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WRサミュエルのトレード条件を出したが、「かすりもしなかった」と49ersシャナハンHC

2022年05月01日(日) 00:29

サンフランシスコ・49ersのディーボ・サミュエル【AP Photo/Tony Gutierrez】

2022年NFLドラフト2日目は、サンフランシスコ49ersが全体105位でワイドレシーバー(WR)を指名して幕を閉じた。それは、チームとディーボ・サミュエルの間で起きているジレンマを思い出させたかもしれない。

サミュエルが49ersからのトレードを要請したことが報じられてから1週間、ドラフト3巡目が終わった現地29日(金)に、ヘッドコーチ(HC)のカイル・シャナハンが初めてこの件について口を開いた。チーム側はサミュエルを手放したくない意向を明らかにしているが、シャナハンは記者団に対し、今のところ彼らの関心を引くようなトレードの申し出は目にしていないと語っている。

「何でも考慮するよ。最大限に組織を助ける責任が私にはある」とシャナハンは述べた。「だが、ディーボのような選手を失うとなると、どうしたらそれが組織の助けになるのか分からない。そのためにすべての側面に目を向けて、人々の意向をくもうとするのだが、われわれにとってフェアだと思えるもの、49ersにとってフェアだと思えるものにはかすりもしないものばかりだった」

シャナハンはサミュエルの要求に“驚いた”と言うが、同時にリーグのビジネス的な現実を暗示した。『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートはドラフト1日目に、ニューヨーク・ジェッツがサミュエルと引き換えに全体10位指名権ともう1つ別の指名権の交換を申し入れたものの、トレードは実現しなかったと伝えている。

49ersは3巡目の2つ目の指名権で南メソジスト大学(SMU)のWRダニー・グレイを選んだ。グレイは2021年に49回のレシーブ、803ヤード、タッチダウン8回でSMU首位に立ち、スカウティングコンバインの40ヤード走では4.33秒という7番目に速いタイムを記録した。2022年ドラフトで1巡目の指名権を持たなかった49ersは、2巡目と3巡目でそれぞれ南カリフォルニア大学のディフェンシブエンド(DE)ドレイク・ジャクソンとルイジアナ州立大学のランニングバック(RB)タイリオン・デイビス・プライスを指名している。

サミュエルのトレード要請は、彼がNFLでも無類の攻撃的武器として成長したブレークアウトシーズン後に飛び出した。初のオールプロシーズンで、彼はレシーブ77回、1,405ヤード(レシーブ平均18.2ヤードはリーグ首位)と6回のタッチダウンを達成し、ランでも365ヤード(キャリー平均6.2ヤード)とタッチダウン8回を追加している。サミュエルの驚異的なプレーを燃料にして49ersはポストシーズンに進み、彼はチームにとって3シーズンで2度目のNFCチャンピオンシップゲームで大きな起爆剤となった。

「彼とは3年一緒にやってきた」とシャナハンは26歳のサミュエルについて述べた。「彼のことはよく知っているつもりだ。彼もわれわれのことをよく知っている。外から見ると、この数カ月の関係はベストではなかったことだろう。だが、それはこのリーグではよくあることだと思っている。特に契約が絡む状況においてはね。だから、それに対して1つの方向に過剰反応しないように心掛けるんだ。忍耐強さを持とうとする。誰かを大事に思い、多くのことが懸かっていれば、それだけ感情というのは高まるものだ。だが、それに反応してしまってはならない。そして全てが終わった時には何よりも組織にとって正しいことが成されているようにしなければならない。2番目に、両サイドにとってのウィン・ウィンを目指す」

状況は今も流動的なため、シャナハンはサミュエルがトレードを要求した詳しい理由については触れなかった。サミュエルのような無類の才能がドラフト3日目に置き換えられることはまずないだろうが、シャナハンは49ersがチームにとって、どのような結果であれベストな行動を取ると明言した。

「多くの事柄がかかわってくる」と彼は述べた。「人々にもっとよく理解してもらえるように、みんなと全てを共有したいところだが、それはディーボにとって正しくないし、49ersにとっても正しくない。できればこれを解決して、いつか皆さんに話せることを願うよ」

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