パッカーズ戦敗北を受け、自分たち自身を最大の敵とみなすバッカニアーズ
2022年09月26日(月) 15:31現地25日(日)午後、すべてが正常に戻ったように見えた瞬間があった。タンパベイ・バッカニアーズのクオーターバック(QB)トム・ブレイディが放ったボールは2人のディフェンダーの間をすり抜け、エンドゾーン後方にいたワイドレシーバー(WR)ラッセル・ゲージがそれをキャッチしたことでタッチダウンにつながっている。G.O.A.T.によるこのプレーこそが、バッカニアーズ史上最大級の観客数を動員したレイモンド・ジェームス・スタジアムで求められていたものだった。バッカニアーズはこの日、ミスやペナルティ、グリーンベイ・パッカーズの守備陣によって終始制限を受けていたが、試合終了まで残り18秒のところで決めたこのプレーは、ブレイディにとっての典型的な結末の様相を呈している。あとは2ポイントコンバージョンを成功させて延長戦に持ち込むだけでよかった。
しかし、バッカニアーズは決められた時間内にプレーを開始できなかった。ディレイオブゲームのペナルティを科され、ゲージに投げたもう1つのパスはインコンプリートとなっている。
“セットの失敗”や“実行力の欠如”は今季のバッカニアーズ攻撃陣――3試合で3回しかタッチダウンしていない――に関する話として比喩的に語られていた。しかしながら、パッカーズに14対12で敗れた今回の試合ではそれが文字通りの問題となっている。とはいえ、これは特に驚くべきことではない。2人の主力ターゲットが不在になったことで、3つ目の武器に手を伸ばしたバッカニアーズは先日、フリーエージェント(FA)だったWRコール・ビーズリーと練習生として契約し、午前中に彼をアクティブロースターに昇格させただけではなく、この日2回目のパスを彼に向かって投げている。たとえブレイディが練習にすべて参加するために休みを返上していたとしても、バッカニアーズ攻撃陣がその場の勢いでスムーズな運用をすることはできなかっただろう。
ブレイディは疲労の色をにじませた笑顔で「実力通りにやれなかったし、パスゲームもあまりうまくいかなかった」とコメントしている。
この日、最も印象的だったシーンは、第3クオーターの後半でサックを受けそうになりながらも切り抜け――全速力で走ったわけではないが――第3ダウンで18ヤードを稼いだブレイディが、滑った際に膝の装具を壊した場面だろう。ブレイディは後に、目の前の芝生はたっぷり見えたが、自分の後ろで科されていた、そのプレーを完全に帳消しにするホールディングのペナルティは見えていなかったと明かした。このドライブは継続されず、フィールド中央部からパントを蹴ることで終了している。
ブレイディは、普通は良いことではないとジョークを飛ばしたが、それどころの話ではない。今回の試合は欠場者がいるにもかかわらず、バッカニアーズがどれほど多くのチャンスを得て、その一方でどれほど自分たちを苦しめることが多かったかを象徴するものだった。バッカニアーズ守備陣は試合の後半に、パッカーズのQBアーロン・ロジャースの動きを封じ込める素晴らしい活躍を見せている。試合を通してパッカーズに許したタッチダウンはわずか2回で、タッチダウン寸前のパッカーズにファンブルを決めるなど、2回のターンオーバーを強いた。バッカニアーズはそれを生かすことができなかったのだ。
現在、2勝1敗となっているバッカニアーズとパッカーズがNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)の最有力チームであることに変わりはなく、スーパーボウルの出場候補であるのは間違いない。また、スコアリングオフェンスで18位というブレイディらしからぬ成績で試合に臨んだバッカニアーズだが、時間が経てばその傷のほとんどを癒せるはずだ。WRマイク・エバンスは出場停止処分から復帰することになっており、ヘッドコーチ(HC)トッド・ボウルズはWRフリオ・ジョーンズが次戦のカンザスシティ・チーフス戦に出場できるだろうと述べている。また、WRクリス・ゴッドウィンもいずれは復帰すると見込まれており、ビーズリーはもちろん、3日以上オフェンスを経験することになるだろう。
ブレイディはバッカニアーズがチーム全体で勝負していることを強調しながら、オフェンスを差し置いてディフェンスを過度に称賛することのないように気を配った。
「僕たちはタフになれるし、戦えるけど、それで試合に勝てるわけじゃない」と語ったブレイディは「僕たちはもっとクリーンにならないといけない」と続けている。
【RA】