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ダマー・ハムリンの「相当な進歩」を報告する担当医、「継続的な治療において本当に良い転機になった」

2023年01月06日(金) 08:33

バッファロー・ビルズのダマー・ハムリンの回復を願って掲示されたメッセージ【AP Photo/Joshua Bessex】

現地2日(月)に行われたシンシナティ・ベンガルズとのシーズン第17週マンデーナイトフットボールで心停止に陥ったバッファロー・ビルズのセーフティ(S)ダマー・ハムリンの治療にあたっているシンシナティ大学医療センターの医師2名が5日、カンファレンスコールを開き、ハムリンが目覚め始めたこと、「過去24時間の間に容体にかなりの改善があった」ことを報告した。

ハムリンの治療、現在の容体、回復傾向に触れたティモシー・プリッツ医師は「今回の負傷とフィールド上で発生した一件を受けて彼の容体にかなりの懸念を抱いていたものの、相当な進歩を遂げています。今朝の時点で彼は目覚め始めており、神経学的な状態や機能には問題がないように見て取れます。われわれはこのことを報告できることを非常に誇りに思うとともに、彼が回復していることを本人や家族、バッファロー・ビルズの皆さまに伝えられることを本当にうれしく思っています」と明かしている。

「彼は依然として重篤な状態にあります。今後も当院の外科・外傷のICUで集中治療を受ける予定です。ICUの神経集中治療チーム、外傷外科、心臓病学チーム、専門看護師や呼吸療法士が彼の治療にあたっています。彼らが治療にあたっているとはいえ、まだ大きな進歩を遂げる必要があります。それでも、彼の継続的な治療において、本当に良い転機になったと言えます」

プリッツ医師によると、重症から安定した状態に移行するには、医師がハムリンの呼吸管を取り外すことが可能とみなし、神経学的および呼吸器学的な回復が継続的に認められる必要があると付け加えた。

プリッツ医師は木曜日にハムリン本人と月曜夜の出来事について話し合うことができたとも明かしている。ハムリンは現在、挿管されているために会話はできないものの、ペンと紙、あるいは頭の動きで自らの意思を表現できているとのこと。

「まだ呼吸管を装着しているため、会話するところには至っておりませんが、頭を振ったり、うなずいたり、簡単なメモ(イエスかノーなど)でコミュニケーションを取ることができています。(ハムリンは)2日間、意識がなかったことに驚いていた様子で、シンシナティやバッファロー、全国から彼や家族の皆さまに寄せられている支援について彼に伝えました」

プリッツ医師はハムリンの回復過程において、医師たちが「他の身体部分が治癒するのに合わせ、徐々に彼を目覚めさせる」ことを望んでいたと述べた。ハムリンは水曜夜に意識がはっきりしたそうで、その際、担当した看護師に筆談で問うた最初の質問が「俺たちは勝ったのか?」だったという。

プリッツ医師は「その返答は、“そうです、ダマー。勝ったんです。命の闘いにあなたは勝ったんです”でした。それが今回、最も重要なことであり、何よりも彼自身のことを中心にしておかなければならないと考えています。そして、彼のために良い結果を出したいと思っています」と語り、こう続けている。

「明かりが灯っているだけではダメなのです。看護師や呼吸療法士、彼のそばにいる治療チームにとっても、ご家族やその先にいるすべての人々も、われわれ全員にとって、彼が生還し、脳内のあらゆるものが機能していると分かったこと、それが何よりも喜ばしいことだと思っています」

また、ウィリアム・ナイト医師はハムリンが月曜日の試合の第1クオーターでフィールド上に倒れたあと、月曜夜に受けた治療のタイムラインについて概要を説明した。

「皆さんご存知の通り、ハムリン氏はフィールド上で心停止を起こしましたが、バッファロー・ビルズの医療スタッフによって迅速に認識され、そのおかげでフィールド上で非常に迅速に蘇生措置が施されました。彼はすぐに蘇生しています。CPR(心肺機能蘇生)と除細動が必要な状態で、その時点でシンシナティ大学医療センターに搬送され、プリッツ医師と外傷チーム、そしてわれわれ救急医療チームが出迎えました。ED(救急外来)で対応し、蘇生と治療が行われました。EDと病院でいくつか追加検査を実施し、プリッツ医師が述べたように、外科のICUで管理されています」

「この3日間は長く困難な道のりでした。彼は非常に容体が悪かったのですが、相当に著しい回復と改善を遂げており、ティムが指摘したように、現在は神経学的に良好な回復の兆候を示すとともに、以前に報告されているようにバイタルサインだけでなく、他の個々の臓器の回復に関しても、全体的に臨床的な改善を示しています」

ナイト医師はハムリンの心停止の原因について「決定的な回答」を持ち合わせておらず、「彼が安静を続ける中で検査を継続していく」と述べた。

さらに、ナイト医師とプリッツ医師はハムリンが木曜日に明かされた状態にまで回復した要因として、フィールド上でなされたビルズの医療スタッフによる措置が素晴らしかったからだと称賛している。

「彼らのチームを十分に称える言葉が見つかりません。残念ながら、フットボールにせよ、他のスポーツにせよ、スポーツのフィールド上で起こるケガはよくあることではありますが、今回のように深刻な事態が発生することは本当に稀です。こういった事態に迅速に対応するために、彼らが直ちに実行したのは緊急対応プラン、つまりは緊急医療を実行したのです。その結果、現場にいた気道医、つまり救急医が1分もしないうちに倒れた彼のもとに駆けつけています。救急医は脈拍の喪失を即座に認識し、めったに起きないことにもかかわらず、すぐにバイスタンダーCPR(その場に居合わせた人による心肺蘇生)が施されました。ハムリン氏の不整脈が即座に認識され、除細動処置が実行され、さらに即座のバイスタンダーCPRを受けられたという事実が、求められているタイムラインを物語っています。適切に実行された即座のバイスタンダーCPRによって自己心拍が再開しました。今回の状況で期待される標準がすべて満たされたことが、今日、このような良い結果をもたらすことにつながったのです」

プリッツ医師も「非常に困難な状況下でこれらが実行されたのです。彼らの素晴らしい対応があったからこそ、今日われわれはこうしてここにいられるのです」と添えている。

ハムリンの回復に向けた道のりについて、ナイト医師は「人工呼吸器を外すにはまだ道のりがある」とし、ハムリンが再びプロフットボールをプレーできるかどうかを含め、長期的な回復に向けた対応を予測するのは時期尚早だと述べた。

ナイト医師はハムリンが月曜20時の状態に戻り、「すべてが起こる前の彼に戻ること」が最善のシナリオだと付け加えた。

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