内部対立のうわさを軽視するブロンコスQBウィルソンとハケットHC
2022年12月01日(木) 14:092022年シーズンの現時点でデンバー・ブロンコスが3勝8敗となっていることは、まさに期待はずれな結果に他ならない。
オフシーズンにクオーターバック(QB)ラッセル・ウィルソンを獲得した動きは失敗に終わり、1年目のヘッドコーチ(HC)ナサニエル・ハケットは多くの批判を集めている。これまでの成績はそうした反感を呼ぶ正当な理由になると言えるが、内部対立の中心にいるのはハケットHCではなく、ウィルソンのようだ。
現地11月29日(火)、『NFL Network(NFLネットワーク)』のトム・ペリセロはウィルソンがロッカールームにいるメンバーの一部から信頼と支持を失っていると報道。ペリセロはこれを、ブロンコスが日曜日に23対10で敗れたカロライナ・パンサーズ戦において、明らかに不満を覚えていたディフェンシブタックル(DT)マイク・パーセルがサイドラインでウィルソンに向かって怒鳴るところが目撃された後に報じている。
試合後、パーセルはフラストレーションこそがまさしくそのような行動をとった原因だと説明。ウィルソンはパーセルとは互いに敵対心を抱いていないと報道陣に話していたが、それから数日が経ち、まだ親交の浅いチームメイトから見た自分の立場について質問に答えることを余儀なくされている。
ウィルソンは水曜日に「第一に、全員が勝ちたいと思っている。全員、勝ちたいんだ。俺やこのチーム以上に勝利を望んでいる人はいない」とコメントし、次のように続けた。
「つまり、あのロッカールームで俺は素晴らしい関係を築いている。だから、誰が壊そうとしても無理なはずだ。それに関して一番良かったのは、ここに移ってきて、ここにいるというこの旅が素晴らしいものだったことだと思う」
公の場で話すことに関して、ウィルソンはよく訓練されている。そのため、彼のポジティブなコメントは驚くべきものではない。しかし、3勝8敗とキャリア最悪のシーズンを送っている中で、ウィルソンの常に晴れやかな人柄に亀裂が入り始めたとしても、それは無理もないことだと言えるだろう。
とはいえ、今のところはそうなっていないようだ。
ウィルソンは「自信が揺らぐことは決してない。揺るがない」と強調している。「自分がどれだけ打ち込んできたか分かっている。自分が誰なのかも、自分が何をしてきたかも、このチームのことも、自分たちがどれだけ努力しているかも分かっている。だから自信は揺るがない」
ハケットHCは水曜日にペリセロの報道について質問された際、「すべてゴシップだ」と答え、そうした報道を軽視する態度をとっている。
「うちのロッカールームは素晴らしい」と述べたハケットHCは「彼のように一生懸命になって、チームを受け入れようとする人は初めて見た」と続けた。
ウィルソンはチームメイトを受け入れるために相当な努力をしたのかもしれないが、彼自身の苦戦ぶりが原因でチームがそれに応えることは難しくなっているように見受けられる。ブロンコスはAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)で新たな強豪になるはずだった。攻守両面にプレーメーカーがそろい、スーパーボウルを真剣に狙えるチームになるはずだったのだ。
しかしながら、ディフェンスがそれ相応の力を発揮してきた一方で、オフェンスは低迷を続けている。
11試合を通じてわずか3勝にとどまる中でも、ブロンコス守備陣はランキング3位につけている。攻撃陣がそれに見合う力を発揮できない中、ウィルソンを獲得するという決断や、そのウィルソンと大型契約を結んだチームの行く先については、疑問が生じている状況だ。
ウィルソンの最良の日々は終わってしまったのかと考える者が出てきても、無理はないだろう。
34歳のウィルソンは「そういったものに反応する必要すら、俺にはない」と話した。
「結局、俺は選手としての自分を知っている。それに、前よりも良くなっていると感じている。メンタルな部分もフィジカルな部分も、毎日良くなっている。今年は肩やら何やらで厳しい部分もあるけれど、それを押して戦っていくもんだ。そういうものを抱えて戦うのさ」
「俺たちはプレーする。そして、長い道を歩んでいく。このフットボールチームをこの先に待ち受けているものや、俺たちがこれからやっていくことにエキサイトしている」とウィルソンは続けた。
だが、少なくとも2022年に関しては時間がなくなりつつある。ヘッドコーチとしての1年目に取り組んでいるハケットHCも、すでに第4クオーターに到達しているかもしれない。何らかの変化がもたらされるとしても、クオーターバックではないだろう。フランチャイズが単純にそれを許さないはずだ。
今のところ、ブロンコスにできるのは一つだけ。すなわち、共同戦線を張って笑顔を見せ、前に進んでいくことだけだ。ブロンコスはこれからの数週間で、他のチームメイトがカメラの前でウィルソンに迫らないことを願うことになるだろう。
【RA/A】