不確定要素は残るも2023年のサラリーキャップは295億円を上回る可能性
2022年12月05日(月) 13:152023年、NFLのサラリーキャップは1チームあたり2億2,000万ドル(約295億6,745万円)以上となり、最高記録を更新する可能性がある。
しかし、新しいテレビ契約からの収入や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック中に延期されていた選手に対する福利厚生の払戻金が未知数であるため、新リーグイヤーやフリーエージェント(FA)の交渉期間が来年3月に始まるまで3カ月余りとなった今も、最終的なキャップナンバーは不明確な状態だという。
オーナーやその他のチーム幹部は現地12月13日(火)と14日(水)にダラス郊外で開催される冬季リーグミーティングと労働セミナーに参加する予定だ。そこではNFLとNFLPA(NFL選手会)が2月下旬から3月上旬に最終的な数字を交渉する前に、クラブに対して予算編成のためにキャップに関する見積もりを提供されるのが通例となっている。
そのプロセスに詳しい情報筋は、通常の予測収入の計算で2023年のキャップナンバーが“2億2,000万ドルを大きく上回る”と予測。とはいえ、情報筋の話によれば、NFLはまだキャップの見積りを作成しておらず、リーグと組合の両方が最終的な計算に影響を与えるような決断をしなければならないという。
収益面では、利益を見込める新しいテレビ契約が2023年に開始される予定だ。しかし、NFLは1994年から『DirecTV(ディレクTV)』に属していた『NFLサンデーチケット』の新しいホームをまだ選んでいない。現在の契約は2022年シーズン終了後に満了となる予定だ。2020年の団体労働協約(CBA)下では、サラリーキャップと福利厚生はそうしたテレビ取引の増加に部分的に連動しており、“メディアキッカー”が発動すれば全収入に対する選手の取り分が48%から最大48.8%――9桁の数字――に増加する可能性がある。そのため、NFLサンデーチケットの契約が終了するまでは、収益予想がどこに落ち着くのか、どのような形で選手に分配されるのかを言い当てるのは困難だ(CBAは収入分配契約であり、キャップは選手の分配分に基づき、サラリーと福利厚生を含む)。
コスト面に関して、NFLPAにはサラリーキャップの維持を助けるためにパンデミック期間に一時停止されていた福利厚生――パフォーマンスに基づく支払い、プロボウルへの手当、学費補助など――を支払う義務がまだある。リーグと組合の合意のもと、これらの福利厚生にかかわる払い戻しは2023年シーズン終了後のいずれかの時点で行われることになっている。収入予測が十分に高い場合、来年に全額を支払うのは理にかなっているかもしれない。そうすれば、予想されるキャップ上昇の問題を解決できるだろう。だが、それは今年のフリーエージェントクラスに直接影響を与えることにもなる。一方で、収入予測が低ければ、組合は複数年にわたって福利厚生にかかわる払い戻しをする可能性がある。
今年度における2億0,820万ドル(約279億9,155万円)は、2020年に無観客の状態にもかかわらず選手に給与を全額支払い続けることを可能にした低利融資に相当する返済を早めるために、2021年5月にNFLとNFLPAが合意した上限額だ。そのプロセスの一環として、2020年のキャップが1億9,820万ドル(約266億4,710万円)になった後、2021年には1億8,250万ドル(約245億3,630万円)となっている。2013年から2020年にかけて、キャップは毎年約1,074万ドル(約14億4,394万円)ずつ増えていた。そのため、来季のキャップが2億2,000万ドル程度になれば、その成長率に戻ることになる。
2024年にさらなる成長が期待され、それ以降も増収が続くと見込まれている中で、2023年におけるキャップがいくらになったとしても、その額は過去最高となりそうだ。
フリーエージェントの交渉期間はアメリカ東部時間の来年3月13日(月)正午から開始され、2023年リーグイヤーは3月15日(水)16時からスタートする。
【RA】