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契約を延長したカーディナルスQBマレー、「ここが俺のいたい場所」

2022年07月23日(土) 18:16


アリゾナ・カーディナルスのカイラー・マレー【AP Photo/Matt York】

ドラマチックな展開だったアリゾナ・カーディナルスのオフシーズンも、2つの象徴的な出来事で終わりを告げた。選手たちのチーム施設への帰還、そしてクオーターバック(QB)カイラー・マレーとの超大型契約延長だ。

ジェネラルマネジャー(GM)のスティーブ・カイムは、こうなることを疑っていなかった。5年2億3,050万ドル(約314億0,997万円)という契約は時間の問題に過ぎなかったという。

「いいや、全く不安はなかった。なぜなら私は(マレーの代理人)エリック・バークハードに全幅の信頼を置いているし、われわれの関係は長きにわたって続いているので、必ずまとめられると信じていた」とカイムGMは現地22日(金)の記者会見で述べた。「だが、(ヘッドコーチ/HC)クリフ(キングスベリー)と私でこのオフシーズンにカイラーと彼の両親に会いにいった際に、彼らと非常にいいやりとりができ、素晴らしい対話ができたと感じて、両サイドの期待がどんなものかを理解したんだ。いったん(ドラフトやフリーエージェンシーといったものが)片付き、契約に集中できるようになってからは、両サイドが満足していると感じていた」

マレーはさぞかし満足していることだろう。彼の延長契約はトータル額でクリーブランド・ブラウンズのQBデショーン・ワトソンを50万ドル(約6,813万円)上回っている。これで彼はNFLで2番目に高い年額報酬を手にする選手となった。完全保証でないとはいえ、カーディナルスがマレーをフランチャイズの未来だと信じていることを示す契約と言える。

一時は――そう遠い昔のことではない――そんなことはあり得ないと思われたこともあった。フランチャイズQBらしい支払いを望んだマレーは、ソーシャルメディアのアカウントからカーディナルスに関する投稿を全て削除し、チームとの関係を打ち砕くような行動に出る。ここから数カ月にわたるジェットコースターのようなドラマが始まった。解決の兆しが見えたのは、彼が“誠意の証明”としてチーム合同練習(OTA)に参加してからだった。

全てが解決した今、マレーは自分とカーディナルスの間には何の問題もないと話している。

「そんなのは一切ないね。ここが俺のいたい場所だ。それをはっきりさせた」とアリゾナ以外の場所にいる未来を考えたことはあるかと聞かれ、マレーは答えている。「確かにいろんなことがあったよ。ソーシャルメディアであれこれ批判されるのは嫌なもんさ。俺はソーシャルメディア系では基本的に物静かな男だ。ただじっとそういう攻撃等を受け止めた。どうしようもないことなんだ」

「これもビジネスの一環なのは理解している。彼らには必要なことをやらせておく。俺はフットボールを愛しているし、チャンピオンシップで勝つのが俺のゴールだ」

それがゴールだとするなら、マレーを2028年まで確保したカーディナルスは大仕事を1つやり遂げたことになる。過去2年間はシーズン終盤に毎回問題が起きているが、そうしたものは未来の成功のための教訓に過ぎなかったことを次は彼らが証明する番だ。

「個人的に俺はこれが始まりに過ぎないと感じている」とマレー。「この3年間、俺たちはたくさんすごいことをやり遂げたと思う。ずっと登り続けている。俺個人でもすごいことをやったけど、ゴールはチャンピオンシップで勝つことなんだ。だからこれがスタートだ」

「過去3年間のレップスや経験の多くが俺たちみんなを前進させてくれると思う。俺たちはチームとして、ここからは良くなるだけさ」

苦しい状況になったときに、マレーはもっとリーダーシップを発揮できるようにならなくてはいけない。だが、それは彼ひとりの責任ではない。彼にはフロントオフィスやコーチ陣からの適切なサポートと指示が必要であり、もし3年続けて終盤のトラブルが発生するようなら、今度こそ看過されることはないだろう。

マレーは全体としての経験――特に昨シーズンのプレーオフ初戦でのロサンゼルス・ラムズへの大敗――が、2022年に同様の落とし穴を回避するきっかけになることを願っている。

「あんなシーズンの終わり方をしてしまったのは不運だった。でも、いいところを見れば、どんな偉人だって一度や二度はひどい負け方をしているものさ」とマレーは言う。「その痛みと苦しみを感じることで、どうすれば良かったのかを考えることができる。俺は何度も何度もあの試合を振り返ってきた。生まれてからずっと、キャリアを通して俺は自分の過ちから学んできたんだ。他のみんなにもそうしてほしい」

「誰も彼もがお金のことばかり言うから、きっと信じちゃもらえないだろうけど、本当に俺は金のためにこれをやっているわけじゃないんだ。フットボールだけに集中している」

お金の問題は片付いた。今度はマレーがそのフットボールでタイトルを狙える腕があることを証明する番だ。

【M】