ニュース

検査を受けているドルフィンズQBタゴヴァイロア、復帰時期は未定

2022年10月01日(土) 12:15


マイアミ・ドルフィンズのトゥア・タゴヴァイロア【AP Photo/Joshua A. Bickel】

マイアミ・ドルフィンズのクオーターバック(QB)トゥア・タゴヴァイロアは現地9月30日(金)にマイアミに戻った。木曜夜に開催されたシンシナティ・ベンガルズ戦で頭部と首を負傷したタゴヴァイロアは検査を受けているところだ。

タゴヴァイロアは試合前半にターフに投げ出された後、ストレッチャーに乗せられてフィールドを離れ、病院でX線検査とCT検査を受けている。木曜夜に退院したタゴヴァイロアはネックカラーをつけながらも、シンシナティにあるペイコー・スタジアムにいたチームと合流し、共にマイアミに戻った。ドルフィンズはこの試合に27対15で敗れている。

ドルフィンズのヘッドコーチ(HC)マイク・マクダニエルは金曜日、タゴヴァイロアは念のため受けたMRI検査を終えるところであり、復帰時期については未定だと明かした。

マクダニエルHCは「正直なところ、かなり率直に言うと、今は選手としての彼に関するタイムテーブルやそういったことを考えてすらいない。考えているのはトゥアという人間についてのみだ」と述べている。「こういうとき、人間関係があるということが見失われがちだ。彼らは単なる選手ではない。相互に影響し合い、親しくなってきた人間だ。頭部のケガや脳しんとうの場合、事態の深刻度も考えると、まず私が心配するのは本人のことだけだ。彼が元気になるか、必要な検査をすべて受けられるか、私たちが一緒に取り組むことでケガの状態が良くなったと感じられるかということだけを心配しているし、そうなってから、どれほど長くなったとしてもそのタイムラインに対処していく。現時点ではそのことを考えてすらいない」

マクダニエルHCが記者会見に臨んだ後、タゴヴァイロアは金曜午後に次のように声明を出している。

「昨夜の試合以降、祈りとサポートをしてくれた皆さんに感謝している。最後まで試合に出てチームメイトとそこにいられなかったのはつらいが、ドルフィンズや友人、家族、そして声を掛けてくれたすべての人たちから受けたサポートとケアに感謝している。調子はだいぶ良くなっていて、チームメイトと再びフィールドに立てるよう回復に専念している」

シーズン第3週に行われたバッファロー・ビルズ戦で頭部を負傷して脳しんとうのチェックを受けてから4日後、今回のケガに見舞われたタゴヴァイロア。前回の試合ではチームトレーナーと外部の神経外傷コンサルタントから頭部ではなく背部と足首のケガだと診断されたことを受け、試合への復帰が許可されていた。

NFLPA(NFL選手会)は日曜日、ビルズ戦で適切に脳しんとうプロトコルが順守されていたかを調査すると発表。NFLは水曜日に調査が進行中であることを認めたものの、あらゆる兆候からプロトコルが適切に行われたことが示されたとしていた。NFLPAは木曜夜に声明を発表して調査は進行中であるとしつつ、「今夜懸念されるのはトゥアのことであり、私たちは彼の迅速かつ完全な回復を願っている」と述べていた。

タゴヴァイロアのケガに対するチームの日曜日と木曜夜の対応について“100%の確信”を持っていると繰り返したマクダニエルHCはこうコメントしている。

「彼のことを気にしているからこそ、心配していただいて本当に感謝している。それぞれの方に対して感謝している。自分のやることを変えないと言っていたのは、ビルズ戦で起きた一連のプロセスの中で、彼はすぐに頭部のケガと診断されたからだ。だからこそ彼をテントに入れて室内に入れたのだ。彼は医療専門家――自分がそのうちの1人だと言うつもりはないが――からの評価を何重にも受けてから許可されたが、彼らはそろって頭部にはいかなるケガもなく、背部と足首に問題があったことを明らかにした。だから、木曜夜の試合に出場させるかどうかを決めるという点では、彼の腰背部と足首を危険な状態にしないかということを心配していた」

「うちは選手に友好的な組織であり、私は最初から、コーチとしての自分の仕事は選手のためにあるのだとはっきり言っている。私はそれをとても真剣に受け止めているし、そこから逸脱する者はうちにはいない。出場させるかどうかを決めるときに、出場させないと判断するのは医師の忠告が完全に抽象的だと思うときだけだ。そのうえで、何の不安もなかった」

