フローレスが起こした人種差別の訴訟にNFLが仲裁を要請
2022年06月23日(木) 16:55NFLとリーグに所属する6チームが、人種差別にかかわったとされる訴訟に仲裁を申し立てた。リーグの要求が通れば、NFLコミッショナーのロジャー・グッデルが調停者になる見込みだ。
リーグと6チームは現地22日(火)の遅くに、ブライアン・フローレスが申し立てた訴訟の裁判長に書類を提出している。フローレスは1月にマイアミ・ドルフィンズのヘッドコーチ(HC)の任を解かれた後、人種差別の訴えを起こしていた。NFLはフローレスや他のコーチたちがサインした各チームの雇用契約書には、あらゆる紛争について仲裁を要求する条項が含まれていると述べている。
フローレスは現在、ピッツバーグ・スティーラーズのアシスタントコーチを務めている。他に2人の黒人コーチ――スティーブ・ウィルクスとレイ・ホートン――がフローレスの訴訟に加わり、リーグにはその主張と対照的に、人種差別的な雇用慣例があると非難した。
NFLはこの訴訟には“価値がない”としているが、グッデルはスーパーボウル開催前に“それが人種差別に基づこうと、不平等やわれわれのゲームの品位に基づくものであろうと、私に対するあらゆる疑いは非常に憂慮すべきだ”と話していた。
マンハッタンの連邦判事は、早くても夏の終わりまで仲裁について裁定できない見込みだ。
コーチ側の弁護士であるデビッド・ゴットリーブは水曜日に、この件を仲裁の守秘義務の下に移すことは、事実上“われわれのクライアントの権利を奪う”ものだとしている。
「仲裁は司法機関を私営化する。われわれが求めているのは、開かれた、公正なプロセスだ」とゴットリーブはコメントした。
フローレスと他の2人のコーチは、仲裁を求めることへの合意はすべてリーグではなくチームとの間に成されたものであることから、この訴訟は連邦裁判所に属すると論じる意向だとゴットリーブは述べている。
3月、フローレスの弁護士であるダグラス・ウィドアはグッデルに書簡を送って“仲裁には透明性がない“と述べており、この訴訟は判事に委ねるよう求めていた。
また、NFL側は文書の中で、コーチらがサインした仲裁の条項を含む複数の契約が仲裁を求めているため、差別訴訟の主張をマンハッタンの裁判所もちこむのは適切ではなかったと述べている。
リーグはまた、これまでの差別との戦いの経緯を主張し、“多様性、平等性、包括性はNFLのコアバリュー”だと述べた。その中では、現在では空席のヘッドコーチ職には最低でも2人のマイノリティの候補者との面談、および少なくとも1人とは直接対面での面談を義務づける形となっている、20年近く前に実装された“ルーニールール“の存在にも触れられている。
2月に起こした訴訟の中で、フローレスはリーグには“人種差別がまん延“したままであり、人種差別的な理由で黒人コーチの起用を拒否し、マイノリティの候補者が特にジェネラルマネジャーやヘッドコーチ、攻撃および守備コーディネーター、クオーターバックコーチになることを難しくしていると述べていた。
フローレスの訴訟は集団訴訟と不特定の損害賠償を求めている。リーグ――およびニューヨーク・ジャイアンツ、マイアミ・ドルフィンズ、デンバー・ブロンコス、ヒューストン・テキサンズ、アリゾナ・カーディナルス、テネシー・タイタンズ――は文書の中で、仲裁の合意はコーチらに彼らの主張を個別に行うことを要求すると主張した。
今回の申し立てはワシントン・コマンダースのオーナーであるダン・スナイダーが職場でのセクシャルハラスメントを訴えた元従業員の信用を落とすために“影の調査”を実施したとする文書を下院委員会が公開する数時間前に行われている。この文書では、目撃者をおどすために私立探偵が雇われ、海外での訴訟が通話記録やeメールを取得するための口実に使われたとされている。
記事提供:『The Associated Press(AP通信)』
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