ワイドレシーバー（WR）エライジャ・ムーアのトレード要請が1つの変化を引き起こしたが、それは彼が求めているものではなかった。

現地21日（金）、ニューヨーク・ジェッツのヘッドコーチ（HC）ロバート・サラーはムーアがシーズン第7週に実施されるデンバー・ブロンコス戦に出場しないと報道陣に明かしている。また、サラーHCはチームがムーアをトレードするつもりはないと改めて表明した。

トレードの代わりに、ムーアの要求は彼にある種のタイムアウトをもたらしている。サラーHCによると、ムーアは金曜日にジェッツの施設にいたものの、ミーティングからは免除され、ワークアウトをして過ごしていたとのこと。サラーHCはムーアのブロンコス戦への出場を見送った理由として、トレードを要請することによる感情的および精神的な影響を挙げている。

サラーHCは「私の考えでは――私たちが同意しようがしまいが、それは問題ではなく――今のメンタルでフットボールの試合に出るように求めるのは、彼にとってフェアではないと思っている。ただ、それは完全に私の判断だ」と述べた。

ムーアはジェッツが27対10でグリーンベイ・パッカーズに勝利した16日に『Twitter（ツイッター）』で初めて不満を吐露している。ムーアは「本当に言いたいことを言うとしたら・・・俺は自分勝手な男になっちまう・・・俺たちは勝ってるんだ」と投稿し、次のように続けた。「感謝！　とてつもない恩恵だ！　俺が求めていたのがそれなんだから。俺にとってはほろ苦いところもあるが、俺は堅実にやる。だから、黙っておくんだ。俺だって理解はしてないことだけ、知っておいてくれ」

明らかに、これはムーアが自分の使われ方に対する不満を表明し始めたに過ぎなかった。ムーアは木曜日までに正式にトレードを要請している。一方で、サラーHCはNFLでのキャリアに何を求めているのかを考える時間をムーアに与えるという決断をした。

ムーアについて「身勝手な行動とも言える。100万通りの見方ができるだろう」と語ったサラーHCは「好きなように捉えていい。私のためではない。ただ彼個人を知り、何を望んでいるかを知るだけ。彼は貢献したいのだ。コンペティティブな子どもであり、コンペティティブな大人だ。彼はゴールラインを越えるのを後押しするために、オフェンス内でもっといろいろなことができると思っているし、そうしたいと思っている。私にとって、それは称賛すべきことだ」と続けた。

ムーアの成績は並外れたものではないが、スキルを持った選手全員がボールを動かすオフェンスにおいて、彼は十分に貢献している。今季はこれまでにキャッチ16回で203ヤードを記録した。しかし、タッチダウンは1回もマークしておらず、2021年シーズンと比べると平均ターゲット率は大きく下回っている。

1年前、ムーアは注目の的だった。2021年ドラフト2巡目指名を受けたムーアはキャンプで注目を浴び、悲観的になっていたジェッツファンにこれがチームの明るい未来の始まりだと信じる理由を与えている。その後、ムーアは負傷し、最終的には11試合の出場でルーキーシーズンを終えた。その中でジェッツは、WRコーリー・デイビスやWRキーラン・コール、WRジェイミソン・クラウダー、WRブラクストン・ベリオスなどを使って対処する方法を見つけることになったのだ。

ムーアはルーキーシーズンに11試合の出場にとどまったにもかかわらず、キャッチ43回で538ヤード、タッチダウン5回をマークしている。しかし、その成績はジェッツが別のレシーバーを獲得するためにドラフト全体64位以内の指名権を費やすのを妨げるものではなかった。現在、一気にプレーメーカーが増えたオフェンスにおいて、ムーアは1試合あたりわずか数回しかターゲットになれなくなっている。

サラーHCは「自分がもっとオフェンスに貢献できるんだ、という自信をみんなに持ってもらいたいものだ」と話している。「しかし、私たちはコーリー・デイビスもギャレット・ウィルソンも、ブリース・ホールもボールを手にするに値するというとても素晴らしい状況にある。ブラクストン・ベリオスもマイケル・カーターもそうだし、2人のタイトエンド（TE）も、そしてエライジャもそうだ。あとは、自分たちの進むべき道を信じて、努力し続けるだけだ」

「オフェンスのスキルポジションは若手ぞろいだし、それは一緒に成長するとてもいいチャンスだ。彼の立場で考えると、彼はコンペティティブだと思うし、より多くを求めている。それは彼自身をつくりあげるのではなく、彼をコンペティターにするだけだと思う」

チームメイトのWRデンゼル・ミムスにならってトレードを要請したムーアだが、ゲームデーロースターでムーアのスポットにつくことになっているミムスと同じように、まだチームに在籍しており、どこにも行く予定はない。また、今週末はデンバーにも行かない予定だ。

【RA】