「彼とは毎日、着実にコミュニケーションをとっている。そして、進行やディフェンスに関するハイレベルなフットボールの会話をし、2週間前のことを思い出している。それから彼は15単語のプレーコールを繰り返し言うのだ。すべてにおいて、まったく予兆がなかった。あらゆる情報源を見ても、頭部に何らかの問題があるという医学的な兆候はなかった。もしあったなら――もちろんだ」

「もし彼の頭に何か残っていたとしたら、早とちりして危険な目に遭わせたとしたら、私は自分自身に耐えられない。これは私と彼という人間の関係だ。それを真剣に受け止めている。前回の試合から彼が危険な目に遭っているような気が少しでもしていたら、出場させなかったはずだ」

NFLのチーフメディカルオフィサー(CMO/医務部長)であるアレン・シルズ医師は金曜日に『NFL Network(NFLネットワーク)』のジュディ・バティスタに対し、タゴヴァイロアは木曜夜に行われた試合までの数日間、脳しんとうの症状がないかずっとチェックを受けていたと明かしており、次のようにコメントしている。

「間違いない。(日曜日の)試合後に検査を受けたことも、その翌日に検査を受けたことも承知している。実際、試合当日に検査を受けた選手は、たとえその検査で異常が見られなくても、翌日に再診を受けることになっている――これは脳しんとうプロトコルの一部だ。そして、この選手は試合日まで毎日検査を受けていたと承知している。だから、繰り返しにはなるが、私たちの脳しんとうプロトコルで規定された一連の検査で構成される非常に包括的かつ徹底的な評価だったと言える」

木曜夜の試合に向けて、背部と足首を痛めていたタゴヴァイロアはクエッショナブルとされていた。月曜日は練習せず、火曜日と水曜日は制限付きで参加していた。

シルズ医師は日曜日のケガの影響で木曜日のケガの深刻度が高まった可能性を“知ることは不可能”としながらも、それが日曜日の試合で脳しんとうプロトコルに従っていたかを調べる調査の中でNFLとNFLPAが知りたかったことの1つだったとも述べている。

「繰り返しになるが、私たちにとってはいかなるケガも重要なケガだ」と言うシルズ医師はこう続けた。「私たちはすべてのケガを防ぎたいと考えている。全面的に脳しんとうを減らそうとしている。また、それだけではなく、ご存じのように、私個人としてもリーグとしても頭部への接触を全面的に減らしたいという思いを前面に押し出してきた。これは非常に重要な安全目標だと考えている。これらについてはすべて、状況を確認する過程で検討していく」

「選手会と共に結論に達したら、それを極めて明確に示すつもりだ。あらゆる人から関心を持たれている中で、それを共有し、今回のような問題を防ぐためにどのように改善できるかをそこから学びたいと思っている」

マクダニエルHCはタゴヴァイロアについて、チームメイトと合流して飛行機でホームに戻った後に元気な様子を見せていたと語った。さらに、機内で15分から20分ほど体調に関する話をした後、タゴヴァイロアは自分の携帯電話でコメディ映画“マクグルーバー”を見ていたと明かしている。

また、タゴヴァイロアからいつプレーを再開できるのかと聞かれた際には「今はやめておけ。試合のことは考えもするな。自分自身と頭部のこと、それから人として健康になることだけを心配しよう。フットボールのことは後で考えよう」と答えたとつけ加えた。

タゴヴァイロアがシーズン第5週に行われるニューヨーク・ジェッツ戦に出場できない場合はQBテディ・ブリッジウォーターが先発を務めるとマクダニエルHCは話している。

ドルフィンズが次の試合に向けて気持ちを切り替える前に、マクダニエルHCはタゴヴァイロアの幸福をずっと念頭に置いていると強調した。

マクダニエルHCは「いつか慣れるとは思わない。私個人としては、これからも普通のことだとは思えないだろうし、自分の性格――みなさんはこれから知っていくことになると思う――からして、選手がカートに乗せられて退場するのに慣れることは決してないと思う。絶対に」と説明している。

「絶対に関わりたくないことだ。ただ、自分がそこにいるときは、それを避けられない。これは面白くない。彼のいつも通りの声を聞けたのは、ただただものすごくうれしかった。彼のチームメイトも話をして同じように感じたと思う」

【RA]