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TE転向について、「必ずしも自分の希望ではないが、チームのため」とセインツのテイサム・ヒル

2022年08月10日(水) 17:41

ニューオーリンズ・セインツのテイサム・ヒル【AP Photo/Butch Dill】

1年前の今頃、テイサム・ヒルはジェイミス・ウィンストンとクオーターバック(QB)の座を巡る争いに巻き込まれていた。

だが、今年のニューオーリンズ・セインツにQB競争は存在しない。代わりに、“スイス・アーミー・ナイフ”と呼ばれるヒルは新たな武器を身につけることを求められ、タイトエンド(TE)を務めることになった。

クオーターバックになることを長く切望していたヒルにとって、それは希望通りの展開ではなかったものの、それでも彼は与えられた最新タスクにフルスピードで取り組んでいる。

「俺が決められることじゃない」とヒルは現地9日(火)、チーム公式サイトのマイケル・ハルに話した。「俺は自分たちがフットボールゲームで勝つために必要なことをしたいと思っている。プレーするのが好きだし、そうすることで価値を高める機会が生まれて、フィールドに出て戦うことができる」

「それがNFLの本質だろ。必ずしもオレの希望ではないけど、大事なのはチームにとって何がベストかだ。俺はそれでいい」

こうして、ヒルはウィンストンと競う代わりに、彼からパスを受けることを考えるようになった。

チームによるとヒルは現在、2021年シーズンを終わらせたリスフラン関節のケガと、7月29日(金)に痛めた肋骨(ろっこつ)のケアをしながら新たなポジションについて学んでいるということだ。

「今はもう一度調子を取り戻していっているところで、1日ずつやっている」と過去2回の練習でノンコンタクトの赤ジャージーを着ていたヒルは説明した。

ヒルはこれまでセインツで先発QBを務め、ガジェットプレーに参加し、レシーバーとしてプレーし、スペシャルチームのエースでもあった。TEも多少の経験はあるが、今回は本気でそのポジションを学ぶというタスクを課されている。

「チームが俺に何を求めるか、いくつかのことは分かっている」と最初の非公式デプスチャートでアダム・トラウトマンと並んでTE1に名を連ねているヒルは言う。「これに関してはまだまだ荒削りだけど、多少の露出があるのはうれしいぜ」

ブリガムヤング大学出身の31歳は6年目のNFLシーズンを迎えようとしているところだが、例えば3ポイントスタンスで並ぶといったことは彼にとって新たな概念だ。

「それは今までやったことがない」とヒル。「言ったように、俺たちはゼロからスタートして、そこから構築し始めたばかりなんだ」

クオーターバック――そしてレシーバーとして――先発やレップスをしてきたヒルは、過去の経験を成熟プロセスに役立てることができる。

「俺がクオーターバックだったとして、そのレップでタイトエンドにしてほしいと思うことをするだけだ」と彼は言う。「そういう思考法でタイトエンドのポジションに入る」

だが実際には、クオーターバックとタイトエンドは大きく異なるものだ。

「俺がクオーターバックとしてプレーするとき、そこにはフィジカルな要素があったと思う。でも、タイトエンドをプレーするときの思考法はクオーターバックのときと比べて全然違うんだ。(タイトエンドには)間違いなくメンタルな要素が絡んでいるけど、クオーターバックのポジションよりもはるかにフィジカルな要素がそこでのプレーには必要だ」

ヒルはポジション変更に伴う苦戦をあらかじめ予想しており、ブロックやボールのキャッチをするより、スナップを受けることを望むという。たとえQBからTEに変わったとしても、彼は最終的に今でもセインツのオフェンスに多才さをもたらすことができると自信を持っている。

「俺たちには過去にやってきたことから出来上がった構造がある」と彼は言う。「それをこれからも構築していくだけだ」

「今までの取り組みが変わるとは思わない。その役目を広げるだけなんだ。彼らは俺が成功できるように最善の機会を与えようとしてくれている」

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