ニュース

ブラウンズのQBとして引き続き無実を主張するデショーン・ワトソン

2022年03月26日(土) 12:37

クリーブランド・ブラウンズのデショーン・ワトソン【NFL】

デショーン・ワトソンは現地25日(金)の記者会見でクリーブランド・ブラウンズのクオーターバック(QB)として紹介され、ジェネラルマネジャー(GM)のアンドリュー・ベリー、ヘッドコーチ(HC)のケビン・ステファンスキーとともに質問に答えた。

今回の会見はブラウンズがヒューストン・テキサンズとのトレードでワトソンを獲得して以来、ベリーGMとステファンスキーHC、ワトソンにとってはメディアと話す初めての機会だった。オーナーのディー・ハスラム、ジミー・ハスラムは当日国外にいたため、その後、ビデオ通話で個別の会見に臨んでいる。

ワトソンは性的暴行に関する22の民事訴訟にまだ直面しているが、ベリーGMはワトソンと2億3,000万ドル(約280億7,840万円)の完全保証の契約を結び、問題が解決しているとの認識を示した。

「今回のトレードは多くの人々、特にわれわれのコミュニティの女性にとって非常に困難であったことを組織として認知している。われわれは、このトレードがさまざまな感情を引き起こしたことを理解している。そして、そのことが、疑惑の性質上、われわれ全員に重くのしかかった」とベリーGMは話している。

「予想される反応の大きさと疑惑の性質を受けて、疑惑の詳細とデショーンという人間を理解するために、社内外でできる限りの仕事にわれわれは取り組んだ。それはこの5カ月の調査と、われわれが蓄積することができた情報の参照作業、法的プロセス、必要な作業などで、それらの調査の結果、われわれはデショーンのトレードを決定した」

ブラウンズは5カ月前からロースター全体を評価していたものの、チームが「デショーンを含むチームとしての選択肢を真剣に検討し始めた」のはシーズン終了後であったとジミー・ハスラムは明かした。ハスラムはワトソン獲得の決断は「オーナーを含む組織全体で広く検討されたが、フットボールオペレーションが発案した」とつけ加えている。

今月、テキサス州の2つの大陪審はワトソンに対する刑事告訴を断念した。11日、ハリス郡の大陪審は、9件の性的非行疑惑についてワトソンを罪に問うには十分な証拠がないと判断。木曜日にはブラゾリア郡の大陪審も別の刑事告発についてワトソンの起訴を断念した。ワトソンは現在もリーグの調査を受けており、出場停止処分を受ける可能性があるが、22件の民事訴訟が係争中であり、決定までのスケジュールは未定である。

金曜日の40分間の記者会見を通じて、ワトソンは無実の主張を繰り返し、いかなる女性にも“暴行”または“軽蔑”していないと何度も述べた。

26歳のワトソンは自分が訴訟で詳述された人物ではないとブラウンズファンを説得する方法を問われ、次のように答えている。

「特にこのコミュニティの女性のファンにとっては、すべての状況が非常に困難であることは理解している。それに対して甘い考えは持っていない。このような疑惑は非常に、非常に深刻だけれども、前にも述べたように、自分は女性を暴行したことがない。女性を軽蔑したこともない。自分はシングルマザーの母に育てられ、2人の叔母がいた。自分を育てたのはその3人なんだ。純粋であること、そして周りの人たちやすべてを尊重するように育てられた。だから、いつもそれを守ってきたし、これからも守り続けていくつもりだ。とにかく、コミュニティの中で本当の自分を示すことができる機会が欲しいだけで、実際に手を動かし、人々を助け、他の人々に奉仕することができる」

ワトソンはこの1年の展開に後悔はないかとの質問も受けた。

「後悔はしていない。前にも言ったように、今、フィールド外で起きていることには驚いた。というのも、この人たちが主張しているようなことは何もしていないからだ。多くの人は自分が1年間休んだと言っているようだが、この2週間のように自分の名前をクリアにするためにその1年間を利用して、今もそのために戦い続けている。そして、ただ努力し続けて、より良い人間に、より良い選手に、そして母がいつも教えてくれたように、より良い息子になろうとしている」

ベリーGMはブラウンズがワトソンとその法的状況について広範な調査を行ったものの、法律顧問からの助言により、ワトソンに対して民事訴訟を起こしている22人の女性には直接接触しなかったと述べた。

「われわれは弁護士から、犯罪捜査の妨害と見なされることを懸念して、22人の女性に直接接触しないよう忠告された。このような理由から、公平で包括的な独立した調査を行うことが重要であり、それによって、刑事事件と民事事件の全体像を把握することができたのだ」

ディー・ハスラムは今回のトレードの決断について「われわれと家族にとって、本当に困難なものだった」とコメントしている。

「性的暴行を経験した人たちの感情を刺激するような、そのような方々にとって本当につらいことかもしれないと、われわれは考えていた。そのような方々に対するわれわれの思いやりは、本当に深いものだ。このことがそのような方々にとってどれほどつらいことであったかをわれわれは知っている」

一方で、ジミー・ハスラムは「今回の決断はクリーブランド・ブラウンズが行った他のどの決断よりも、はるかに多くの時間、検討、努力が費やされ、どの決断よりも多くの人々と話し、多くの調査を行ったと、組織、そしてわれわれ2人は確信している。われわれは今回の決断を軽く取り扱わず真剣に検討し、ここまでのプロセスに満足している」と語った。

ワトソンはテキサンズでの5年間の間に40人以上のマッサージセラピストの施術を受けたことを認めた。その驚くほど多い人数になったのには複数の要因があったとワトソンは説明する。

「詳細については今も調査中だから、あまり詳しくは話せない。でも、この新しい時代、特に俺の年齢層では、ソーシャルメディアが大きな要因の一部になっていると言えるだろう。調査があるから詳しく話すのは難しいけど、すべてが解決して、自由に話せるようになることを期待している」

22件もの性的不祥事を主張する民事裁判を受け、ワトソンは裁判の結果にかかわらず、このようなことが二度と起こらないようにするために、カウンセリングを受けることを検討するか、と問われてこう回答した。

「自分に問題はないから、カウンセリングのことは言いにくいんだけど、特に問題はない。最初から言っている通りだ。この状況は確かに厳しいし、とても難しい。でも、もし問題があるなら、自分がこの状況に戻らないようにするためにカウンセリングに行くとか、ある状況について人と話すとか、そういうことはいとわないよ。でも、さっきも言ったように、誰にも暴力を振るったことはないし、誰かを見下したこともないんだ。常に尊敬の念を抱いているし、それが自分の立場であり、俺という人間なんだ」

ディー・ハスラムはカウンセリングがワトソンにとって「考慮すべきこと」であることを望むと述べた。

ワトソンは無実を証明するためにそれぞれの疑惑と戦うつもりで、訴訟で和解するつもりはないという。

「俺が最も望んでいるのは、俺がどういう人間なのかを人々に示し続けて、今回の件から最終的に復活することだ」

【AK】