ニュース

WRアレンの代役として亡き弟との約束を果たしたチャージャーズWRカーター

2022年09月15日(木) 11:47

ロサンゼルス・チャージャーズのディアンドレ・カーター【Ben Liebenberg via AP】

シーズン最初の試合に臨んだロサンゼルス・チャージャーズのワイドレシーバー(WR)キーナン・アレンがハムストリングを負傷した際、クオーターバック(QB)ジャスティン・ハーバートはキャリアの中で最高のパスゲームパートナーを失った。2人は2020年からパス成功206回を記録している。

アレンの不在を受けて代役に立った選手は、明らかに自分の力をまだ証明していないながらも、約束を果たそうと努力していた。

2022年シーズンを迎えたとき、29歳のジャーニーマンであるWRディアンドレ・カーターの試合あたり平均レシービングヤードは11ヤードを少し超えたものにとどまっていた。現地11日(日)にラスベガス・レイダースを24対19で下した試合では、カーターはキャッチ3回、64ヤードを記録し、前半で17対3のリードを築くことにつながった23ヤードのタッチダウンパスも含まれている。平均レシービングヤード(21.3ヤード)でチームのペースを作ったカーターは、トータルレシービングヤードでアレンに次ぐ2番手につけている。

カーターは火曜日「チームに貢献できてるって感じはいいね。勝利に貢献している感じ」と話した。

「成果を出してプレーを決めたりって、いい感じだ。あいつとの約束を果たし、家族に誇りに思ってもらってる」

カーターが言う“あいつ”とは、2013年になくなった弟、ケイランのことだ。ケイランは高校のフットボールチームでウェイトトレーニングを行っていたときに心不全を起こしている。

ケイランは肥大型心筋症をわずらっており、亡くなる前に病院で2カ月間昏睡状態だった。

「きつかった。人生で一番つらかった。つらい。俺たちは本当に仲が良かった。親友を失ったような感じだし、どこへ行ったらいいのか分からなかった。フットボールと学校に没頭して、心から遠ざけようとしていた」

ケイランが昏睡状態に陥っている間、ディアンドレ・カーターはサクラメント州立大学の3年生として秋季キャンプに参加していた。病院を訪れたディアンドレには、それが弟を見る最後になるかもしれないと分かっていた。

「俺はあいつと約束した。俺たち2人のためにこのリーグでやっていくって」と明かしたカーターは次のように続けている。

「俺たち2人の夢だった。俺は彼がやりたくてもその機会が与えられなかったすべてのことをやるって、あいつに語った。何度もカットされたけれど、それが毎日俺を鼓舞してくれた。丸1年(2016年)リーグから離れていたときも、毎朝それに奮起して、前に進み続けた」

チャージャーズはカーターにとって9番目のNFLチームだ。2015年にドラフト外からリーグに入ったカーターは、さまざまなチームで練習生を経験し、2018年にフィラデルフィア・イーグルスで53名ロースターに加わっている。

それから2カ月もたたない内に、カーターはカットされた。

「ただそこにとどまらなきゃいけないだけ。プロセスを信じてね。神を信じ、プロセスを信じる。チャンスはやってくるし、来た時にそれを活用し、生かす。チャンスがないのはメンタル的にきついけれど、すべては思わぬところで起こる」とカーターは話した。

今季のチャージャーズで再びカーターにチャンスがやってきた。チャージャーズは4月にカーターと1年契約を結んでおり、ヘッドコーチ(HC)ブランドン・ステイリーは主にリターナーとしてカーターを起用するつもりだったと火曜日に明かしている。しかしながら、チームはカーターにそれ以上ができることをすぐに理解したとステイリーHCには述べた。

「彼はコーチの夢だよ。ディアンドレはそういった選手だ。彼はとてもハードワーカーで、利己的なところがない。役割という視点からすれば、彼は本当にさまざまなことをやる。その日を通じて何をやるにしろ、彼はじつにハードにやっている。ミーティングでも、ウェイトトレーニングでも、ウオークスルーでも、練習でもね」とステイリーHCはコメントした。

アレンは過去5シーズンで3試合しか逃したことがないものの、サーズデーナイトフットボール(TNF)に関してはすでに除外されている。つまり、カーターが再び活躍する可能性がある。

カーターは弟の思い出を胸にプレーするだろう。カーターは毎週、ジャージーナンバーが5だった弟を偲び、クリーツのどこかに“KC5”と書き入れている。得点を挙げるたび、カーターは胸を2度叩いて、弟のいる天を指すのだ。

何度カットされようと、カーターはあきらめることができない。なぜなら、もう彼の夢は彼だけのものではないからだ。

「弟の臨終のとき、俺は2人のためにやるって彼に言ったんだ。俺は弟にそう約束した。だから俺は今でもここにいる」

【A】