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QBロスリスバーガー不在のシーズンは「怖いけど楽しみ」とスティーラーズHCトムリン

2022年06月26日(日) 16:33


ピッツバーグ・スティーラーズのヘッドコーチ(HC)マイク・トムリン【AP Photo/Ron Schwane】

ゆっくりとした時間の流れは絶え間なく続き、一貫性がもたらされていたピッツバーグ・スティーラーズのクオーターバック(QB)ポジションにもついにその時が来た。

18シーズンの間に、12回のプレーオフ進出、2回のスーパーボウル優勝を導いたQBベン・ロスリスバーガーは、スティーラーズの不動の司令塔として活躍してきた。通算で64,088ヤード、タッチダウン418回を記録したロスリスバーガーは、肘の負傷でほとんど出場できなかった2019年を除くすべてのシーズンで12試合以上に出場している。

殿堂入りが確実視されているロスリスバーガーが昨シーズン末に引退したことで、スティーラーズはQBポジションが定まっていない新たな時代を迎えた。2007年からスティーラーズのヘッドコーチ(HC)を務めているマイク・トムリンは、チームを支える柱に他ならないが、希望の兆しを見出したくて仕方がないようだ。

トムリンHCはポッドキャスト『The Pivot(ピボット)』で「まずは、彼の才能だ。長い間、一定のレベルを持つ人がやることを見ていると、何が普通で何が普通じゃないのかが分からなくなる」と述べている。「彼の投球能力は長い間、とても特別だった。毎日、特別なものを見ていると、それに慣れてしまう。私はその快適さを享受してきたし、みんなもその快適さを享受してきた。落ち着かないことにかえってワクワクしている」

「確かに、これまでのようなクオーターバックのプレーや特別な才能は持てないかもしれないが、私たちは有能な選手を迎えた。そして、チームもできた」

これから未知の領域に足を踏み入れようとしているスティーラーズは、QBポジションに極めて重要なオプションを用意するなど、必要な動きに出ている。ロスリスバーガーが負傷していた2019年に8試合に先発出場した4年目のベテランQBであるメイソン・ルドルフを擁しているスティーラーズは、フリーエージェント(FA)だったQBミッチェル・トゥルビスキーと新たに契約を結んだ。

また、4月に行われたドラフトでの補強は最も注目を集めた。ジェネラルマネジャー(GM)として最後の任務にあたっていたケビン・コルバートは、ドラフト全体20位でQBケニー・ピケットを指名している。

ピケットはスティーラーズに新たな安定性をもたらす可能性が非常に高いが、ビッグ・ベンの穴を埋めるトムリンHCのアプローチは、チーム全体に及ぶものになるだろう。

トムリンHCは「ここには新しいリーダーシップが生まれる。(ランニングバック/RBの)ナージー・ハリスのように、予想できるものもあるだろう。しかし、間違いなく、私たちはそれらが起こることを望みながらじっと待っているわけじゃない。よく考えて構築しているのだ」と強調した。

ハリスは昨年、キャリー307回で1,200ヤード、キャッチ74回で467ヤード、スクリメージタッチダウン10回を記録して輝かしいルーキーシーズンを過ごしている。その才能は否定できないものだ。

現在、トムリンHCはハリスの成長における次のステップとして、実績だけではなくリーダーシップを発揮することを挙げている。

トムリンHCは「彼はエースランニングバックだ。うちのエースとして活躍してもらわないといけない」と語り、「2022年にどこかに行けるのであれば、彼はその主要な構成要素になるだろうし、とにかく有能だ。才能の観点から言っているのではない。それは誰もが分かっている。目には見えない部分の観点から有能だと言っている。チームメイトの能力を最大限に引き出せるし、リーダーとしての責任を果たせる」と続けた。

誰がクオーターバックのポジション争いを制するのかに関係なく、トムリンHCが抱いているチームの成功に向けたビジョンは、ハリスに攻撃陣の根幹を担うリーダーとしての役割を与え、ラインバッカー(LB)T.J.ワットやディフェンシブエンド(DE)キャメロン・ヘイワードがすでに確立しているリーダーシップと、ハリスが発揮するリーダーシップを調和させることのようだ。

チームの方向性に不安を覚えているスティーラーズファンは、トムリンHCがこれからの挑戦に胸を躍らせていることを知って安心するだろう。何しろ、トムリンHCは勝利への道筋をよく理解している。彼はNFLのヘッドコーチとして、負け越したことが一度もないのだ。

「不確定要素に伴う不安も楽しみだ」とトムリンHCはコメントしている。「自分たちの信じるものを貫くために、立ち上がってすぐに実行すること。スタンダードはスタンダードじゃないと。マクドナルドのようなものだ。ナンバー1とはどんなものか分かるだろう。どこへ行っても、世界のどこにいても、ナンバー1はナンバー1であり、ピッツバーグ・スティーラーズのフットボールもそうでありたいと思っている。だから、誰がセンターの下についても、私としてはどうでもいいことだ。しかし、そんなかっこつけたことを言っておきながら――怖い。でも、楽しみだ」

【RA】