インディアナポリス・コルツのジェットコースターのような2021年シーズンはシーズン第18週のつらい番狂わせに終わった。それを受けたチームはこのオフシーズンにクオーターバック（QB）カーソン・ウェンツをトレードし、QBマット・ライアンを獲得。このライアンが、コルツの5シーズンにおける5人目の先発QBになると見られる。

迅速なQB変更に動きながらも、ヘッドコーチ（HC）フランク・ライクはウェンツに責任を負わせているわけではない。

現地27日（日）に行われた年次リーグミーティングでのインタビューで、ライクHCが「カーソンはたくさんの良いフットボールをプレーしていた」と語ったと『NFL Network（NFLネットワーク）』のトム・ペリセロが伝えた。

「われわれは一つのチームとしてたくさんの優れたことをやったし、彼はクオーターバックとしてたくさんの良いことをした。1年の4分の3でわれわれは他のチームから倒すべきチームだと見られていたし、誰もが話題にしていたチームの一つだった。それなのに、シーズンラスト2週の非常に重要なときに大崩壊した。それにはヘッドコーチである私をはじめ、われわれ全員に責任がある。カーソンをスケープゴートにするのはアンフェアだ」

ウェンツは2021年にコルツで全試合に先発し、0勝3敗のスタートを乗り越えてチームを9勝8敗に導いた。チームは2021年にブレイクしてラッシングチャンピオンになったジョナサン・テイラーを頼りにしていたため、ウェンツにあまりに大きなものが要求されていたわけではない。6年目のベテランQBはコルツでの初年度を3,563パッシングヤード（成功率62.4％）、タッチダウン27回、インターセプト7回という記録で終えている。

フィラデルフィア・イーグルスでの成功から、ライクHCとウェンツのつながりには注目が集まっていた。ウェンツはライクHCがイーグルスの攻撃コーディネーター（OC）だった2017年に正真正銘のMVP候補だったものの、膝の負傷によってウェンツのベストシーズンは14週で終わってしまった。イーグルスはライクの攻撃陣を維持してバックアップQBのニック・フォールズと共に第52回スーパーボウルを制しており、それが翌年にコルツがライクをヘッドコーチに起用することにつながった。ライクHCは選手がそろいながらもQBの救世主を必要としているロースターにウェンツを加入させるチャンスを見いだす。その判断はシーズン第16週まではうまく進み、コルツは9勝6敗をマーク。しかし、シーズンラスト2戦では大きく調子を落とし、3勝のジャクソンビル・ジャガースに敗れて終わっている。

結果としてコルツはライアンを獲得する前の段階からウェンツをワシントン・コマンダースにトレードに出した。ライクHCはウェンツがワシントンで成功すると信じている。

「カーソンのことが大好きだ。彼は私の兄弟。ずっと彼のことを愛しているし、応援し続ける」と語るライクHCは次のようにつけ加えた。

「彼は成功するだろうと、私には分かっている。彼のことを強く信じている。あれは一つのことに過ぎなかった。私たちが再結集し、彼が新しい場所でキャリアを再始動させるという物語のような結末を思い描いていたかもしれないが、そうはならなかった。人生にはそういうこともある。きついことだ。個人的にきつい。コーチはすべての選手と近づくもので、クオーターバックはもちろんそうだし、彼と私の歴史もある。私以上にこれからの彼を応援し、成功を信じている者はいない。ワシントンは彼にとても合っていると思うし、彼の今後の成功を祈っている」

コマンダースのヘッドコーチ（HC）であるロン・リベラは新しいQBを探す際にウェンツのMVP級のシーズンに目をとめた一方、元チームメイトたちからからも良い話を聞いたという。

リベラHCは『NFL Network（NFLネットワーク）』のジュディ・バティスタに「獲得可能な複数のクオーターバックたちを見る機会があった。多くの課題をこなし、リサーチを行ってきた中で、トップの方に残っていた名前の一つが彼だ」と話した。

さらにリベラHCは「彼の選手としての価値はきちんと理解されていないと私は思う。彼は素晴らしい数字を残しているし、良い仕事をしてきた。彼らがスーパーボウルに行って勝利した年にはニック・フォールズがクオーターバックだったが、それは彼が高い能力を発揮して先発として11勝2敗をマークした上でのことだ。彼はNFLのMVPに選ばれるようなシーズンを送った。それがただ、私に印象を残した。われわれが動き、彼を獲得した後で、彼のチームメイトだった選手の3人が彼についてポジティブに語ったことが、われわれにとっては再確認になった。したがって、われわれは正しい選手を獲得したと強く信じている」と続けている。

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