ロサンゼルス・ラムズのディフェンシブエンド（DE）アーロン・ドナルドは平均年俸が最も高いインテリアディフェンシブラインマンであり、その年俸は今後も膨らむことが予想される。

スーパーボウル連覇のために復帰すると公言したドナルドだが、いまだに市場価値に見合った契約には至っていない。ドナルドはすでにこのポジションで最も稼いでいる選手なのは確かだが、後続との差はわずか。さらに、ポジションに関係なく、これまでにプレーした最高のディフェンスプレーヤーの一人であるドナルドよりも稼いでいるエッジラッシャーは5人いる。

今のドナルドは新しくチャンピオンになったばかりで、このまま引退できるほどに満たされている。とはいえ、ドナルドがブランドン・マーシャルのポッドキャスト“I Am Athlete（アイ・アム・アスリート）”に出演した際に説明したように、これは今になって突然迎えた心境ではない点に留意しなければならない。

ドナルドは「金がすべてだとは言わないけど、結局これはビジネスなんだ」と切り出し、こう続けた。「そこはしっかりと見なきゃいけない。俺にとっては勝つことが何より重要だ。勝てないならフットボールをやるつもりはないけど、またスーパーボウルを優勝できるような機会があれば、プレーする意味は大いにある。それでもビジネスであることには変わりない。ビジネス面も考えた上でうまくいかないなら、それはどうしようもないことだ。どちらに転んでも俺は構わない」

「ただ、俺が引退について話していたのはスーパーボウルで優勝するもっと前のことだ。それはこのリーグに入った時から言っている。8年プレーしたらおしまいだってな。俺はずっとそう言い続けてきた。でも、それがいつの間にか“スーパーボウルを優勝したら引退するって言っていた”って話になってたんだ。そんなことはない。俺のチームメイトやコーチ、家族はちゃんと分かっている。俺は前から8年プレーしたらたぶんフットボールは辞めるって言っていた」

ドナルドはその節目の8年目を2021年に迎え、またしても華々しいシーズンを記録した。ドナルドはサック12.5回、フォースドファンブル4回、タックル84回（うち19回がタックルフォーロス）とクオーターバック（QB）プレッシャーを64回マークしており、『Next Gen Stats（ネクスト・ジェン・スタッツ）』によれば、これは全ディフェンダーの中で6番目に多い数だという。この結果は7回目のオールプロのファーストチーム選出、8回目のプロボウル出場、そして昇給にふさわしいと言えよう。

ドナルドが頂点にたどり着いていなければ、こんな話題にはならなかったかもしれない。確かに、彼は現在の市場においては、既存の契約を上回るパフォーマンスを見せたと言えるが、それと同時に、SoFiスタジアムでの勝利は、終わりのない目標を彼に与えたかのようでもある。

「スーパーボウルを優勝すると、ちょっと病みつきになるんだ」とドナルドは元コーナーバック（CB）のアダム・ジョーンズと元ランニングバック（RB）のレショーン・マッコイに話している。「正直に言うと、またあの気分を味わいたい。あの経験は他では絶対に味わえない。もし俺がプレーするなら、それはスーパーボウルで優勝するためだけだ。でも、やっぱりこれはビジネスで、俺と家族にとって意味のあることでなければならない」

ビジネス面でチームと決裂した場合、ドナルドは2022年に予定されている925万ドル（約11億9,204万円）のベースサラリーと、500万ドル（約6億4,435万円）のロースターボーナスの合計1,425万ドル（約18億3,639万円）を手放して立ち去っても構わないと明かしている。それは単純に低すぎる金額であり、ドナルドはマーシャル、マッコイ、ジョーンズに、フットボールから離れることに対して「心は安らかだ」と述べた。

とはいえ、栄光を追い求める魅力に取りつかれる選手は多い。優勝よりも気持ちの良いものは、もう一度それを達成することだ。12番を着ているとある選手はそれを繰り返し追い求めてきた。

「その瞬間を味わって、やっと違いが分かる。今までとは違うんだ」とドナルドは言う。「こんな気持ちは他にない。8年で引退すると言っていたけど、あんな経験をしたら、それをもう一度経験するためなら何だってやりたくなるさ。トム・ブレイディがなぜこのゲームを長く続けられるのか、今ならよく分かる。彼は7回も優勝しているもんな」

ドナルドは直近で2018年にラムズと6年の延長契約を結んでいるが、今回はそれ以上に短い期間であっても、チームがドナルドを留めるためには年間3,000万ドル（約38億6,580万円）以上はかかると思われる。これまでこのゲームをプレーした中で最も偉大な選手の一人には、年俸3,000万ドルの価値があるのだ。第56回スーパーボウルの動画を見れば、そこに十分な証拠が残されている。

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