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WRムーアのペナルティを受けて“分別をもつ”必要があるとパンサーズ暫定HCウィルクス

2022年10月31日(月) 15:46


カロライナ・パンサーズのD.J.ムーア【AP Photo/John Amis】

カロライナ・パンサーズはヘッドコーチ(HC)を解任してからわずか3週間で、エキストラポイントの1点さえ決めればNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)南地区で首位に立てるというところまできていた。

それを実現させる代わりに、チームはワイドレシーバー(WR)D.J.ムーアが試合終了まで残り数秒のところで奇跡的な62ヤードのタッチダウンパスを決めて同点に持ち込んだ後、決勝点になる可能性のあったエキストラポイントを決める前にアンスポーツマンライクコンダクト(スポーツマンシップに欠ける行為)のペナルティを科せられて15ヤード罰退している。そして、延長戦でキッカー(K)エディ・ピニエイロがフィールドゴールを外し、パンサーズはアトランタ・ファルコンズに37対34で敗れた。これは暫定ヘッドコーチ(HC)スティーブ・ウィルクスの下で気迫のこもったフットボールを展開しながらも、パンサーズがまだ成長痛を抱えているチームであることを証明している。

試合後の記者会見で、ウィルクスは「終わらせる方法を見つけられなかった」と述べた。

「今回の試合に勝つチャンスはものすごく多くあったのに、それをものにする方法を見つけられなかった。その責任は私にある。自分たちに十分に分別があることを確認しなければならなかった。そこから学ぶべきことがある。セレブレーションのペナルティやああいったビッグプレーというものに、冷静さを保たなければならない。D.J.がエンドゾーンでビッグプレーを決めたのは素晴らしい仕事だった。(クオーターバック/QB)P.J.(ウォーカー)のパスも素晴らしかった。しかし、チームとしてスマートになり、ただひたすら準備しておかなければならない。次のレベル、次のステップに進むためにね」

シーズン第7週にタンパベイ・バッカニアーズと戦った試合で衝撃的な勝利を収めたパンサーズは、ファルコンズ戦でも最後までその勢いを保ったまま懸命に戦っていた。パンサーズはファルコンズが得点を決めるたびに応戦したため、今回の試合はリードが6回も入れ替わる接戦となっている。

ランニングバック(RB)クリスチャン・マカフリーがトレードでチームを去ったことを受けて、RBドンタ・フォーマンはワークホースとして有能であることを証明し続けた。フォーマンはキャリー26回で118ヤード、タッチダウン3回を記録している。一方、ウォーカーが先発を務めるようになってから再び活躍しているムーアは、キャッチ6回で152ヤードをマーク。そして、前述の同点タッチダウン1回を決めるも、その後に今回の試合で最も重大なペナルティを科されている。

このプレーは試合終了まで残り23秒の時点でパンサーズの38ヤードラインから始まった。6点差がつけられている状況で、ウォーカーが左にロールアウトして飛距離67.6ヤード――『Next Gen Stats(ネクスト・ジェン・スタッツ)』の調査が2016年に始まって以来、成功したパスの飛距離として最長――のパスを放ち、ムーアがディフェンダー2人にわずかな差をつけてそれをキャッチした。

その後、ムーアがヘルメットを脱ぎ捨ててフラッグを投げられ、罰退を受けている。そのため、ピニエイロは突然、48ヤードのキックを蹴ることになった。結果的にピニエイロはエキストラポイントに失敗し、34対34の試合は延長戦に突入している。

一瞬にして、ムーアはヒーローではなくなった。とはいえ、ムーアがこの手痛い失敗を自分の落ち度だと認めている点は称賛できると言えよう。

「あれは自然な反応だった。それでも、あんなことしちゃいけないと分かっていないとだめだった」とムーアはコメントしている。

パンサーズはオーバータイムでピニエイロに対し、実質的にエキストラポイントのようなキックで勝利に結びつける機会を与えた。オーバータイムの最初の攻撃時に、ファルコンズのクオーターバック(QB)マーカス・マリオタが投げたパスをコーナーバック(CB)C.J.ヘンダーソンがインターセプトし、敵陣20ヤードラインまでリターンしている。

そして、パンサーズは3回連続でランプレーを選択し、32ヤードのキックを試みたが、ピニエイロが蹴ったボールは大きく左にそれてしまった。その後、パンサーズ攻撃陣が再びボールを見ることはなく、7プレー後にKヤンオエ・ク―が41ヤードのフィールドゴールを決めてファルコンズが勝利を収めている。

パンサーズが2連勝を挙げて地区トップに躍り出ることを阻んだ原因は、数々のミスと悔やまれる判断の積み重ねにあった。

ムーアのペナルティは今回の敗北を強調している一方で、ピニエイロも簡単なキックを外していた。また、パンサーズはオーバータイムに敵陣の奥深くで決定的なプレーを狙えていた可能性がある。

それが2勝6敗のチームの仕上がりだ。それがシーズン中盤のパンサーズの姿なのだ。しかし、10月末の失敗が教訓となり、11月以降にそれを生かして試合に臨めるようになることを期待しているウィルクスは次のように話している。

「これはナショナル・フットボール・リーグだ。明日、どのように来て仕事をするかで、私たちの本来の姿やチームとしてのあり方が見えてくるとみんなに話した。タフな試合だったが、シンシナティ(ベンガルズ)戦に備えなければならない。明日にまた出てきて、必要なところを修正し、うまくいっていたことを積み重ねて、アウェーで本当に優秀なフットボールチームと対戦する準備をしなければならない」

ムーアとそのチームはシーズン第9週に行われる4勝3敗のベンガルズとの試合で、初めて今回の失敗を克服するチャンスを得る。

【RA】