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チームの成功により不満を抱いていたWRムーアとミムスを引き寄せるジェッツHCサラー

2022年11月11日(金) 14:59


ニューヨーク・ジェッツのエライジャ・ムーア【Winslow Townson/AP Images for Panini】

面白いことに、試合に勝てばさまざまな問題はすぐに解決するものだ。それがどのようにうまくいくかは、ニューヨーク・ジェッツのヘッドコーチ(HC)ロバート・サラーに聞けばいい。

つい3週間前、2年目のワイドレシーバー(WR)エライジャ・ムーアは退団を希望していた。攻撃コーディネーター(OC)マイク・ラフルアーのオフェンスにおける機会不足に不満を覚えていたムーアは、他の場所で再出発する準備をしていたのだ。

その代わりに、サラーHCは実質的に停学処分のようなものをムーアに科している。サラーHCはムーアをワークアウトのためにチーム施設に呼び寄せていたものの、チームがデンバー・ブロンコスとの試合に向けて移動する際には帯同させなかった。心の中で、ムーアは単純にチームに貢献したいだけだと分かっていたサラーHCは、すぐに引き下がるつもりはなかったのだ。

それから数週間が経ち、いまだにトレードを要請してから1度もキャッチを記録していないとはいえ、ムーアの気持ちはチームに戻ってきているようだ。

サラーHCは今週、『CBS Sports HQ(CBSスポーツHQ)』のジョシナ・アンダーソンとのインタビューで「彼にスロットでの機会をもっと与えようとしている」と述べたという。「彼は先週、27回プレーしていたと思う。エライジャは素晴らしいフットボールプレーヤーだ。彼は私たちがここで長い間、勝つための大きな理由となるだろう」

「もちろん、彼にボールを与え、チャンスを与える方法を見つけ続けることは、コーチ陣の役目だ。これまではほとんどアウトサイドでプレーさせてきたから、ポジションは新しくなる。つまり、私たちは彼の長所をすべて生かせる方法を見つけようとしている」

今シーズン、チームの状況に不満を抱いていたレシーバーはムーアだけではない。WRデンゼル・ミムスは8月にムーアよりも積極的な形でトレードを要求。ミムスの代理人は「彼にジェッツでの未来がないのは明らかだ」と主張していた。

その後、ムーアはミムスと同じ状況になっている。ミムスはここ3試合で少なくとも1回のキャッチを記録しており、統計的な記録には到達していないとはいえ、ジェッツが最大の目標を達成するのを後押しすることに関心を持ちつつ取り組んでいる様子を見せてきた。

ジェッツが正統派のチームに転じようと試みている中で、スキルポジションの選手がフラストレーションをためているというメンタル面の問題について説明したサラーHCは、チームの元2巡目指名選手の2人がそうした問題を抱えていることに気づきながらも、彼らが成績には表れない部分で重要な役割を果たしてくれると信じている。

サラーHCは「それは骨が折れるものだ。彼らにチームに加わって自分の仕事をし、チームのために集中する、そういったことをすべてやるように納得させようとするのだからね。そして、難しいことでもある。なぜなら、彼らは実績や名声、そういったものすべてに対してリーグから与えられる素晴らしいものを求めているからだ」と語った。

「しかし、これは双方向的なものだ。そして注目すべきは、この1カ月でゲームに対する取り組み方や攻撃の仕方を完全に転換し、それをポジティブにやるようになっているデンゼルのような選手だと思う。なぜなら、若い人から見れば、自分がコントロールできないことについて考え始めたときに、それを把握するのは本当に難しいというのが現実だからだ。そういうことにこだわればこだわるほど、自分が何をもたらせるかについて考えられなくなる。自分がコントロールできないものを追いかければ追いかけるほど、自分を傷つけることになるのだ」

これはいいPRと呼べるかもしれない。あるいは、NFLトップクラスの地区ライバルに勝利を収めたことの副産物とも言える。どんな理由だったかはともかくとして、サラーHCはミムスとムーアがジェッツに全力を注いでいるかのような態度をとるように仕向けているのだ。ホリデーシーズンを間近に控え、フローラムパークには良い雰囲気が漂っている。

サラーHCはムーアについて「彼の名誉のために言っておくと、トレードの要請があったことは承知しているが、彼はものすごくよくやってきた」と強調し、こう続けた。「彼の態度は素晴らしいし、最高のチームメイトだ。チームメイトから愛され、いつもすぐそばにいる」

「成績や、自分でコントロールができないことだけを追いかけているとき、選手も私も不満を抱いてしまうものだ。しかし、エライジャはちゃんと積み重ねてきた。素晴らしいマインドセットを持っている。オレ・ミス(ミシシッピ大学)出身であることと、彼自身、そして彼が象徴していることに関して、私はまだドラフトで指名した人物にこだわっている。とはいえ、シーズンが進むにつれて彼のためにデザインされた役割という観点から、彼がオフェンスに定着していくところを見られるようになると思う」

贈り物の季節がすぐそこまで来ている中、サラーHCは現時点で自分たちが望むほど重要視されていない若手選手たちに惜しみなく賛辞を贈っている。サラーHCはジェッツが可能な限り前進するためには、53名ロースターの全員(とそれ以上のメンバー)が必要になる可能性が高いことを理解しているため、それは重要なことだと言えよう。

6勝3敗のジェッツがプレーオフ進出を狙える位置にいるのは確かだ。そのとき、ムーアやミムスのような選手たちは、自分たちに必要なのは忍耐力だったのだと思い知るだろう。

【RA】