トレードに“衝撃”を受けるもレイブンズへの適応に専念するILBスミス
2022年11月04日(金) 13:57インサイドラインバッカー(ILB)ロクアン・スミスはトレーニングキャンプ中にトレードされることを望んでいた。それが実現しなかったとき、彼はそれについて考えるのをやめていた――月曜日までは。
シカゴ・ベアーズが週明けに思いがけず、オールプロのセカンドチームに選出された経歴を持つスミスの願いをかなえている。ベアーズは2023年ドラフト2巡目指名権および5巡目指名権、そしてアウトサイドラインバッカー(OLB)A.J.クラインと引き換えにボルティモア・レイブンズにスミスをトレードした。
このトレードにはスミス本人も驚いたようで、次のようにコメントしている。
「トレードされるなんて想定していなかった。だけど、ほら、人生にはいろんなことが起こる。それで俺はトレードされた。だから、最初は衝撃を受けた。でも、ここにいられることにワクワクしている。いいメンバーだし、タイトル争いに加わっている。俺はそのために試合に出てプレーしている――タイトルのためにな」
2連勝した後、レイブンズは5勝3敗でAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)北地区のトップに立っている。シーズン中に選手を加えることに躊躇(ちゅうちょ)のないレイブンズは、ラインバッカー(LB)を補強する機会があることを感知し、スミスをパトリック・クイーンやジャスティン・ヒューストン、ジェイソン・ピエール・ポールなどのいるLB陣に加えた。
契約内容は今のところ、前のままとなっている。ルーキー契約の最終年を迎えていたスミスは、2022年以降の長期的な将来が確保されていないことをめぐってベアーズと折り合いがつかなかったため、トレードを要請してトレーニングキャンプの序盤を欠場していた。結局、スミスは2022年シーズン以降に有利なオファーを獲得できることを期待しながら、ベアーズと長期契約を結ぶこと――8月にスミスは難航していた契約交渉のプロセスを“不愉快”だと表現していた――から、現在の契約を最後まで全うすることに焦点を移していた。
そして今、スミスは新天地へ移っている。そこは今シーズン以降も彼をとどめておきたいと考えているチームだ。
マイアミ・ドルフィンズが新たに獲得したOLBブラッドリー・チャッブと契約の合意に至った状況とは異なり、レイブンズはスミスと契約交渉をしていない。しかし、レイブンズに移籍したという新しい現実にまだ適応していないスミスは、それでも問題ないようだ。
「今はあんまりそれを重視していない」と言うスミスは「すべてが本当にあっという間に終わったから、今はただこのプレーブックに集中して、それをできるようになることだけに専念している。でも今、俺が一番力を入れているのは、プレーブックを学んで、みんなと最高の関係を築いて、それから前に進んでいくことさ」と続けている。
スミスの状況は新チームメイトであるクオーターバック(QB)ラマー・ジャクソンと似ている。2人ともエージェントを抱えておらず、自分自身で雇用主との交渉を行っている。いずれかの選手の長期契約は、少なくとも部分的にはもう片方に依存するところがある。というのも、レイブンズがフランチャイズタグをつけられるのは2人のうちのいずれかのみであり、もう一人に関しては合意に至ることに期待する状況だ。両者を維持するための時間は少しずつ減っていく。それぞれの選手のマーケットを踏まえれば、たとえジャクソンのポジションの方が全体とした重要性が高くとも、現時点でレイブンズはジャクソンの前にスミスとの契約を完了するだろう。
両選手の未来に何らかの解答を見つけるまで、チームにはおよそ5カ月が残されている。期限が来るまで、チームは2022年のことに集中するはずだ。
今季のボルティモア守備陣は特別に支配的というわけではないが、機を見るのに優れており、8週間の成果としてターンオーバーでランキング4位につけている。来週にレイブンズがバイウイークを迎えることから、スミスがこのユニットのプレーをさらに高めていくことに期待される。
とは言え、まずはニューオーリンズ・セインツだ。レイブンズはプライムタイムに全米で放送されるマンデーナイトの試合のために、ルイジアナへ向かう。つい1週間前には本人も思っていなかったことながら、スミスには新しいチームでの最初の試合で爪痕を残すべく、舞台が整えられている。
【RA/A】