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コルツHCライクが今季残り期間の先発QBにライアンではなくエリンガーを指名

2022年10月25日(火) 11:28


インディアナポリス・コルツのサム・エリンガー【AP Photo/Doug McSchooler】

インディアナポリス・コルツはクオーターバック(QB)マット・ライアンがターンオーバーを喫するところを飽きるほど見てきた。

現地24日(月)、ヘッドコーチ(HC)フランク・ライクがシーズン第8週に組まれているワシントン・コマンダース戦ではライアンをベンチに下げる代わりにQBサム・エリンガーに先発を任せると発表している。

ライクHCは「先発メンバーに大きな変更を加えることになった」と述べた。「われわれはサムを先発クオーターバックに昇格させるつもりだ。マット・ライアンと、彼が成し遂げてきたこと、彼がここにもたらしてくれたものに対する尊敬と称賛を踏まえると、当然、今回の決断は極めて難しいものだった。彼はプロの中のプロだ。ものすごく特別な選手だ」

ライクHCはライアンが肩にグレード2の損傷を抱えていることに言及した上で、次の試合ではニック・フォールズが2番手のQBになると話している。しかし、ライクHCはケガの状態に関係なくQBの交代を行っていただろうとつけ加えた。

今季、これ以降はエリンガーが先発を務める計画となっている。

「彼と、これによって彼にもたらされる機会のことでワクワクしている」と言うライクHCはこう続けた。「われわれは最初からずっとサムが何か特別なものを持っていると思っていた。彼はそれを示し続けている。今年の練習では特に、サムに感心させられた。シーズンが始まってからは、スカウトチームで見せる様子、投球の質、外に出たときの自分の制御の仕方など、すべてがそろっている。現時点では、これがチームの今後にとって最善の判断だと感じている」

コルツは今オフシーズンにアトランタ・ファルコンズとのトレードでライアンを獲得した。そこからの転落ぶりは壮絶だと言える。ライアンのことをカーソン・ウェンツより格上の選手だと信じ、プレーオフ進出チームを作る上での最後のピースだと確信していたコルツは、トレードに際して堂々とした様子を見せていた。

ところが、これまでの7週間はジェネラルマネジャー(GM)クリス・バラードにとってまたもや空振りとなっている。バラードGMはアンドリュー・ラックが2019年に引退して以来、ずっとQBポジションを安定させられずにいるのだ。

コルツを3勝3敗1分という成績に導いてきたライアンは今シーズン、欠陥のあるオフェンシブラインの後ろで苦戦を強いられている。ライアンはこれまでにパス成功率68.4%で2,008ヤード、タッチダウン9回をマーク。一方でリーグ最多のインターセプト9回、ファンブル11回、ファンブルロスト3回を喫している。また、月曜夜を迎えるにあたり、NFLで最多の24回のサックを浴びてきた。

ライバルのテネシー・タイタンズに敗れた日曜日の試合で、ライアンは試合の流れを決めたインターセプトリターンタッチダウンを含め、2回のインターセプトを喫している。

ライクHCは次のように語った。「オフェンスの成績が悪いのはひとりの人間――つまりマット・ライアン――のせいではないが、マットとも話し合った通り、われわれはヘッドコーチとクオーターバックとして分かっていることがある。結局そういった点はどうでもよく、ヘッドコーチである私は勝ち負けで判断される。クオーターバックは得点と成果とターンオーバーで判断される。このリーグではそういうものだとわれわれは理解している」

2021年ドラフト6巡目指名を受けたエリンガーは一度もNFLの試合で先発を務めたことがない。また、新人時代にはわずか3試合しか出場しておらず、記録はパス0回、キャリー3回、9ランヤードだった。しかしながら、ライクHCはこの若きクオーターバックが苦戦しているオフェンシブラインの後ろでより優れた機動力を発揮し、オフェンスにランパスオプション(RPO)の選択肢をさらにもたらしてくれるとみているようだ。

24歳のエリンガーはライクHCの下で7人目の先発QBになる。

今回の変更は苦境に立つコーチとフロントオフィスがとった苦肉の策のように見受けられる。オーナーのジム・アーセイがこの動きを推し進めた可能性もあるが、ライクHCは月曜日に今回のことは全体としての決定だったと強調した。

「アーセイ氏は信じられないほど協力的だ」とライクHCはコメントしている。「毎週話しているし、試合後にもロッカールームで話している。普段はその夜に電話するか、その翌日もしくは翌々日に電話するときもあった。昨晩は彼とクリスの2人と1時間ほど話をし、すべてを話し尽くした。彼の意見は常に影響をもたらす――その点ではすべてを決定する人だと言える――が、集団的な判断をするという点で彼に感謝している。“これを話し合おう、あれを話し合おう”という感じだ。ある意味では彼が主導しているかもしれないが、このように重大な決断を下すときはオーナー、GM、ヘッドコーチが話し合う必要がある」

ライアンがQBポジションを安定させられなかったため、今回の重大な決断は長期にわたって影響を与えるものになるかもしれない。ライアンは今年に2,470万ドル(約36億7,910万円)を受け取る予定で、1,200万ドル(約17億8,742万円)が保証されることになっており、2023年のキャップヒットは3,500万ドル(約52億1,330万円)になる。

【RA】