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『ハード・ノックス』の中で敗戦後に熱弁を振るうカーディナルスSベイカー

2022年11月11日(金) 11:45


アリゾナ・カーディナルスのブッダ・ベイカー【Ryan Kang via AP】

現地9日(水)に『HBO』の“Hard Knocks In Season: The Arizona Cardinals(ハード・ノックス・イン・シーズン:アリゾナ・カーディナルス)”の最初のエピソードが放送されたが、グレンデールでの緊張感は何週間も前から高まっていた。

シーズン第5週に20対17でフィラデルフィア・イーグルスに敗れた後、セーフティ(S)のブッダ・ベイカーがロッカールームで熱弁を振るったときほど、シーズン初回のエピソードでそれが明確に示された場面はないだろう。カーディナルスはこの敗戦から5試合中4敗を喫し、現在は3勝6敗となっている。

ベイカーは片膝をついて円陣を組むチームメイトたちをこう叱咤激励した。「いい加減、本気でやろうぜ。一人も欠かさず全員だ! しっかりしろよ! もっと努力しろ! もっとリカバリーしろ。もっと動画を見ろ。もう負けるのはうんざりだ! 心が痛むんだよ。ホームで負けるのはこりごりだ! 自分たちでなんとするしかないだろ。カモン! やってやろうぜ! お前らのことはみんな大好きだ。悔しくてたまらない。こんなのはもうさんざんだ。マジでもう負けたくない。やるしかないんだよ」

言い終えたベイカーは他のメンバーとともにひざまずき、全員で祈りを捧げた。

オールプロに2回選ばれているベイカーの思いは文章ではうまく伝わらない。ロッカールームは静まり返り、むき出しの感情が声からあふれるディフェンスリーダーに全員が集中していた。

しかしながら、その後の結果はカーディナルスが望んだものではなかった。今シーズンをひっくり返してプレーオフに復帰するには、ベイカーが見せたような情熱が不可欠だ。残念ながら、ベイカーの言葉をこれからの試合で実行に移せるかどうかは、ロースターの53選手のうち彼を除いた残りの選手たちに委ねられている。

プロ5年目のベイカーは、Hard Knocksが特集したシーズン第9週のシアトル・シーホークス戦ではフィールド上のあらゆる場所で活躍を見せ、チーム最多の11タックルを記録した。だが、ベイカーは第4クオーターの終盤にハイアンクルスプレインを負っており、数週間の離脱が予想される。

シーズンの重要な時期にベイカーが負傷したことで、数週間前のベイカーの試合後のスピーチから放たれた思いがさらにのしかかる。現在チーム最多となる71回のタックルを記録しているベイカーは、シーズン第2週以降に逃したスナップはわずか1回。カーディナルスはこれからチームの心と魂を欠くことになる。

さらに、カーディナルスは2021年に入ってからホームで4勝9敗という苦境を乗り越えるための答えを必死で探しているところでもある。

カーディナルスはすでにNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)西地区のライバルを相手に3試合を落としており、次の2試合も同地区内の相手となる。チームはシーズン第10週にロサンゼルスでラムズと対戦し、翌週のマンデーナイトフットボールではメキシコシティでサンフランシスコ・49ersとぶつかる。

シーホークスに敗れる前に行われた撮影で、ラインバッカーコーチのビル・デイビスはベイカーを称賛し、彼と同じくらいの熱意を見せるよう他の選手たちを促した。

「君たちを試してみたい。誰かブッダよりも激しいプレーを試合で見せてくれ。彼よりもハードにプレーしてみることだ。それができたらどんなディフェンスになるだろう?」とデイビスは述べている。

カーディナルスがベイカー抜きでどのようなユニットになるかを知るのは時間の問題だ。もし、今シーズンにまだ望みをかけたいのであれば、健康なディフェンダー全員がコーチからの挑戦を真剣に受け止めなければならない。

【R】