カンザスシティ・チーフスのディフェンシブタックル（DT）クリス・ジョーンズはこの2日間でラフィングザパサーの判定でサックを無効にされた2人目の選手となった。

現地10日（月）夜、チーフスが30対29で勝利を収めた試合の第2クオーターで、ジョーンズはラスベガス・レイダースのクオーターバック（QB）デレック・カーにストリップサックを決めたが、このプレーでフラッグを投げられている。

レイダースの46ヤードラインでの第3ダウン残り8ヤードという場面で、ジョーンズはカーを後ろからサックし、右手でボールを奪い取り、攻撃権をも獲得した。しかし、カーに体重をかけて倒れたことから、ジョーンズは審判のカール・チェファーズからラフィングザパサーの判定を受けている。これにより、サックとファンブルリカバーは帳消しとなった。自動的に第1ダウンを更新したレイダースは、その4プレー後に前半終了まで残り17秒の時点でフィールドゴールを決め、20対7とリードを広げた。

チェファーズは試合後に受けた取材で『ESPN』のアダム・テイチャーに「クオーターバックはポケットの中にいて、パスの姿勢をとっていた」と述べ、こう続けている。「彼はパスの姿勢をとっているクオーターバックに与えられるすべての面での完全なプロテクションを受ける。つまり、彼がタックルされたとき、私の判定はディフェンダーが彼に全体重をかけたというものだった。クオーターバックは全体重をかけるタックルから保護される。そのため、私の判定はラフィングザパサーとなった」

チェファーズは続いて、カーが持っていたボールを手放したことでペナルティは無効になるはずではないのかと質問されている。

それに対し、チェファーズはこう答えた。「それは違う。彼が自分の身を自分で守れるようになるまで、パスプロテクションを受けるからだ。つまり、彼がパスの姿勢を取っていて、実際にパスをしようとしているとき、実際に自分を守れるようになるまでの間、完全なプロテクションを受けることになるのだ。ボールが手放されて、それに続いてディフェンスがリカバーした事実は、クオーターバックがプロテクションを受けることと関係のない話だ」

試合後、自分が受けたようなペナルティのコールを防ぐために、このようなフラッグは見直しの対象とすべきだと強調したジョーンズは「こういうラフィングザパサーに関しては、リーグとして次のレベルを目指す必要があると思う」とコメントした。

この判定に対し、チーフスのヘッドコーチ（HC）アンディ・リードも、ホームにいた観客も明らかに憤っており、ソーシャルメディアでは非難の声が数多く上がっている。

『NFL Network（NFLネットワーク）』のトム・ペリセロが指摘しているように、ジョーンズはフラッグを投げられた際、アトランタ・ファルコンズのディフェンシブタックル（DT）グレイディー・ジャレットが日曜日に行われた試合の非常に重要な場面でペナルティを科されたときに引用されたものと同じルールブックの一文を読み上げられていた。審判のジェローム・ボーガーは試合後、ジャレットがタンパベイ・バッカニアーズのQBトム・ブレイディを“不必要に”地面に投げつけたと説明している。

前述のルールブックの第11条における“ラフィングザパサーB項”には次のように記されている。「無防備な姿勢でいる（例えば、パスを投げている最中あるいは直後の）パサーにタックルするとき、守備選手は不必要あるいは暴力的にパサーを投げ倒したり、全体重あるいはほとんどすべての体重をパサーにかけてのしかかったりしてはならない。その代わり、守備選手はクオーターバックの体の横に倒れるように努力するか、倒れかかるのを腕で支え、体重のすべてあるいは大部分がクオーターバックにかかるのを避けなければならない」

ジョーンズは確かにカーに体重をかける形で倒れたが、このときの展開を踏まえると、カーの横側に倒れることは不可能だったように見受けられる。また、ジョーンズはカーに倒れかかるのを防ごうとしたと明かした。

「あっという間の出来事だった」とジョーンズは話している。「最初はそういうふうに見えたけど、実際に映像をスローで再生してみると、俺が身構えている感じになっているのが分かるはず。審判は300ポンド（約136kg）の大男が彼（デレック・カー）の上に乗っているように見えたのかもしれないし、それは理解できる。審判が間違っているとは言わないけど、そういう状況が試合にものすごく大きな影響を与える可能性があるということは言っておきたい。特にプレーオフでは、ああいう危機的な状況、つまり、試合の流れを変えるようなプレーは、試合全体[卑語省略]に影響を与える可能性がある。汚い言葉を使って悪いけど、リーグとしてイニシアチブをとり、よりよい方法を考えなければならないと思う」

【RA】