五輪正式種目化を視野にフラッグフットボールを推進するNFL
2022年07月08日(金) 09:59来週、アメリカ・アラバマ州バーミングハムでスタートする『The World Games 2022(ザ・ワールド・ゲームズ2022、以下ワールドゲームズ)』で、フラッグフットボールの試合が初めて国際的かつ総合競技の大会で行われることになった。
フラッグフットボールにとっての最大のチアリーダーはNFLかもしれない。
NFLフットボール運営部門取締役副社長のトロイ・ビンセントは『Associated Press(AP通信)』に対して次のように述べた。「フットボールの将来について語るとき、間違いなくフラッグは欠かせません。この24カ月間、特に次の100年間でプロフットボールではなくフットボールはどうなるのかと聞かれてきましたが、それはフラッグです。それはインクルージョンであり、“すべての人にフットボールを”という真のモットーでもあります。フラッグフットボールにはすべての人に居場所があるのです」
ビンセントはフラッグフットボールの競技人口が男女ともに世界的に増加していることを指摘している。20以上の州がフラッグフットボールを高校の正式種目として認可することに関心を持っている、あるいは認可に向けて試運転している中で、ビンセントは6つの州――アーカンソー、アリゾナ、フロリダ、ジョージア、ネバダ、ニューヨーク――にある高校が認可することを奨励してきた。
NFLの複数のクラブがそれぞれの州の高校を支援し、資金援助している。アトランタ・ファルコンズは5月、スタジアムに女子フラッグフットボールの先駆者たちに捧げる壁面ディスプレーを公開した。リーグによると、全米で450校1万人以上の女子生徒がフラッグフットボールをプレーしているという。
全米大学運動選手協会(NAIA)が2020年に女子フラッグフットボールを新種目として認定したのは重要な一歩だった。また、全米ジュニアカレッジ体育協会(NJCAA)も同様の動きに出ている。
「費用対効果が高く、誰でもプレーできるスポーツです」とビンセントは語った。
NFLは国際アメリカンフットボール連盟(IFAF)と提携し、2028年のロサンゼルスオリンピックを視野に入れ、フラッグフットボールをワールドゲームズに導入することを決定した。
ビンセントは「フラッグフットボールをオリンピック競技にするのが究極の目標です」と明かしている。
ワールドゲームズは現地7月10日(日)にバーミングハムの歴史あるレギオン・フィールドで開幕する予定だ。そこでは世界でトップ16に入るフラッグフットボールチームが初めて金メダルをかけて競い合う。フラッグフットボールは2020年に国際ワールドゲームズ協会(IWGA)によって採用された後、オリンピック形式のマルチスポーツイベントで実施される33種目の競技のうちの1つとなった。
IFAFのピエール・トロシェ会長は声明で「フラッグフットボールがワールドゲームズで初めて公式種目として採用されたことを非常にうれしく思っています。フラッグフットボールの発展におけるマイルストーンであり、真のワールドクラスの国際スポーツであることを示す素晴らしい機会になるでしょう」と述べている。
今回のワールドゲームズは1981年以来となるアメリカ開催だ。アメリカ代表チームは男女ともに昨年12月にエルサレムで開催されたIFAFフラッグフットボール世界選手権2021で金メダルを獲得し、大会への参加資格を得ている。それには4大陸から過去最多となる39のナショナルチームが参加していた。残りの14チームはIFAF主催の国際予選を通過して出場権を獲得している。
オーストリア、フランス、イタリア、メキシコ、パナマも男女ともに予選を通過した。他に、男子の試合ではデンマークとドイツが、女子の試合ではブラジルと日本が出場する。
ビンセントは次のようにコメントしている。「アメリカの国民的娯楽であるフットボールだからといって、われわれが支配するものではありません。他国の若い女性や男性のプレーを見てください。彼らはプレーするためにやってくるのです。これは過渡期にあるスポーツです。機能横断的なスポーツなのです。サッカー、ラクロス、クリケットから最高のフラッグプレーヤーを輩出しているのは、男女ともに驚異的な機敏性を持っているからです。フラッグはスペースでプレーするペースの速いゲームです。何年もかけてプレーしている必要はありません。成長することができます。サッカーやラクロス、クリケットで身につけた技術を、フラッグフットボールに転用することができるのです」
記事提供:『The Associated Press(AP通信)』
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