ビルズに“望まれていた”ことを喜ぶQBキーナム
2022年06月18日(土) 17:282012年当時、クオーターバック(QB)ケイス・キーナムはNFLの全32チームからドラフトで指名する価値がないと思われていた。
それ以来、何度も下位指名権と引き換えにトレードされてきたキーナムだが、最新の契約では自分が理想とする状況を手に入れている。キーナムはバッファロー・ビルズで爆発的なQBジョシュ・アレンのバックアップを務めるために準備をしているところだ。そして、ビルズは妥協してキーナムを受け入れたのではない――キーナムを求めていたのだ。
『The Buffalo News(バッファロー・ニュース)』によると、キーナムは「正直なところ、チームが自分を獲得しにきてくれて、放出される前に契約できた。彼らは俺を欲しがってトレードで獲得してくれたんだ」と語ったという。「選手の質も、チームの才能も、オフェンスのタイプも、ジョシュが成し遂げてきたこともそろっている、ここみたいなチームに入れて最高さ。ここに来て学び、自分のプレーを向上させ、自分のコンフォートゾーンから抜け出して、新しいオフェンスを学べるのは本当にうれしい」
「かなり楽しんだよ。あのときはちょっと驚いていたかもしれないけど、今は興奮しっぱなしで準備も整っている。ここに来て仕事をするのが楽しくて仕方がない。最高の春だった」
キーナムは9年のキャリアで先発の座を手に入れていたときがあり、ミネソタ・バイキングスに所属していた2017年シーズンには、必要に迫られてほぼ全試合に先発出場した。その後、キーナムを先発に据える価値があると判断したデンバー・ブロンコスや、ワシントン・コマンダースではうまくいかなかったが、キーナムはそれ以来、頼りになるバックアップクオーターバックとして定着している。試合に勝つことは期待されていないが、負けるとも思われていないといったところだ。
クリーブランド・ブラウンズでの2年目かつ最後のシーズンとなった2021年シーズンに、キーナムはまさにそうした活躍を見せている。キーナムは負傷したQBベイカー・メイフィールドの代役を2度にわたって務め、チームを2勝に導いた。しかし、ブラウンズがQBデショーン・ワトソンを獲得してクオーターバックのデプスチャートを作り変えることになったため、ビルズは経験豊富なパサーを加える機会を利用している。
今回の契約により、キーナムは競争を望むチームから、スーパーボウルを追い求めるチームへと移った。その野望にはアレンの存在だけではなく、キーナムにとって馴染み深いワイドレシーバー(WR)であるステフォン・ディッグスの存在も大きく関わっている。
キーナムとディッグスはバイキングスに所属していたときに、フランチャイズ史上最も印象的なプレーの1つを生み出したことがある。2017年当時、バイキングスがニューオーリンズ・セインツに勝利したディビジョナルラウンドの最後のプレーで、キーナムが死に物狂いで放ったパスをディッグスがキャッチして61ヤードのタッチダウンを決めたのだ。その瞬間は“ミネアポリスの奇跡”として知られており、キーナムがアレンの代役として呼ばれるようになれば、昔の仲間と共にもっと奇跡を起こしたいと思うだろう。
キーナムはディッグスとの再合流について次のように明かした。「最初は2人とも変な感じだなって言っていたんだ。あれはおとぎ話みたいな1年だった。1年でもなかったな。6カ月くらい一緒にいて、また一緒にプレーできるなんてすげえよ。チームのほとんど全員とプレーしたことがあるし、自分がいたどのチームにも、一緒にプレーしていた人がいる。でも、ステフ(ディッグス)と再会して、ハグして、ボールを投げるなんて、まさかそんなことができるなんて思ってもみなかった。あの年以降にそうなるとは思っていなかったから、それができるのはエキサイティングだ」
今年のビルズのテーマは“エキサイトメント”だ。昨シーズンのディビジョナルラウンドでカンザスシティ・チーフスにスリリングでありながら悲痛な敗北を喫して目標を達成できなかったビルズは、再びその舞台に戻って今度こそ前進していきたいと望んでいる。
そのときが来れば、ベテランのキーナムがポストシーズンのプレッシャーがかかる場面で知恵を絞ってくれるはずだ。何しろ、彼はすでに奇跡を起こしたことがあるのだから。
【RA】