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WRディーボ・サミュエルが49ersにトレードを要請

2022年04月21日(木) 08:58


サンフランシスコ・49ersのディーボ・サミュエル【AP Photo/Tony Gutierrez】

サンフランシスコ・49ersの爆発的でハイブリッドな武器に変貌を遂げたワイドレシーバー(WR)ディーボ・サミュエルだが、それも短い間のことになるかもしれない。

サミュエルが49ersからのトレードを要請していると『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートが現地20日(水)に伝えた。この要請は1週間以上前に行われたものであり、チームはサミュエルがフランチャイズ内での自分の立場について持つ感情を承知していたため、驚きをもって迎えられたわけではないとラポポートは述べている。

このオフシーズンにドラマを見せた他のレシーバーたちとは異なり、サミュエルが49ersに対して抱えている問題は金銭に関連するものではない。ラポポートによれば、サミュエルは2021年にヘッドコーチ(HC)カイル・シャナハンの攻撃陣の中での自分の起用法に不満を持っており、長期契約の交渉への関心を失ったという。

サミュエルの役割はむしろ、2021年に大きな成功へとつながっている。シャナハンHCはサミュエルをレシーバーとして、およびバックフィールドの多才な武器として起用し、ランニングバック(RB)の役割を担わせることで相手守備陣を混乱させていた。サミュエルはバックフィールドからルートを走ることもあり、単一シーズンのスクリメージヤードとしてキャリア最多の1,770ヤードをマークし、タッチダウンは計14回を決めている。

2021年シーズンのはじめ、サミュエルは信じがたい割合でレシービングヤードを伸ばしていた。シーズン序盤7試合のレシービングヤードとしてはジェリー・ライスのフランチャイズ記録を抜き、シーズン第1週から第8週でキャッチ44回、819ヤード、タッチダウン4回を記録している。しかし、その2週間後にはシャナハンと攻撃コーディネーター(OC)マイク・マクダニエルがサミュエルをバックフィールドに動かし始め、起用の機会が増える一方で、サミュエルのゲームの関わり方が変化した。

第10週から第18週にサミュエルのキャリー回数は試合平均で6.6回となり、ラッシングヤードは1試合あたり42.9ヤードで、ランによるタッチダウンは7回だった。同じ期間でキャッチは試合平均3.5回にとどまり、レシーバーというよりはランニングバックとしての仕事が多くなっている。

ランニングバックはレシーバーに比べて身体的な要求が厳しくなりがちであり、ボールキャリアが両タックルの間で受けるヒットは、アウトサイドに位置するレシーバーより多くなる。そのことはまだキャリアの早い段階にいるサミュエルにとって、長く現役を続けていく上で決してプラスにはならない。

多才なプレーメーカーとしてのポテンシャルは確立されたものの、サミュエルはむしろレシーバーにとどまり、このオフシーズンにリーグのトップワイドアウトたちが手にしたような大型契約を獲得したいようだ。NFLのほぼすべてのチームでそういった役割を見つけることは可能であり、サミュエルはトレードを要請することが自分の視点からは理にかなったことだと気づいているのだろう。

49ersは決断を迫られている。サミュエルを本人が望むレシーバーのポジションに戻し、サミュエルにボールを手渡すことなく攻撃陣を前に進める方法を見つけるか、そうする別のチームを見つけ、サミュエルを手放すだけの補償を手にするか。サミュエルのようにゲームを変える力のある選手をトレードするのはどのチームにとっても簡単なことではないが、サミュエルが満足のいくようにできないのであれば、49ersはそうせざるを得ないかもしれない。

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