QBマレーとの口論を軽視するカーディナルスHCキングスベリー
2022年10月21日(金) 17:15快勝を収めたアリゾナ・カーディナルスは、クオーターバック(QB)カイラー・マレーとヘッドコーチ(HC)クリフ・キングスベリーとの間で激しい口論が繰り広げられたにもかかわらず、試合後に陽気な発言をして、それがたいしたことではなかったと示すなど、何も問題がない様子を見せている。
現地20日(木)夜、マレーは前半のタイムアウトの間にコーチのもとへ向かい、2度にわたって「落ち着けよ」と叫ぶ様子を見せていた。
それから程なくして、カーディナルスはエンドゾーンに到達。そこから逆転劇を起こし、最終的に42対34でニューオーリンズ・セインツを下した。勝利の余韻に浸りながら、カーディナルスはマレーのコーチに対する振る舞いをたいしたことではなかったとしている。
キングスベリーHCは「フィールドで起こったことの1つに過ぎない。彼とは意見の相違があった。彼には、私がテレビに良くは映らないし、熱くなっている感じだぞと言われた。どうだろう。テレビで“落ち着け”と言われるのはいかにもZ世代らしいが、私は感情を表に出すのが好きだ」と述べた。
ヘルメットを脱いだマレーがキングスベリーHCのもとへ歩み寄りながら発した職場では不適切なコメントは、容易に聞き取ることができた。NFLの運動能力向上物質規定違反で6試合の出場停止処分を受け、今季初めて試合に出場したワイドレシーバー(WR)ディアンドレ・ホプキンスは、すぐにその場に駆けつけてマレーとキングスベリーHCの間に割って入っている。その後、ホプキンスはQBに腕を回してさらに事態を収拾した。
マレーとホプキンスがハドルに戻った後、ランニングバック(RB)ケオンテイ・イングラムが2ヤードのタッチダウンランを成功させたことで、カーディナルスはすぐに得点を挙げている。また、これに続いてRBイーノー・ベンジャミンが2ポイントコンバージョンを成功させたことにより、同点に追いついた。カーディナルスの若き司令塔は“終わりよければすべてよし”だと思っているようだ。
今回の試合でパス29回中20回を成功させて204ヤード、タッチダウン1回という堅実な成績を残したマレーは「彼はあそこにいて、ときどき、サイドラインの外側で本当に生き生きしている。決して“落ち着け。大丈夫。俺たちはうまくやる”という感じじゃない。最終的に得点できたからよかった」と話している。
ホプキンスは自らが仲裁役、さらに正確に言えば結婚カウンセラーのような役割を演じた状況を思い出して微笑んでいる。
復帰戦でキャッチ10回、103ヤードを記録してチームトップの成績を収めたホプキンスは「彼らは2人とも勝ちたいんだ」とコメントした。「それを見るのは大好きだ。正直、熱心で、勝利にこだわる2人の仲間なのはうれしい。もちろん、衝突することもあるだろう。俺は結婚していないけど、話に聞く限り、結婚もそういうもんらしいぜ」
また、これまで苦戦を強いられていたカーディナルスは、木曜夜の試合で困難を克服している。
マレーとキングスベリーHCの議論は多くの注目を集めたが、そこから始まったアリゾナの連続得点もまた衝撃的でインパクトが大きく、ゲームを良い方向に転換したのだ。
イングラムが得点するまで、セインツは前半残り2分28秒時点で、14対6でリードしている状況だった。そこからスタートした102秒のシークエンスで、カーディナルスが3回のタッチダウンを決めている。セインツのクオーターバック(QB)アンディー・ダルトンは2度のピック6を食らい、試合の様相が大きく変わった。ハーフタイムまでに開いた28対14という点差がカーディナルスの勝利につながり、ここ2戦連続での黒星とホームでの8連敗に終止符が打たれた。
ホプキンスが戻り、長く待たれたステート・ファーム・スタジアムでの勝利――昨シーズン第7週以来――を遂げ、今回の白星にはどこか家族的な空気があったかもしれない。そして家族とは、ケンカするものだ。
「つまり、いいことだよ」とキングスベリーHCは正当化した。
「われわれは自分たちがその中にいたいと思うオフェンスに、そして、自分たちがやりたいオフェンスに取り組んでいる。あのレベルの苛烈さを持つコンペティターがいれば、われわれの背中を押し続けてくれるだろう」
【RA/A】