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ブレイディが引退していたらあらゆる手を尽くして代わりのQBを探したとバッカニアーズHCエリアンス

2022年03月27日(日) 16:26


タンパベイ・バッカニアーズのトム・ブレイディとブルース・エリアンス【AP Photo/Mark LoMoglio】

2週間の間に、クオーターバック(QB)のラッセル・ウィルソン、カーソン・ウェンツ、デショーン・ワトソン、マット・ライアンは合わせて12のドラフト指名権と引き換えにそれぞれのチームからトレードされた。もはや狂気の沙汰だと言えよう。

タンパベイ・バッカニアーズのヘッドコーチ(HC)ブルース・エリアンスにとって、QBトム・ブレイディは常に大切な存在だったが、G.O.A.T.が引退したままであれば、別の先発選手を確保するために総力を挙げようとしていたようだ。

実際、そのプロセスは始まっていた。

エリアンスHCはリーグの年次総会で『NFL Network(NFLネットワーク)』のスティーブ・ワイチに対し、「われわれはできる限り多くの方法を探し始めていた。あらゆる手段を尽くしていただろう。(ジェネラルマネジャー/GMの)ジェイソン(リヒト)が電話をかけた。トムが戻ってくることを決めたとき、われわれはそういった作業の真っ最中であり、“もう結構だ、兄弟。その必要がなくなった”と言えることを神に感謝した」と述べている。

ブレイディがいれば当然、バッカニアーズほど堅実なタイトル争いの候補はいないと言えよう。プロボウルに15回選出された経歴を持つブレイディは、昨年にMVP投票で2位に選ばれ、より良いシーズンの1つを終えたばかりだ。ただ、NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)ディビジョナルラウンドで24点差を挽回したにもかかわらず、試合終了間際にフィールドゴールを決められてロサンゼルス・ラムズに敗れたことを受けて、そのシーズンの締めくくり方に悔しい思いもしていただろう。

シーズン中の活躍ぶりや、シーズン終了後にどう感じていたかを知っていたエリアンスHCは、ブレイディが心変わりすることを期待していた。そして、引退表明から40日後にブレイディは正式に復帰している。

エリアンスHCは「昨年のプレーを見ると、これまでで最高の年だったかもしれない。全然調子を落とさなかった――シーズン第16週でも、プレーオフでも、彼は燃えていた。そして今年もその勢いは衰えないだろう。シーズン終了後、“トム、気分はどうだ?”と聞いたら“シーズン終了後だとここ数年で最高の体調だ”と言っていた。だから、私は“よし、その光を確かに灯し続けよう、兄弟”と言ったのだ」と明かした。

リーグ内の多くの人々はブレイディが本当に引退するとは思っていなかったが、44歳のブレイディが2022年に別の場所でプレーすることを検討しているという報道が流れるなど、エリアンスHCとの間に亀裂が生じているとのうわさが浮上していた。エリアンスHCはその話を少し聞いただけで笑ってしまうようで、次のようにコメントしている。

「どこからそんな話が出てきたのかさっぱり分からない。誰かが毎日、何かしらの記事を書かなければならない。トムと私はとてもいい関係だ。引退していたときでさえ“どこにいるんだ”“イタリアだよ”“調子はどうだ?”“子どもたちを連れてきたんだ”という感じだった。ただ彼の様子をうかがっていた。一緒にゴルフに行けないのは、彼がしょっちゅう旅に出ているからで、だから彼から大金を勝ち取れないのだ」

実際、ブレイディの復帰によってコーナーバック(CB)カールトン・デービスやセンター(C)ライアン・ジェンセンがチームに戻り、ワイドレシーバー(WR)ラッセル・ゲージやガード(G)シャック・メイソン、セーフティ(S)ローガン・ライアンの加入も促進された。スーパーボウル優勝を7回経験したことのあるクオーターバックが指揮を執る中で、バッカニアーズの目標は次のシーズンもただ1つしかない。

「彼らはトムが何をもたらすかを知っているし、われわれはもう1度リングを獲得するための好機をものにした。それだけだ。それが一番大事なのだ」と強調したエリアンスHCはこう続けている。「再びリングを手にするのがすべてだ。リロードではなく、誰がこれをやるか、あれをやるか、どうやってこの人を当てはめるか、ということでもない。今、みんなが自分の役割を再認識している」

「私は本当にずっと笑顔だ。飲み過ぎているのだが、それ以外はずっとお祭り状態だ。トムが戻ってきたのは、われわれにとって大きな出来事だった」

【RA】