していたバッカニアーズではなく、ジャイアンツと契約したのだ。それはうまくいかなかったが、今後はうまくいくことを期待している。

ライアンは2年前のオフシーズンにブレイディがチーム探しをしていたときのことを「彼はその一部だった。数年前までは結構お互い様で、うまくいかなかったんだ。お金だけがね。でも、今回はうまくいった。数年前、組織がどれだけ自分を評価してくれていたかを知っていたから、今回は彼からの勧誘はあまり必要なかった。だから、遅くなったけどそうしてよかった」と振り返った。

ブレイディのペイトリオッツ時代最後のパスをインターセプトした経験を持つ31歳のライアンは、バッカニアーズにそれ以上の経験をもたらすはずだ。

ペイトリオッツ時代にスーパーボウル制覇を2度経験したライアンは、7シーズン連続で13試合以上に先発出場しており、素晴らしい汎用性を誇っている。これは昨シーズンケガに悩まされていたバッカニアーズのセカンダリーとって魅力的な点だろう。

ライアンは自分の役割について「ここへ来て偉大なプレーヤーになること、以上」とコメントし、こう続けた。

「俺が素晴らしいチームメイトになることは分かっているはず。セカンダリーで経験を積んできたから、その経験をもたらすよ。すごくいい若いグループだけど、俺にはちょっと経験があるだけ。優れたコミュニケーターになって、コミュニケーションを強化する手助けをする。多少の偽装は俺が得意とするところさ。だからいくつかの自分の強みは彼らが必要としているものに自然に適合している。でも、このリーグでは多才さが自分の持ち味で、そのおかげで10年やってこられた。だから、どんなポジションであろうと、俺をどこでプレーさせたいかは(守備コーディネーター/DCの)トッド・ボウルズにかかっている。すべてを学べたらそれでいいんだ。本当に才能のあるグループだ。若くて才能のあるセーフティ(ジョーダン・ホワイトヘッド)が(ニューヨーク)ジェッツに行ったことでそこに空きがあるのは分かっていたし、マイク・エドワーズや、(アントワーヌ)ウィンフィールド、カールトン・デービス、(ショーン)マーフィー・バンティング、ジャメル・ディーンとか、そういうやつらとプレーする機会があるのも知っている。言った通り、数年前に勧誘されて映像をいっぱい見ていたからロースターのことはよく分かっている。本当にいいグループだ」

ライアンはブレイディのペイトリオッツ時代に終止符を打ったが、今度は2人とも一緒にスーパーボウルを目指そうとしている。

とはいえ、ライアンは今オフシーズンのある時点までブレイディの引退を祝福していた。

「カメラの回っていないところで、TBは俺がこれまで会ってきた中で1番のハードワーカーだった。おかしなくらいコンペティティブなプレーヤーで、どんな練習でも雰囲気を作っていた。時間をかけてロースターにいる全員を知ろうとする、素晴らしいチームメイトだ」

「これまで対戦してきた中で、群を抜いて準備万端で手ごわい相手。俺は両面からそれを見てきた。ありがとう」

それから、ライアンは他の人と同じ日にブレイディの引退撤回を知ったのだ。

ライアンはブレイディの引退撤回について「正直、まったく知らなかったよ」と明かしている。「彼の引退について、思いをこめた素敵なツイートをしたんだ。そのツイートをするのには時間がかかった。初めて彼に会ったときの練習風景を思い出して、思い出にふけっていたんだ。キッチンで子どもたちに何か作っていて、たぶん、ホットポケットとかそういうものだったと思うんだけど、妻が(彼が引退しないことを)教えてくれた。だから、出遅れたのさ。ここにいる誰よりも遅くなった。“何が起こっているか見た? トムが帰ってくるよ”って言われて“マジかよ”って感じだった。だから、そう。全然知らなかったんだ」

ブレイディが引退したときにライアンが記していた通り、ライアンはチームメイトとしても対戦相手としてもブレイディを見てきた。したがって、スーパーボウルで再び優勝するために努力を重ねる中で、ライアンはブレイディや自分自身、そしてバッカニアーズに何が待ち受けているのかを十二分に理解していると言えよう。

【RA】