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WRヒルの移籍のショックを受けるも前を見つめ続けるチーフスQBマホームズ

2022年04月19日(火) 17:10

カンザスシティ・チーフスのパトリック・マホームズ【AP Photo/Charlie Riedel】

パトリック・マホームズはカンザスシティ・チーフスのクオーターバック(QB)として指揮を執るようになってからずっと超新星のような存在だった。

しかし、そのいずれのシーズンもマホームズのそばにはワイドレシーバー(WR)タイリーク・ヒルがいた。ヒルはすでにマイアミ・ドルフィンズにトレードされて巨額の新契約を手に入れており、2022年シーズンは当然、これまでとは異なった状況になるだろう。

マホームズにとっては衝撃的な出来事だったと思われるが、本人は単純にビジネスの一部だったことを理解しているようだ。

チーム公式サイトによると、マホームズは現地18日(月)に報道陣に対して「もちろん、最初はちょっとショックだった」と明かしたという。「その可能性があるのは分かっていても、俺たちはこの6年間で友情を築いてきた。フィールド上というよりもむしろ、ロッカールームで一緒に過ごすとか、そういうのができなくなるから去ってほしくなかった。でも、彼がすごい契約を手に入れて、オフシーズンに自宅に戻ってたくさんの家族に囲まれているのはうれしい。あいつの成功を祈っている」

チーフスで過ごした6シーズンで、ヒルはキャッチ479回、6,630ヤード、タッチダウン56回を記録してプロボウルに6回選出されている。マホームズは2018年に先発QBの座についてから、タイトエンド(TE)トラビス・ケルシーと共にヒルをトップターゲットにしてきた。ケルシーやWRメコール・ハードマン、新たに加入したWRジュジュ・スミス・シュスターやマルケス・バルデス・スカントリング、さらにドラフト指名によって獲得されるかもしれない選手と共に、マホームズはAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)西地区優勝を6回経験してきたチームのために物事をスムーズに進めるべく、すでに仕事に取り掛かっている。

「やり続けるしかない。このリーグではそういうもんさ」と語ったマホームズは「ビジネスであると同時に、友情とかそういうものでもある。このリーグで成功し続けるためには、進化し続け、より良くなり続けなければならないと分かっている。この新しいレシーバーたちと一緒に、できるだけ早くそれを築き上げたら、軌道に乗ればすぐに成功できるはずだ」と続けている。

マホームズはテキサスでワイドレシーバーたちとワークアウトを実施して絆を深めてきた。オフシーズン中にクオーターバックがワイドレシーバーと一緒にワークアウトするのは珍しい話ではないが、AP通信年間MVP賞に選ばれた経歴を持つ26歳のマホームズは、ヒルの損失を見過ごせないこともそれに対処する必要があることも把握している。

「ある意味、今までとは絶対に違ったものになるけど、この数年間でここにいるメンバーと強力な土台を築いてきたと思っている」とマホームズは強調した。「それから(アンディ)リードコーチや(エリック)ビエネミーコーチがいるし、以前、一緒に仕事したことのある(マット)ナギーコーチみたいな人も戻ってきたから、これまでと共通している部分もある。フィールドの上ではレシーバーが何人か違うけど、トラビス・ケルシーみたいに練習方法を教えてくれる選手もまだいる。メコールもそれができる。タイリークはオフェンスの大きな部分を占めていたから、去年とは違う方法で生産性を確保しないといけない。タイリークとか、特定の選手がいない試合でも、他の選手がステップアップしてプレーを実現させてきたし、今年もそうなると期待している」

チーフスがスーパーボウル優勝を果たした2019年シーズンでの4試合を含み、ヒルはこれまでに数試合を欠場している。

ヘッドコーチ(HC)のリードは「大きく変わることはないと思う。タイリークが出場できなかった試合と同じようにやっていくつもりだ。彼が得意としていたところは、無理強いせずにその穴を埋めてもらうつもりだ。普段から選手の強みを最大限に生かすように心がけているから、新戦力の何人かについては何ができるのかを見てみる。それから対処していく」と述べた。

とはいえ、今後はずっとヒルの不在に対応し続けなければならない。

マホームズが最初に受けた衝撃が薄れ、AFCの強者であるチーフスにとって新たな章が始まった今、ヒルを欠くスタークオーターバックの時代が幕を開けた。

【RA】