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ベアーズの“明確なビジョン”に引き寄せられたQBシーミアン

2022年04月11日(月) 13:11


トレバー・シーミアン【AP Photo/Derick Hingle】

シカゴ・ベアーズは今オフシーズン、新加入選手よりも退団選手の方が目立っている。

アウトサイドラインバッカー(OLB)カリル・マックはトレードされ、ワイドレシーバー(WR)のアレン・ロビンソンとジャキーム・グラントはフリーエージェント(FA)となり、ランニングバック(RB)タリク・コーエンとインサイドラインバッカー(ILB)ダニー・トレバサンは放出された。

新たに就任したヘッドコーチ(HC)マット・エバーフラスとジェネラルマネジャー(GM)ライアン・ポールズの下、期待よりも疑問の方が多くあるようだ。

しかし、駆け出しのフランチャイズクオーターバック(QB)ジャスティン・フィールズのバックアップの役割を担うためにベアーズと契約したQBトレバー・シーミアンはそのようには見ていない。

新体制の中でシーミアンは将来の方針を強く意識しており、それがベアーズとの契約に興味を持った大きな理由だった。

チーム公式サイトによると、シーミアンは「コンパスがセットされている。自分たちのやっていることを信じ、クラブの方向性について明確なビジョンを持っている、本当に賢い人たちがいる。それが自分にとって魅力的だった。いくつかのチャンスがあったけど、ここに来ることほどワクワクさせられるものはなかった」と話したという。

シーミアンは契約にサインする前に、ラスベガス・レイダースとベアーズを訪問していた。昨シーズンにニューオーリンズ・セインツでジェイミス・ウィンストンのバックアップとして過ごしてきたシーミアンにとって、これから待ち受ける仕事は不慣れなものではない。

とはいえ、ウィンストンは今やNFLでベテランの域に達している一方で、フィールズはキャリア2年目を迎えようとしているところであり、両者を比較することは明らかにできない。もう1つの違いとして、フィールズを中心とした育成がベアーズの目下の課題であり、シーミアンもそれを十分に承知していることも挙げられる。

「ここ数年の自分の役割は、バックアップクオーターバックを務めて先発に必要なものを見極めることだった」とシーミアンは振り返り、こう続けた。「ジャスティンには少し見通しを与えることができる。すべての答えを持っているように振る舞いたいとは思っていないし、彼は確実に多くのコーチングを受けていくはずだ。でも、若い先発選手というのは――自分も数年前はそうだったから――フォックスホールのような存在が必要なんだ。それか、あるときはフットボールの話をして、またあるときには映画とか他の話題で他愛のない話をできるような存在だ。ジャスティンには大きなポテンシャルがあるから、彼がここで飛躍できるようにできることは何でもしたいと思っている」

30歳のシーミアンには豊富な経験を生かしてフィールズに伝えられることがある。

デンバー・ブロンコスから2015年ドラフト7巡目指名を受けてNFL入りして以来、スーパーボウル優勝チームの一員となり、29試合に先発出場し、歴代の名QBペイトン・マニングやドリュー・ブリーズとチームメイトになってきたシーミアンは次のように強調した。

「多くを学ぼうとすると、圧倒されることがある。でも、このゲームでは吸収できる限り吸収して、いろいろな選手から学べることがあるから、自分にとってはエキサイティングなんだ。ペイトンやドリューの近くにいたけど、他にも本当にいい選手は何人かいたし、そこからも学ぼうとしてきた。確かに、あの2人のおかげで、殿堂入りレベルのプレーがどういうものなのかが分かった。それと、それぞれの選手が別の方法でやっていた。その姿を見ることができたのは最高だった」

ベアーズファンの誰もが、フィールズが成熟した姿を見たいと願っている。

ジム・マクマホンやジェイ・カトラーの時代にわずかに休息できたものの、シド・ラックマンの時代からずっとフランチャイズQBを探し続けてきたベアーズにとって、フィールズは新たな希望だ。

フィールズは昨年、シーズン開幕前にQB1になるも負傷して欠場を余儀なくされたアンディー・ダルトンに代わって10試合に先発出場した。結果として、フィールズが2022年シーズンにベアーズの指揮を執る存在になるのが有力視されている一方で、セインツに移ったダルトンは実質的にシーミアンの後任となるだろう。

ベアーズは現地4日(月)から自主参加のオフシーズンワークアウトを開始しており、シーミアンはそこで初めてフィールズを目にしている。

シーミアンはフィールズについて「いいヤツだ。チームメイトと本当によくつながっているのが分かる。生まれながらのリーダーで、頭がいい。それが第一印象で、これから関係を築いて信頼を得ていくのが楽しみだ」とコメントした。

フィールズは地上戦でも空中戦でも武器になるポテンシャルを秘めているが、まだまだ進化が必要とされており、チームのオフェンシブラインとワイドレシーバー陣には問題が山積みとなっている。

NFLでは忍耐が美徳ではないと認識しているシーミアンだが、フィールズが多くの人が期待しているようなクオーターバックになるには時間がかかると強調した。

「彼にできないことはない」とシーミアンは語り、こう続けた。「最近は若いクオーターバックに対する忍耐力が不足しているように思う。すぐに活躍する選手がいて、それが全員にとって普通だと思っている人がいるし、すぐに活躍できない選手は何か問題があるのではと思う人もいる」

「寛容さはまったくないし、それがビジネスの本質であることは誰もが分かっていると思う。でも同時に、時間もレップスも継続性も、ちょっとした安定性も必要だ。ポテンシャルを開花させて発揮できるようにチャンスを与えて最終的に到達させたらいい」

シーミアンはベアーズと契約するという結論に達しており、その理由の大部分として、フランチャイズの今後の計画に対する信頼が挙げられる。フィールズはその計画の中心人物であり、シーミアンは若いクオーターバックの台頭に重要な役割を果たすかもしれない。

【RA】