WRアダムスのトレードは「タフだった」とパッカーズHCラフルアー
2022年03月28日(月) 11:27どんなスター選手でも、その選手との別れはつらいものだ。それがパスプレーを好む現在のNFLで最高の万能ワイドレシーバー(WR)の1人だった場合、他に類を見ないほど不利な状況になるだろう。
現地27日(日)に行われた年次総会で『NFL Network(NFLネットワーク)』のトム・ペリセロと会話したグリーンベイ・パッカーズのヘッドコーチ(HC)マット・ラフルアーは、スターWRデイバント・アダムスのラスベガス・レイダースへのトレードについて口を開き、次のように語った。
「時には厳しい決断を迫られることもある。当然、デイバントがチームにもたらしてくれたものすべてに感謝している。つまり、彼はナショナル・フットボール・リーグで最高のレシーバーだから、私個人にとっても、組織にとってもタフな出来事だった」
アダムスを説得して退団を止めようとする会話があったのかと問われたラフルアーHCは「まあ、特に話すことはなかった。つまり、契約交渉に臨む中で、そのような取引のうちの1つだったということだ。すでに言った通り、多くの厳しい決断を下さなければならなかった」と答えている。
パッカーズはフランチャイズタグの期限にあたる3月8日にアダムスにタグをつけていた。レイダースへのトレードは、アダムスがフランチャイズタグでプレーしないとパッカーズに伝えた後に行われている。アダムスはレイダースに到着後すぐに5年1億4,125万ドル(約172億5,884万円)の契約を結んだ。
2014年ドラフト2巡目指名を受けてパッカーズに入団したアダムスは、このフランチャイズで8シーズンを過ごし、通算のキャッチ数(669回)とタッチダウンレシーブ数(73回)で歴代2位、レシーブヤード(8,121)で歴代4位に輝いている。
アダムズは「パッカーズへ、誰も見つけてくれなかったものを俺の中に見いだしてくれたことにはいくら感謝しても足りないくらいだ」と別れの言葉を綴った。「2014年にかかってきたあの1本の電話は俺にとって何より思い出深い瞬間の1つだし、俺はあのとき自分に誓ったんだ。力の限りできることを全部やって、俺に賭けてくれたあんたらにお返しをするってね。俺たちは共に多くを達成し、苦しいときでさえチームはいつも俺を支え、揺らぐことのない信頼を見せてくれた。この感謝は永遠に忘れないぜ」
フリーエージェンシーを前に、アダムスの残留を“希望”していたラフルアーHCは日曜日にその思いを再び口にしている。
「まあ、タエ(アダムスの愛称)とはいい関係だと思う。お互いに尊敬し合っていると思う。確かに、誰かで置き換えるというのが難しい選手だから、ああいう偉大な選手を自分のチームから手放したいとは思わないだろう。ただ、すでに話した通り、これは厳しい決断を下さなければならない取引の1つだった。残念ながら、ナショナル・フットボール・リーグにはサラリーキャップと呼ばれるものがあり、それを下回るようにもしなければならない。だから、すべてのことがその決断に影響していた」
もし本当に可能だとしても、アダムスの代役を探すのは容易ではない。過去2シーズンでオールプロのファーストチームに選ばれたアダムスは、昨シーズンにキャッチ123回で1,553ヤードを記録してキャリアハイを更新したばかりだ。2年連続でMVPを受賞したクオーターバック(QB)アーロン・ロジャースは、正確なルートを走り、背後からのパスを予測し、崩れたプレーでもスペースを作り、特に最もプレッシャーのかかる状況で確実にキャッチを決めるアダムスに大きく依存していた。
ロジャースがトレードにどう対応するのかと質問されたラフルアーHCは「偉大なクオーターバックも一般的なクオーターバックも、自分の周りにできる限り多くのピースを求めているものだ」と答え、「確かにチャンスはあるだろうし、フリーエージェンシーもあればドラフトもある。私の経験では、今からシーズンが始まるまでの間に多くの動きが起こるはずだ」と続けている。
また、「間違いなく、いくつかのピースをルームに加えなければならないし、今あるものを中心にオフェンスを構築していかなければならない。振り返っている場合ではなく、前に進まなければならない」とつけ加えた。
2022年のオフシーズンもラフルアーHCとパッカーズには困難が降りかかっている。昨年の出来事がNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)北地区での3連覇と、3年連続で13勝を挙げてシーズンを終えるという快挙を妨げることはなかったが、NFLのビジネスがリーグの平準化を助けている中で、オフシーズンのドラマは今後も展開されていくのだろう。
通常の静かなオフシーズンを過ごす夢をよく見るかという質問を受けたラフルアーHCは、笑みを浮かべながら「毎晩だね。しかし、それがリーグの現実でないことは分かっている」と答え、すべてを受け入れているような様子を見せた。
【RA】