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ドルフィンズWRヒルの発言に驚いたとチーフスQBマホームズ

2022年06月17日(金) 16:30


カンザスシティ・チーフスのパトリック・マホームズ【AP Photo/Ed Zurga】

ワイドレシーバー(WR)タイリーク・ヒルは金銭面で折り合いがつかずにカンザスシティ・チーフスを離れた。また、最近のポッドキャストを聞けば、チーフスでの役割に不満があったことも理由の1つだったことが分かる。

ヒルの最も重要な元チームメイトであるクオーターバック(QB)パトリック・マホームズは、このニュースに不意をつかれたようで現地16日(木)に次のように説明した。

「俺たちはここでのタイリークが大好きだし、ずっと大好きだったから、ちょっとびっくりしている。俺たちはまだ彼のことが大好きだ。マイアミのフォーミュラ1とかで見かけたけど、きっと自分のポッドキャストを立ち上げて盛り上げようとしているのと関係があるんだろうし、もちろん俺は今でもタイリークが大好きだ」

「彼は唯一無二の選手だけど、みんな知っているように(アンディ)リードコーチのオフェンスではチーム全体が必要なんだ。つまり、俺がここに来る前からオフェンスはうまくいっていた。自分がまだ幼くてカウボーイズのファンだった頃、イーグルスがカウボーイズを打ちのめすのを見ていたときも彼のオフェンスはうまくいっていた。それは1人以上の選手で構成されているオフェンスで、その中に自分自身も含まれる」

マホームズの言葉には謙虚さが見られたものの、言っていることは正しい――マホームズは自分自身をリードHC(ヘッドコーチ)のオフェンスを新たな高みへと導ける超一流のクオーターバックだと評価していないだけだ。そうは言っても、ヒルはチーフスを高みへと導く重要な役割を担ってきたため、ヒルがマイアミ・ドルフィンズに移った今、チーフスが2022年にその爆発力を再現できるかどうか疑問に思うのは当然だろう。

ヒルは自分のポッドキャストでそのことについて言及した。しかし、ヒルはそこからさらに一歩踏み込んで、ドルフィンズのクオーターバック(QB)トゥア・タゴヴァイロアがマホームズよりも正確なパサーだと主張して多くのリスナーを失っている。

2人はキャリアにおいてほぼ同じパス成功率を記録しているが、『Next Gen Stats(ネクスト・ジェン・スタッツ)』のパサー評価の主要指標であるパッシングスコアを見れば2人の間にどれほど大きな差があるのかが分かる。マホームズが2020年に95点、2021年に89点だったのに対し、タゴヴァイロアは2021年に82点、2020年に78点に終わっている。

参考までに説明すると、パッシングスコアが80点から90点というのはチームを勝利に導けるクオーターバックを指しており、90点以上はおおよそエリート選手だと考えていい。80点はクオーターバックの最低ラインと言うことができ、通常、それ以下になるのはまだリーグに順応しきれていない若手選手(2020年当時のタゴヴァイロア)あるいはチームがオフシーズンにアップグレードを検討するような交代要員レベルの才能しか持っていない選手だ。

とはいえ、当たり前のことを説明するためにこのような指標は必要ない。まともな感覚の持ち主であればマホームズとタゴヴァイロアを真剣に比べないため、ヒルの主張はむしろ異様なものと言える。マホームズは厳しい態度を取らなかったが、賢明にも指摘していたように、ヒルがこのような主張をしたのは自分の新しいポッドキャストが話題になることを狙ったからだろう。そして、新しいクオーターバックの自信を高めたかったのだろう。

「ポッドキャストが公開されてからは話をしていないけど、5月にマイアミで開催されたフォーミュラ1の会場で話したときは何も問題なかったみたいだった」とマホームズは語った。「彼はマイアミにある今の場所を愛していることを示そうとしているんだと思う。彼はチームメイトを愛している。でも、結局、外に出てフットボールをプレーするだけだ。誰が1番とか、そういう話は他の人に任せてしまえばいい。ただそこに出て、最終的にフットボールの試合に勝つだけだ」

チーフス攻撃陣が優秀な集団に発展する上で、ヒルは重要な役割を担ってきた。チーフスは今後、ジュジュ・スミス・シュスターやマルケス・バルデス・スカントリング、新人のスカイ・ムーアといった新しいレシーバーたちと共にさらなる発展を遂げようとしている。

ヒルの発言に関係なく、チーフスはヒルとヒルがチームのためにしてくれたことに感謝しており、彼の発言で気をもんで時間を無駄にすることもないようだ。

リードHCは「タイリークが大好きだ。彼はいい子だ。われわれは彼をものすごく尊敬している」と述べている。

【RA】